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10のセンス

土田英生(MONO)×吉田祥二(Confetti編集長) 「10のセンス」最終回記念特別対談

いちばんセンスがあったのは誰だ!?
MONO土田英生に聞く『10のセンス』グランプリ決定戦!

2006年9月1日の連載開始以来、のべ368人もの舞台人が登場した『10のセンス』も第1378回をもって10年間の歴史に幕を閉じる。そこで、今回は第1366回から実際に『10のセンス』にも挑戦していただいたMONOの土田英生さんを迎え、Confetti編集長の吉田とともにこれまで登場いただいた数々の舞台人の回答をプレイバック! はたして、どんな名回答、珍回答が飛び出すのか…!?

取材・文&撮影:横川良明


吉田 まずはすべてのネタを振り返っていただいて、率直な感想をお願いします。

インタビューカット@

土田 いろんなジャンルの方がいらっしゃいましたけど、やっぱり芸人さんは違うなと思いましたね。我々演劇人と比べても大喜利に関してはレベルの差がはっきりとありました。

吉田 芸人さんと言えば、今や芥川賞作家の又吉(直樹)さんにもご登場いただきました。

土田 やっぱりこの頃から面白いですよ。『産湯』なんていいですよね。普通、まず思いつかない。

吉田 他にもまだブレイクする前のいとうあさこさんなんかもいらっしゃいます。初登場が09年。ちょうどテレビに出はじめた頃です。

土田 回答から今の芸風を感じるものがありますよね。

吉田 他にもレイザーラモンRGさんマキタスポーツさんも。

土田 カリカとか辞めちゃった人もいる。何だか歴史を感じますね。

吉田 レベルの差というのは、どんなところで感じました?

土田 回答の中には、やっぱりちょっと流したようなものもあるんです。だけど、たとえ流した回答であっても劇作家とレベルの差があった。長く時間をかけて笑いに取り組んできた人たちと、ある種の運動神経だけでやった人たちの差はまざまざと感じさせられましたね。

インタビューカットA

吉田 演劇人の中で普段から気になっている方はいました?

土田 やっぱり自分より若い子は気になりますよ。イキウメの前川(知大)くんとかKAKUTAの桑原(裕子)さんとか、あとはアマヤドリの広田(淳一)くんも。自分とかぶるところがあるなと感じる人は気になるし、答えもチェックしたくなりましたね。

吉田 中でも面白い方はいました?

土田 いや、僕も含めて演劇人はみんなもう一つでしたね。みんなどこかで“俺は普通の人とちょっと違うよ”みたいな感じで、面白いことを言おうとしたのが痛かった。その自意識が見えたのがいちばん痛かったですね。

吉田 ちょっと回答を見てみましょうか。

土田 ほら、この、『今、もっともオススメの劇団とその理由を教えてください』。この回答、みんな自分の劇団じゃないですか。こういう時こそ何か面白いことを言わないと。三浦(有為子)さんに至っては、前に会った時に“劇作家として土田さん、好きです”って言われたことあるんですよ。なのに、答えは『ペンギンプルペイルパイルズ』。余計に嫌になりました(笑)

吉田 最終回、土田さんにもご登場いただきました。

土田 僕の話はやめてください

吉田 ちょっと土田さんの回答も見てみましょう。

インタビューカットB

土田 もうひどいですね。『「○○なのは夏のせい」で一文お願いします。』に対する回答が『カンフェティでチケットが売れないのは夏のせい』。こういうのが逃げですね。良くない。あと、『演劇人の流しそうめんにありがちなこと』に対する『そうめんなのにカミ過ぎた』って答えは、飲み屋のお姉さんに考えてもらいました(笑)

吉田 え! そうなんですか?(笑)

土田 ギリギリまでやってなかったんです。制作から“明日出さなきゃいけないんだ!”って怒られて、ちょうど本番中だったんですけど、お題の書いた紙をプリントを抱えて、ずっと楽屋で考えこんで、結局そのまま飲み屋まで持っていきました(笑)。でもこの企画はいいですよ。自分たちの力量を問われます。しんどかったですけど、演劇人はこういうところでも面白いことを考えられなきゃダメだって考えた方がいいです。

吉田 やっぱり劇作家にとって大喜利って役に立ちます?

土田 立つと思います。ここまで笑いに特化したことじゃないにせよ、劇作の中でも本当は部分部分で大喜利みたいなことはやっているはずなんですよ。たとえば男女がいて、会話があって、ちょっと予想外のことを入れつつ話を運ぼうってなった時に、どのワードにしたらベタでもなく痛くもなく、面白かったり、悲しかったりさせられるかっていうのは、瞬間的に考えているはずなんです。でも普段はそこだけを抜き出されて評価されることはない。そういう意味で演劇人にとっては難しいなと思いました。

吉田 じゃあこの中で意外に面白かった人っています?

土田 ままごとの宮永(琢生)さん。この人は別に作家ってわけじゃないじゃないですか。でも、『線香花火が落ちる瞬間に喋った!さて、なんて言った?』に対して、『だと思った!』って回答は面白いし、『お客さんが舞台上の役者さんと目が合った!と勘違いする現象に名前をつけてください』に『初恋』なんてすごくオシャレですよね。かなりいいと思います。

吉田 では、グランプリをあげるとすると?

土田 うーん。みんなお題も違うわけだからグランプリっていうのは決められないけれど、今回目を通して驚いたのが、意外にモデルさんとか女優さんとか女性タレントのみなさんが面白いんです。自然と直球で出た面白さなんでしょうね。河内(美里)さんの『新発売の浮き輪に付いていた機能とは?』に対する『モーター』なんて、こんな単純な答え、逆になかなか出てこない。きっとバラエティ番組とか向いていると思うし、コメディの才能もあると思う。なので、誰かひとりというわけではありませんが、こんなのにチャレンジしても何の得もしないのに(笑)、果敢にもトライしてくれた女性タレントのみなさんにグランプリを差し上げたいと思います!

吉田 ご高評どうもありがとうございます。おかげさまで楽しい対談となりました。最後にちょっとだけ挨拶を。2006年、なにか舞台人の素の表情をアピールできる場を作れたら、もっと一般の方々にステージを身近なものに感じてもらえるのでは? という想いから始めたこの企画も、今年で丸10年を迎え、ここでひと区切りをつけることとなりました。ここだけの話、潤沢な予算もなく全くの手作りの企画で、出題したすべてのお題は、毎月、社員全員(もちろん社長も)が一堂に会して、う〜んう〜ん言いながら考えて、拙いながらもその中でベストなお題をひとつひとつ決めていました。カンフェティWebの数あるコーナーの中の、小さな一つの企画ではありましたが、全社員がここまで思い入れのある企画は、後にも先に無いでしょう。言い切れます。ご参加頂いた方々も、最初は演劇人主体でしたが、徐々にジャンルも増え、やがてお笑い・クラシック・ダンス・バレエと様々な業界の方々にご参加いただきました。読者の皆様、ご参加頂いた皆様、長い間本当にありがとうございました。

インタビューカットC

PROFILE

● 土田 英生(つちだ・ひでお)
1967年3月26日生まれ。愛知県出身。劇団MONO代表。大学在学中に演劇の世界に足を踏み入れ、89年、MONOの前身となるB級プラクティスを結成。作・演出の多くを手がける。99年、『その鉄塔に男たちはいるという』で第6回OMS戯曲賞大賞を受賞。01年、文学座に書き下ろした『崩れた石垣、のぼる鮭たち』により第56回芸術祭賞演劇部門にて優秀賞を受賞。03年には文化庁の新進芸術家留学制度で1年間ロンドンに留学した。劇作と並行してテレビドラマ・映画の脚本も多数手がけている。

10のセンス

2006年9月よりカンフェティウェブでスタートした、舞台人による大喜利連載。各回10名の舞台人が大喜利を行い、互いのセンスを競い合った。2015年8月末に連載終了。のべ参加者368人。総お題数1,378問。