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広田淳一・渡邉圭介


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一面的ではなく、いろんな方向から光を当てたい

結成15周年を迎えた「アマヤドリ」が、現代に響く壮大な祝祭劇を再演

「怒り」を放棄して暮らすとある国のとある学校の世界と、自分の死をもって平和を訴える組織の世界を交互に行き来することで、多くの問題を定義する2013年の「月の剥がれる」が再演される。世界で紛争が散発し、日本においても安全保障関連法案が通過したりしている現在だからこそ、初演時よりもよりリアルな感覚で受け止められることであろうこの舞台の作・演出、広田淳一さん、出演の渡邉圭介さんに話を伺った。


インタビュー写真

――― 初演は2013年だそうですが、そのときは、どのようなきっかけで書かれたんですか?

広田「本編に直接関わっているわけじゃないんですけど、2012年の11月、12月に、チベットで起こった焼身抗議のニュースが報じられているのを見て、これは何が起こっているんだろうと思ったのが動機になっていますね」

――― 今もチベットの焼身抗議だけでなく、さまざまな形で命をもって抗議している人のニュースを見ますが。

広田「どこかに正解があると思って正解を探すゲームをしてしまいがちですけど、パレスチナのことを考えても、よりましな間違い方はないのかっていう、苦渋の選択をするのが、現代ではないのかって思っていて、そういうことをどう向き合うかってことを考えて書いた作品でもあるんですよね」

――― 2013年よりも、より自分の身近な問題として見ることができそうな気もします。

広田「2013年はSEALDsもいなかったですけど、今回『月の剥がれる』の舞台を見て、彼らのことを思い浮かべる人もいるんだろうなとは思いますね。この舞台に関してはSEALDsよりも意識の低い人たちが描かれてるとは思ってるんですよね。やっぱり革命って、地位だったり家庭だったり、守るものがある人にはできなくて、もっと無名であったり、若かったり、貧しかったりということが、革命に命をかけてしまう人の要素だと思ってたので。でもSEALDsって、どっちかっていうと、もうちょっと“持っている”人というか。だから彼らの行く末にも興味はあるんですよ。とはいえ、この舞台を単に政治の話にはしたくないというのもあるんですよね」


インタビュー写真

――― 渡邉さんは、初演時にこの台本を初めて読んだとき、どんな感想を持たれましたか。

渡邉「頭をぶん殴られるような感覚がありました。狂信的な団体だったり、自分と正反対の生き方をしてる人を見て、この人はこういう人だって決めるけて単純化してしまうところが自分にもあったけれど、この台本を読んで、反対側にいるように見える人にも、こういう考えを持っていて、ちゃんと紐解けば共感ができなくても、理解はできるんだってことがテーマとして書かれていたので。今までいかに自分が誤解や偏見にまみれていたんだと思いました」

――― 前回、この舞台の初演で渡邉さんはどのような役を演じられたんですか?

広田「学生たちと、政治団体のパートに別れてて、なんかちゃらちゃらしてるけど、最後はハードボイルドな役でしたね」

渡邉「僕は政治団体の一員なんですけど、中堅の役割で誰かを勧誘したりとかしていて。最後には、ハードボイルドなシーンがあるんですけど、そのシーンでは大きな空間に二人しかいないので、背負わないといけないしで四苦八苦しましたね。政治団体の抗議行動に対しても、普段の自分からは距離があるじゃないですか。でも、今回は、その距離を超えて、いかに自分のこととして演じられるかと考えています。いかに恐れずに飛びこめるかということに、残りの稽古の時間をつぎこみたいなと」

広田「とはいえ、役はまだ決まってないんですけどね」

渡邉「配役が決まってないということで、今の稽古場はけっこうピリピリしてたりするし、若い劇団員も、こういう演技するんで見てくださいっていうのもウェルカムで。というか、そういう姿勢がないといけないという劇団なので、それが僕たち俳優の成長にもつながりますね」

広田「やっぱり、俳優が成長するためには、大きい役をやんないと育たないと思うんですよ。例えば、ドラマに劇団の俳優が出たとしても、ワンカットってことも多いですよね。ワンカットだと、どうしてもドラマを動かしたっていう実感も持てないから、なかなか成長はしにくいと思うんです。劇団だと、いろんな俳優にスポットを当てられるし、前回はこの人だったから、今回はこの人っていう風にやって行かないと、育てようがないよなって思って」


インタビュー写真

――― 舞台の話に戻りますが、初演では、最後に明確な答えが出る話じゃないので、難しいという人もいたし、明確じゃないからこそ、いろいろ考えることができたって人もいたそうですね。

広田「すごく挑戦的な作品だったとは思います。でも、30人の俳優がワーッと舞台に出てきたりと、スペクタル性もあるので、言葉のレベルでは理解できなくても、人の力で感動したって人なんかもいて。演劇だからやれることもあると思うんですよ。例えば、劇団にツアーで出て、銭湯にいったりすると、音のないままテレビをつけてたりするんですけど、テロップだけ見てたら意味がだいたいわかってしまう。演劇は、一つの場所に集まって見るので、お客さんの集中力に期待していいメディアだと思うし、あまりわかりやすくしないでもいいんじゃないかなとも思っています」

――― あと、前回は日によって長い日も短い日もあったとか。

広田「初日を終えて、劇場から短くした方が良いというオーダーもあって。僕のほうでは、テーマが複雑で過激なものを書いてるという意識があったので、一面的ではなく、いろんな方向から光を当てないとという思いがあって長くなってしまったというところはあります。例えば、原発問題一つとっても、脱原発は正しいけれど、脱原発をすることによって、失業する人もいる。原発で働いてる人を悪者にするのは簡単だけど、単純な人に描いてはいけないし、どっちの側にいる人のこともちゃんと想像しないといけないだろうと思って。最後に双方がぶつかるときに、価値観の違う他者に出会う、そういうことを書きたいということがあったので、長くなってしまうんですよね」


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――― それと同時に、ふわっとしている人を描いたとも言われてましたね。これは、どういうことなんですか?

広田「運動って、別に狂信的な人がやってるわけでもないと思うんですよ。今って音楽一つとっても、いろんなジャンルがあって、何を聞いてもいい。多様化してるからこそ、すごい熱狂的なものがなくて、熱狂したいって人もいるんじゃないかと思うんですよ。そんな熱狂的なものに、普通の人が巻き込まれて、気づいたら行くところまで行ってしまったという話なんです」

――― 今回、舞台に向けてはどのようにしていこうと思われてますか?

渡邉「自分はこの劇団で7年目で、けっこう先輩になってきたんですけど、客演にはまたぜんぜん違う演技をされる先輩も多いし、最近劇団に入った倉田大輔さんも遅れてやってきた先輩みたいな人なので、お兄さん方に力を借りながら、一俳優として思いっきり演じたいと思いますね」

広田「新作初演じゃないからこそ、物語を作ることに労力をかけないですむので、今回は演出にもっと労力をかけたいですね。手数を多くしていきたいなと。それと、ドラマを大切にしている劇団なので、難しいという意見もありましたけど、誰が見ても入り込めるものになっていると思います。あと、劇団だからこそできる、舞台ならではの身体とかも見せられると思うので、期待して見に来ていただければと思います」


(取材・文&撮影:西森路代)


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PROFILE

広田淳一(ひろた・じゅんいち)のプロフィール画像

● 広田淳一(ひろた・じゅんいち)
1978年生まれ、東京都出身。2001年、東京大学在学中に「ひょっとこ乱舞」を旗揚げ。全作品で脚本・演出を担当し、しばしば出演。2011年『ロクな死にかた』および2012年『うれしい悲鳴』で劇作家協会新人戯曲賞優秀賞を受賞。2012年に「アマヤドリ」へ改名して再スタートを切った。

渡邉圭介(わたなべ・けいすけ)のプロフィール画像

● 渡邉圭介(わたなべ・けいすけ)
1987年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部の卒業制作で劇団員の中村早香と共演したことをきっかけに、2010年、ひょっとこ乱舞『水』に参加。以降、劇団員となる。外部作品への出演には、悪い芝居『カナヅチ女、夜泳ぐ』(2012年)や前田司郎氏作・演出の『生きてるものはいないのか』(2014年)などがある。

公演情報

「月の剥がれる」のチラシ画像

アマヤドリ
月の剥がれる


2016年9月23日 (金) 〜2016年10月3日 (月)
吉祥寺シアター
HP:公演ホームページ

全席指定(一般):3,800円
全席指定(学生):2,500円
全席指定(高校生以下):1,000円(税込)
※今回の公演はC列が最前列となります。予めご了承ください。

詳細はこちら

「月の剥がれる」のチラシ画像

アマヤドリ
月の剥がれる


2016年9月23日 (金) 〜2016年10月3日 (月)
吉祥寺シアター
HP:公演ホームページ

24名限定!3,800円(全席指定・税込) → 【指定席引換券】3,100円さらに2,300Pゲット!(9/29 17時55分〜ポイントUP中!)

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