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ハセガワアユム・黒岩三佳・青木友哉


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22人の実力派俳優が星のホールで火花を散らす、狂犬が溢れる東京を舞台にした連作短編。

これがMUの真骨頂。崩壊した日常の中で描く人間の恐怖と笑いと混沌の群像劇。

近年、多数の岸田國士戯曲賞受賞作家を輩出するなど、その優れた慧眼に定評のあるMITAKA“Next”Selection。17回目となる今回も、確かな実力を持った3劇団が揃った。そのひとつが、ハセガワアユム率いるMUだ。 前作『少年は銃を抱く』で第21回劇作家協会新人戯曲賞最終ノミネートを果たした気鋭は、MITAKA“Next”Selection選出の決め手となった自信作『狂犬百景』を引っさげ、念願の星のホールへ進出する。MUにとって、間違いなく今後の分岐点となる一本。悪意と屈折を抱えた人物造形と、シニカルな笑いの中に、鮮烈なイノセンスを宿すハセガワの世界を、存分に堪能してほしい。


インタビュー写真

もっと先を行きたかった。独自の視点が切り開く新しいステージ。

――― 一部の脚本賞を除けば、小劇場で活動する劇団がその実力や実績を、評価される機会は非常に少ない。だからこそ、ハセガワにとってMITAKA“Next”Selectionは、長年焦がれ切望したステージだった。

ハセガワ「招聘の電話をもらって、たぶん人生初じゃないですか、嬉しくて嗚咽したのなんて。あまりの嗚咽っぷりに、帰ってきたカミさんが身内に不幸でもあったのかと勘違いしたくらい泣いてました(笑) 嬉しかったです」

――― 当時の感激を、そうユーモラスに振り返る。転機となる大一番に、選んだのは代表作のひとつ『狂犬百景』。狂犬病が蔓延した混乱の東京を舞台に、様々な登場人物たちが覗かせる正義や劣情、狂気と祈りを描いた連作短編だ。

ハセガワ「もともとゾンビ映画が好きで、劇団のデビュー作『きみは死んでいる』(07年上演・【youtubeにて公開中】)もマンションに死者が戻って来るミニマムな話なんですけど、『狂犬百景』ではスケールアップして大人数でいろんなシーンをやってみたくて。
 ただ14年の初演の頃にはすでにいろんなメディアでゾンビは散乱していたし、何かもっと先に行きたくて、人ではなく“犬”にしてみようと。同じくゾンビになっても、人間と犬では価値観はひとによって全く違うから。震災のときに同行避難できなかったペットたちや、10年くらい前に急逝した飼い猫のことを、照らし合わせたりもしました。人間は「平等」って当たり前なのに、ペットはなんであんなに不平等で無力なんだろうって。ペットがゾンビになったら僕らに何を及ぼすんだろうって。そんな、まだ誰も描いたことのない新しいステージが描ける気がしたんです」


――― 物語は計4話から成り立つ。第1話は、コンビニ。第2話は、製菓会社のオフィス。第3話は、漫画家の豪邸。そして第4話は動物愛護センター。登場人物もテイストも自在に変幻しながら、持ち味である尖った会話劇が加速していく。

ハセガワ「海外の連続ドラマのような構成にしたかったというのがまずありました。その上で、各話ごとに色は変えたいと。1話が序章的なホラーなら2話はコメディ。そして3話はまたグッとサスペンスの要素が濃くなって、ラストの4話は動物の殺処分問題に斬りこんだ僕なりの社会派ドラマ。ちなみにゾンビは大枠としてありますが、過激な描写ではなく描きたいのは人間ドラマであり、各話で登場したキャラクターが意外な形で再登場したりする、そういう連続ドラマのようなワクワクする展開を味わってもらえれば」

――― 近年、ハセガワはエチュード(俳優による即興芝居)をもとにした劇作を試みている。本作も、「地下稽古」と題し、半年に及ぶエチュードによる実験を経て完成した。

ハセガワ「結局、演劇って俳優の身体を通して立体化するものがゴール。だからアイディアが湧いても、まずエチュードで「狂犬病の犬に囲まれる」設定でいろんな場所を試して絞りました。映画館や温泉や、小田急線の駅とか待合室で戦ったりして大笑いしたけどボツでしたね(笑) そうやって俳優の身体を通じて、本当に面白いかどうかを確認しながら、ときどき口立てで台詞を言ってもらい、エチュードなんだけど、既に一緒に執筆してる感覚なんです。俳優が面白いとハードルも上がって自分の首を絞めちゃうんですけど、それに負けじと執筆するので。普通にベッドルームで生まれる戯曲よりフィジカルだなって確信があります」


インタビュー写真

誰も見たことない、でもどこかで見たことがある物語を描きたい。

――― 第1話に登場するのは、ままごと『わが星』にも出演したキリンバズウカの黒岩三佳と、MU常連の青木友哉。青木が扮するのはコンビニの店長・青柳。そして黒岩が、青柳の元恋人で、動物愛護団体に所属する女・友紀奈を演じる。

青木「アユムさんの魅力は、視点の独自性。読み解いていくとテーマそのものはすごく身近なものなのに、設定や人物に捻りが効いている分、ぶっ飛んで見える。そういうテーマの選び方や捻りの効かせ方に、独特のセンスを感じます」

黒岩「『隣の荒ぶってるアパートみました?』って台詞があるんですけど、「アパートが荒ぶる」って表現を何の前触れもなく突然ぶっ込んてくるんですよ。この台詞だけで人物のキャラクターが今までとは違う段階にグッと引き上げられて、知らない間にハセガワワールドに引きずり込まれちゃうんです。その引きずり込み方や視点がとても面白いなぁって思います」

――― 俳優たちが思わず唸るエッジーな視点。ハセガワは、世界を、時代を、どのように観察しているのか。

ハセガワ「何より着眼点やオリジナリティが一番大事だと思うんですよね。人間、それぞれ着ている服は違えど裸にしたら同じ。抱えている悩みや想いは大差ないと思うんです。だからこそ、外側や見せ方が大事というか。常に、誰も見たことがない、でもどこかで見たことがある、そんな風景や物語をつくりたい。少年が銃を配る話(『少年は銃を抱く』)とか、野外でエッチするカップルを取り締まる話(『HNG』)とか、みんなそんな感じです。
 ゾンビってジャンルも常にちゃんと進化してて、Netflix(ネットフリックス)で配信してる海外ドラマ『ザ・リターン』なんて最高ですよ。死者が続々と蘇る小さな街が舞台なんですけど、もうゾンビすら出て来ない。普通に何事も無かったかのように生き返ってきて「どうやったら日常に戻れるか」に焦点を当ててドラマを描いてる。そういうのを見るとシンクロ二シティを感じます」

インタビュー写真

ペットへの執着か、恋愛の残り火か。男女をつなぐ奇妙な連帯感。

――― 多彩なキャラクターが登場する連作短編の中でコアを担う青柳と友紀奈。演じる青木と黒岩も、その奇妙な関係性をひそやかに愉しんでいる。

黒岩「まったく想像しなかった展開で、台本を読みながらビックリしました。でも突拍子がないように見えることも、日常と紙一重なことだったりするんですよね。真面目で責任感が強いゆえに、愛情がおかしくなっていってしまう友紀奈の心情は、同じ女性として理解できますね」

青木「同じようにシナリオライターを目指していた男女が、別れてしばらく経って再会したら別々の道に進んでいる。ふたりが飼ってて亡くなった犬の思い出話をしたり、最初はお互い近いところにいるのかなと思っていたら、思いがけない出来事が起きて、ふたりがどんどん変わっていく。その変化の違いが対照的なんだけど、どこかありえる気がしました。このふたりは、この物語における人間の優しさを表したキャラクター。大切なものを失った側の視点から出来事を見つめている人物だととらえています」

ハセガワ「別れた恋人が会いに来るってこと自体が、充分ファンタジーじゃないですか。どんな時間を過ごそうが残酷なくらいもう無関係な訳ですから。ふたりは、飼い犬が亡くなったことを介して薄い絆が復活する。それが恋愛の残り火なのか、ペットへの敬意なのか執着なのかはわからないけど、その感情の残り火がゆらゆら出てくる感じもゾンビっぽくていいなって。フィクションの中でしか決着つけれないですから、そんな残り火」

――― さらに音楽には、小説家の戸梶圭太を起用。映画『溺れる魚』の原作者としても知られる作家・戸梶の音楽にも注目したい。

ハセガワ「戸梶さんは、多彩な方で憧れています。非常にブラックで刺激的な小説を書かれていて、それこそゾンビ好きなんだろうなと感じる『バカをあやつれ!』(06年)は地方都市を破滅に追いやる描写がすごくて感服しましたけど、作曲家としてはスペーシーで、ミニマルテクノのような音楽をつくり続けている。根底にあるゾンビ魂が共鳴したのか、今回は絶対に戸梶さんの音楽がハマるので是非お願いをしました。ぜひ戸梶さんのファンの方にも観てほしいですね」

――― 出演者が総勢22名。MU常連から、柿喰う客、ポップンマッシュルームチキン野郎、レティクル東京座まで多彩なバックグラウンドを備えた俳優が揃った。

ハセガワ「このキャスティングこそがMUの間口の広さの証明です。彼らがMUに感じてくれた魅力は、伝播して俳優や劇団のファンの方にも通じるはず。また客演で呼ぶからには所属劇団のポジションとはちょっと違う役をお願いするので楽しみのひとつかなと。実は元青年団や元青年座の人もいたり、MUと近い会話劇系、シュール系、エンタメ系、コメディ系、と多種多様。出自も含めて本当の群像劇ですね」

――― 贅沢な顔ぶれとともに挑む、待望のMITAKA“Next”Selection。きっと小劇場界にまた広くMUの名が知れ渡る作品となるはずだ。


(取材・文&撮影:横川良明)


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PROFILE

ハセガワ アユムのプロフィール画像

● ハセガワ アユム
1978年 東京都生まれ。子役を経て、桐朋短期大学芸術学部演劇科卒業。99年より同期生を中心にコント系劇団を立ち上げて活動するも、03年に解散。その後は、俳優として、絶対王様、ブラジルなどの舞台に立つ。07年、ソロユニット・MUを立ち上げ。08年には『戦争に行って来た』で文芸社ビジュアルアート 星の戯曲賞 準グランプリを受賞。15年、『少年は銃を抱く』で第21回劇作家協会新人戯曲賞に最終ノミネートした。また、20歳の頃よりナレーターとして活動する他、13年、映画『新見的おとぎばなし』で商業監督デビュー。同年、映画『ミスターホーム』池田千尋総監督のもと、オムニバス連作で一編『天才詩人』の脚本・監督を担当。様々な肩書きを巧みに使い分け、ジャンルにとらわれない活躍を見せている。

黒岩三佳(くろいわ・みか)のプロフィール画像

● 黒岩三佳(くろいわ・みか)
5月20日生まれ。2005年から2012年まで劇団あひるなんちゃらに所属。2014年、劇団キリンバズウカに所属すると共に、solo-ist にてソロ活動を開始。近年の主な出演作にままごと『わが星』、菅間馬鈴薯堂『幻の女(ひと)〜台所の漱石・鏡子夫妻〜』など。16年2月、主演映画『湖底の蛇』が公開。

青木友哉(あおき・ともや)のプロフィール画像

● 青木友哉(あおき・ともや)
8月11日生まれ。石川県出身。劇団青年座研究所修了後、数多くの舞台作品に出演する他、ナレーターとしても活動。近年の出演作にMU『狂犬百景』『少年は銃を抱く』『HMG』、らまのだ『青いプロペラ』などがある。

● MU(ムー)
2007年より東京を中心に活動。ハセガワアユムの尖った会話劇を武器に、ありえない設定であり得る物語を紡ぐ。14年、『狂犬百景』を機にMITAKA “Next” Selection 2016 に選ばれる。15年、『少年は銃を抱く』で第21回劇作家協会新人戯曲賞最終ノミネートなど躍進。フライヤーのビジュアルと劇場で起きる笑いのギャップに驚かれるが、その両輪そのものが魅力。

公演情報

「狂犬百景」のチラシ画像

MU
狂犬百景


2016年10月1日 (土) 〜2016年10月10日 (月・祝)
三鷹市芸術文化センター 星のホール
HP:公演ホームページ

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