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石田 隼


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フレッシュなキャスト陣が真剣勝負! 和田憲明演出・牧田明宏脚本の問題作

“何も起こらない”日常の裏側をどう表現するか、若き俊英が未知の領域にチャレンジ

リアルかつ緊張感あふれる演出でいくつもの問題作を送り出してきた演出家・和田憲明が手がける次回作は、スイミングスクールを舞台に繰り広げられる会話劇『口紅』。一見ごく普通の日常が淡々と流れる中、その裏では重大な出来事が次々に起こり、登場人物の間にある空気を変えていく。まさに役者の力量が問われる本作のキャスト陣を代表して、24歳の俊英・石田隼が意気込みを語ってくれた。


インタビュー写真

憲明さんの指導を受けて舞台に立ちたい

――― 和田が演出する作品は、ヘヴィな題材で積極的に若手役者を起用していることが多い。今回の『口紅』でも、フレッシュな役者たちが普段のイメージと異なる役柄に挑む。その中でも石田は、厳しい演出で知られる和田自身がいち早く採用したキャストの1人だ。

「まず憲明さんにお会いして、今までどんな芝居をしてきたか、どんな人の演出を受けてきたか、どんな映画が好きかなど、芝居に関するいろいろなことを聞かれました。そのとき、“自分はこういう演出家なんだ”ということを熱く話してくださったんですけど、印象的だったのは“演技をしてほしくない”って言われたこと。例えば怒っているシーンだったら、拳を握って怒りを表現するんじゃなくて、舞台上の物語を“生きる”中で、何かがあったから拳を握る。あくまでも普通であってほしいって言われて、本当にそうだなと思いました。
 あと、役者が絶対に持っていきゃいけないこだわりを持たずにどんどん舞台に出て売れていっている人が多くて、俺はそれが嫌なんだと。そんなご自身のことを“自分は変わってる”とおっしゃっていたのですが、僕は全然変わってるとは思わなくて、ぜひこの人の下でご指導を受けて舞台に立ちたいと思いました」

――― 脚本を手がけるのは、2006年の『エンディングノート?ゆるやかな絶望?』などで和田とタッグを組んできた牧田明宏。前述したとおり、ドラマチックな要素はほとんど表に出てこない。

「普通に読むと、サーッと過ぎ去っていく台本なんです。最初に読んだときは、いつか事件が起こるのかなと思いながら読んでいたんですけど、舞台の上では大したことは起こらなくて、でも……という内容。これはすごく難しいなと思いました。その場で何かが起こるんじゃなくて、普通の日常を表現しながら、その裏側で起きたことに対する感じ方、雰囲気を表現していくことが一番大切。台詞もすごく流れが良いんですけど、その1つひとつが重要で、聞き流せないんですよね。とにかく、1回読み始めたら途中でやめられない台本です」

――― そう話す石田が今回演じるのは、スイミングスクールで働くインストラクター・中嶋 保。

「まだ台本を読んだだけですけど、最初は普通だと見せておいた後で、本当の姿が見えてくる感じ。だから僕自身、この役柄の魅力をこれからどんどん知っていく必要がありますね。稽古に入ってから気づくこともあるだろうし。でも多分、ちょっとやそっとではこの役柄のことはわからないんじゃないかと思います」

インタビュー写真

観てくださる方にとって忘れられない舞台に

――― 石田と言えば、昨年から続いている『ミュージカル テニスの王子様 3rdシーズン』の大石秀一郎役が有名。原作コミックのイメージを背負って演じるこうした作品と、『口紅』におけるリアリティの追求は、ある意味正反対のように思える。

「『テニスの王子様』で初めて2.5次元の舞台をやらせていただいて、まず原作のキャラクターをよく知り、それを自分に落とし込んでいく作り方を新たに学びました。でもその前は、もともと舞台を生で生きるというか、そこで今起きていることを感じて演じるというやり方を追求していたんです。お芝居を始めたときに、そういう指導を受けていたので、形より気持ちの方が強く出るという演じ方の方が、僕自身は好きですね」

――― そういう意味では石田にとって原点回帰とも言えるが、それでも前出のコメントの通り「すごく難しい」という本作。何か演技のヒントになりそうなものはあるのか、と尋ねてみると……。

「憲明さんから、自分が好きだという映画のリストをいただいたんです。50本くらいあって、それを見れば憲明さんのことがつかめるんじゃないかと思って、合間を縫って観ているところです。知らない映画も多かったので、そこから参考にできるものがあるといいなと思っています」

――― 和田と映画の話をしたときに交わした言葉の中には、とても印象的なものがあったという。

「ジョニー・デップとかブラッド・ピットみたいな芝居ができる役者になってほしいと言われたんです。もちろんそういう人にはなれないですけど、そういう芝居だったら頑張っていきたいなっていう気持ちが芽生えて、今でもその言葉はすごく残っています。そういう人たちと、同等ではないですけど一緒に見てくださったというのが、とにかくありがたかったですね」

――― ベテラン演出家も認めた石田が、本作で新たな一面を見せてくれるのは間違いないだろう。

「僕の出る舞台をずっと観てくださっている方にとっては、忘れられないというか、すごく考えさせられる作品になると思います。ここに出てくる登場人物は、誰もが少なからずこういう一面を持っているんじゃないかと思えるし、劇中で語られる出来事も、誰もが経験してきたり、これから経験する出来事だろうと思うので、観てくださる方にとっての“等身大”になるような舞台だと思います。そして、僕にとっては何もかも未知の世界。どんな刺激を受けるかとても楽しみで、ワクワクしています」


(取材・文&撮影:西本 勲)

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PROFILE

石田 隼(いしだ・しゅん)のプロフィール画像

● 石田 隼(いしだ・しゅん)
1991年10月30日生まれ。主な出演舞台は『異聞天狼伝〜會津新撰組残党記〜』(2013年)、『Blood Heaven〜第七天国Sad wings』(同)、ロックミュージカル『SONG OF SOULS〜慶長幻魔戦記〜』(2014年)、『泣いてたまるか!!いのちのしるし』(同)、『ミュージカル テニスの王子様 3rdシーズン』(2015年〜)など。映画やCMへの出演、モデルとしての活動もある。

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