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西岡コ馬・音尾琢真


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西岡コ馬×音尾琢真、西岡コ馬×新納慎也 Wキャストで上演

幾度となく映像化された男と男のぶつかり合い

1972年にローレンス・オリビエとマイケル・ケインによって映画化された作品が、2016年、西岡コ馬×音尾琢真での「探偵バージョン」、西岡コ馬×新納慎也での「スルースバージョン」の2バージョンで上演される。カンフェティでは、西岡とスルースバージョンに出演する音尾に、この舞台にかける意気込みについて聞いた。


インタビュー写真

――― 今回、出演のオファーを受けたときは、どのような心境でしたか?

音尾「びっくりしました。もともとマイケル・ケインが若い男役を演じたときの映画(『探偵スルース』・1972年)も、逆に作家役を演じた作品(『スルース【探偵】』・2008年)も観ていたので、いつかやりたいなとは思っていたんです。今回は、本番までの時間も短い中でいただいた話だったのですが、この作品だったらどうにかしてやりたいと思って。怖いことはたくさんありますが、お話をいただいたことはうれしい限りです。若い男の役は、自分の今の年齢がギリギリだと思うので、間に合ってよかったです。実は僕にこの映画を勧めてきたのは嫁だったりするので、これをやってもう一回嫁にモテたいなと思います(笑)」

西岡「音尾君も両方観てたってことだけど、僕もリアルタイムで観てたんですよ。文学座に入って1〜2年のころに観たから、衝撃的だったし憧れました。ローレンス・オリビエの作品は全部観てますしね。劇団四季の北大路欣也さん、田中明夫さんが主演の舞台(『探偵(スルース)』・1973年上演)も観ているし。
 僕も若い間に若い男の役をやりたくて、杉浦直樹さんに話を持っていったこともあったんです。でも版権の関係でできなくて、もうこの作品とは縁がないのかと思っていたところに、今回の話をいただいて。実は今日、セブンティ(70歳)になったばかりなので、本当に代表作にしたいなと思っています。演出の深作さんとお話したら、意見はぴったりだし、最高の若手俳優ふたりを選んでもらったし、素晴らしい誕生日プレゼントをもらったみたいな気分です」

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――― いま、“最高の若手俳優ふたりとの共演”というお話も出ましたが、今回は、若い男の役を音尾さんと新納慎也さんのおふたりが演じられるわけですよね。そこに対してのプレッシャーはありますか?

西岡「新納君と稽古して本番やって、その次に音尾君とも稽古して本番やってだから、かなり大変でしょうね。以前、『Paco〜パコと魔法の絵本〜 from「ガマ王子vsザリガニ魔人」』という作品でふたりのパコを相手にしたけど、あれは部分的だったからね。今回は全部が違うから大変。でも、肉体的なことでは、疲れたなんて言ってられないから、毎日ステーキでも食べてがんばるしかない。」

音尾「格好いい!!(笑)」

西岡「でも、以前の作品は観ているけれど、なぞっていくものではないから、僕と音尾君、僕と新納君で、新しいものを構築していきたいなと。それに、一日目ができたから終わりではなく、最終日でも“こうしたい”と思うことはあるはずで、日々、新たにやっていくものだと思います。僕も怖いことは怖いけど、見せるものなんだから怖がってたってしょうがないからね」

音尾「身に沁みます。怖がってちゃいけないですね。僕も、映像になっている過去の作品を、改めて見ることはないと思います。これから台本に向き合って、目の前の西岡さんと向き合って作っていくものだから、過去の作品をなぞる気は僕にもないですね。西岡さんは、僕の一言が変われば、その分新しいものが返してくださるような俳優さんだと思うので、恐れずに胸に飛び込んでいきたいですね」

西岡「実はこの間も同じ映画で撮影してたんです。でも、最初はこの舞台で共演することは知らなかったんだよね。しばらくして、そんな情報を聞いて、ふたりで『ああそうだったんだ』ってね」

音尾「舞台でなく映画ではありますが、ご一緒した経験があるので、安心してやれるんじゃないかと」

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――― この作品は、男と男がぶつかりあう話ですが、大人数でのお芝居とは違う向きあい方があるのでしょうか?

西岡「まあ、人数もあるけれど、相手役によってぜんぜん違うからね。ハムレットだって、演じる人によってそれぞれ違うハムレットがあるわけで。同じマイロという役をふたりが演じても、全然違うものになるのは当然だから、どれだけ二人と演技を練られるかが勝負。テニスの試合で、セットを取り合うときの試合内容が毎回違うようなもんでね」

音尾「舞台の上では敵対するふたりの話ですけど、俳優同士としては、信頼関係が必要だと思います。だから、西岡さんを信頼しきっていこうかなと。そのためには、何かごちそうしてもらえるといいなって(笑)」

西岡「ご褒美は何がいいかな。時には俺がご褒美をもらったりね。芝居ってのはキャッチボールだからね、ばーんって投げても捕らないといけない。でも、いつも同じだと面白くないから、カーブや変化球も投げるんです。僕は格闘技の感覚だな。とにかく、ワクワクしながら相手の演技を受け止めたいですね」

音尾「僕からしたら、先に新納さんが演じているので、どんなことをしているのか気になるし、本番や稽古は見たほうがいいのかという葛藤もあります」

西岡「難しいところだね」

音尾「邪魔しちゃいけないとも思うし、それを恐れてもいけないし、作品を観た方の感想をSNSで見たときに、新納さんの演技が褒められてたら落ち込んだりしそうで……(笑)」

西岡「演出家でもそういうことはあるよね。以前、『祈りと怪物〜ウィルヴィルの三姉妹〜』という舞台をKERAバージョンと蜷川幸雄バージョンで上演したことがあって、僕はKERAバージョンに出演したんだけど、蜷川さんはKERAバージョンは観に来なかったね。俳優は何人かは観に来たけど、ぜんぜん違うねって言ってて。でも、それでいいと思うんですよね。基本的に違う人がやるんだから、違って当然なんですよ。それに、音尾さんは今すごく評判のいい俳優さんだから、ワクワクしているんです」

音尾「今のうちに言っておきましょう。そんなに大したことないんですよ」

西岡「いやいや、いろいろやってくれると思いますよ」

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――― 今回は、推理劇ということですが、お客様に見どころとして注目して頂きたいのはどのあたりですか?

西岡「やっぱり、ミステリーってみんな好きですよね。最後まで見ないとどうなるかわからないものが。でも、この作品は、男同士の持っているいろんなコンプレックスや嫉妬やプライドのぶつかりあいも描かれるので、そっちの部分でも面白いなと思います。しかも、探偵ってタイトルにあるけど、探偵は出てこないからね。そこがひとつのポイントでもあります」

音尾「映画でも、二人の男がプライドをかけて、目の前の人と化かし合うんですよね。ワンシチュエーションで、観客を飽きさせないように僕たちも緊張の糸を張りつめてお芝居をしていきますので、観ている人には、あっという間に感じるんじゃないかと思います。これぞ演劇ならではという息遣いを感じてもらえたらと思います」

西岡「あと、スルース(探偵)はお客様だと思いますね。そういう見方をしていただけたらと思います。この作品は、観客という探偵が必要なので」

音尾「いいの出ましたね!(笑)」


(取材・文&撮影:西森路代)

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PROFILE

西岡コ馬(にしおか・とくま)のプロフィール画像

● 西岡コ馬(にしおか・とくま)
1946年10月5日生まれ。神奈川県出身。大学卒業後の1970年に文学座に入団。以降、映画『極道の妻たち』シリーズや、ドラマ『東京ラブストーリー』、『アゲイン 28年目の甲子園』『HiGH&LOW』などに出演。2012年からは、ドラマスクール、レッドホースヒルズも主催している。

音尾琢真(おとお・たくま)のプロフィール画像

● 音尾琢真(おとお・たくま)
1976年3月21日生まれ。北海道出身。北海学園大在学中に出会った仲間とTEAM NACSを結成。出演作に映画『日本で一番悪い奴ら』、大河ドラマ『花燃ゆ』、ドラマ『私結婚できないんじゃなくて、しないんです』、舞台『メルシーおもてなし!〜志の輔らくごMIX』などがある。

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