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川井郁子


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林真理子の小説を“ヴァイオリンで演じる”渾身の舞台が再び!

ジャンルを超えて活躍するヴァイオリニストが音と言葉で描き出す源氏物語の世界

昨年、日本橋・三越劇場で上演されて好評を博した『川井郁子の世界〜源氏物語、奏で〜』。川井自身が「音楽とセリフで紡ぐ一人芝居は大きな発見でした」と語るこの舞台では、林真理子の『六条御息所 源氏がたり』を題材にした新しい形のパフォーマンスを披露。昭和初期の趣を残す老舗ホールの雰囲気と相まって、多くの観客の感動を誘った。それから約半年、前公演をブラッシュアップした『川井郁子の世界〜源氏物語 音がたり〜』に期待を膨らませる川井が、ヴァイオリンと過ごしてきたこれまでのキャリアと、今回の舞台との繋がりについて話してくれた。


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自分自身の音楽を確立するために

――― 6歳でヴァイオリンを始めた川井は、「私にとってヴァイオリンは最初から特別な存在」と目を輝かせながら話す。

「ラジオでヴァイオリンの音を聴いて好きになり、自分から“やりたい”って言ったんです。それから実際にヴァイオリンを手にするまで半年間待ち焦がれたので、そのときはもう特別なものになっていました。1/4サイズのヴァイオリンを父がプレゼントしてくれて、もちろん初めはちゃんとした音は出ませんでしたが、すごく嬉しかったその日のことはとてもよく覚えています」

――― そして、子供の頃から曲の断片を書くのが好きだったという。

「“こういう曲を作ろう”というのではなく、イメージで遊ぶのが好きでした。ピアノもやっていたので、それでメロディの断片を考えたり、お話を考えたり……空想の一環みたいなものですね。絵画を観ながらヴァイオリンを弾いたりすることもありました」

――― 「ヴァイオリンを辞めたいと思ったことは一度もありません」という川井は、やがて東京芸術大学へ進学する。その過程では、イメージの世界で楽しむ演奏とは違う努力も必要とされたが、現在の活動を支える下地の多くもその時期に築かれた。

「もともと割と感情で弾くことが好きだったので、レッスンではよくそこを直されました。クラシックは作曲家の意図を忠実に表現することが根本にありますから、歌い過ぎてはいけないとか。でも芸大に入ることが目的でしたから、言われるままに頑張っていたんです。入学してからも、同じ曲をみんなが弾く中で、“そんなに歌ったらブラームスじゃない”なんて言われることに虚しさを感じたり、もっと自分らしさを出したいって漠然と思っていましたが、根がすごく真面目なので(笑)、そこから別の道を探すということはしていませんでした。ただ、聴く音楽はロックや映画音楽、民族音楽など、クラシック以外のものもたくさん聴いていましたね」

――― その後、大学院を修了した川井はCD発売やイベント、テレビ/映画への出演などさまざまな仕事を経験。しかし「これは自分じゃなくてもできる仕事」という思いがあった。

「クラシックのプレイヤーにはないタイプのリズム感があるということで、イギリスで発売されるダンスミュージックのCDに参加したら、向こうのチャートに入って、その逆輸入という形で日本でもいろんな仕事をさせていただきました。同じ時期にテレビや映画にも出させていただいて、そういう面白さはありましたけど、自分の音楽を確立したいという気持ちはなかなか満たされませんでした」

――― そんな頃に出会ったアルゼンチンタンゴの革命家、アストル・ピアソラの音楽が、彼女の意識を大きく変えた。

「あるとき、ピアニストの知り合いから電話をもらったんです。“ピアソラって知ってる? 郁子ちゃんは絶対好きだと思うから聴いてみて”って。それでさっそくCDを買って聴いてみたら、とてもびっくりして……もちろん音楽自体も強烈でしたが、ジャンルを超えた音楽だということが、すごく伝わってきたんです。私は仕事でいろんな音楽を演奏しながら、どのジャンルが自分らしいんだろうって思っていたんですけど、そういうことじゃないんだなと。
 ピアソラはアルゼンチンタンゴだけじゃなくクラシックもジャズも吸収して、他にないジャンルを作った。彼自身を表現するためにジャンルが生まれたというのが素晴らしく、それが正解だなと思ったんです。それまではいろんなジャンルの音楽を聴いても、気晴らしのためとか、ただ楽しいからという気持ちで、自分の音楽とは分けて考えていたのが、そこに取り入れるべきものがあるという意識で聴けるようになったのはすごく良かったです」

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台詞と演奏の境目がない世界を見つけた

――― さまざまなジャンルの音楽を自分のものとして取り入れられるようになったという川井。その中でも特に大きかったのが和楽器の存在だった。

「和楽器は、デビュー2作目からほとんどのアルバムで取り上げています。それまで一緒にやったことなんてなかったのに、自分で曲を書いたりアレンジしたりするとき、頭の中に尺八や篠笛、和太鼓、琴などの音が聴こえてきたんです。“和楽器を取り入れた曲を作ろう”なんて思ったことは一度もなくて、ごく自然に。ヴァイオリンの音色とのコントラストがとても良く、自分が対峙するものとしては最も“来る”楽器です。タンゴに限界を感じたピアソラがヨーロッパに勉強に行ったとき、先生から“あなたの音楽の原点はタンゴだ”って言われたのと同じように、私も日本人のヴァイオリニストだというところは、創作者として大事にしたいアイデンティティだと思っています」

――― そしてもうひとつ、川井の活動を大きく特徴付けているのが、舞踏劇や音楽劇への出演だ。寺山修司『上海異人娼館』(2005年)や、ロシアバレエの帝王ファルフ・ルジマトフとのコラボレーション『COLD SLEEP』(2010年)、川井自身の『Duende』シリーズなどを通して、“ヴァイオリンで演じる”という挑戦を重ねている。

「純粋な女優としての仕事は何回か経験したことがある程度ですが、そのときは音楽を演奏しているような気持ちにはなれなくて、言葉で表現するのは私には向いていないと思い込んでいました。でもその後、舞台で“音楽で演じる”機会をいただくようになって、コンサート以上に音楽の世界にのめり込める感覚を味わったんです。ある種のトランス状態になれるというか。
 もしかしたら音楽を演奏しているときも、誰か別の人間に乗り移ったような気持ちで弾いているのかもっている発見もありました。普通のヴァイオリニストだったら、ここでこういう動きをしながら演奏するというのは負荷になると思うんですけど、私は動きながら弾いた方が、作品の世界に迷いなく入っていける。コンサートとは違う照明で、演奏家ではない共演者がいて、ゾクゾクするような気持ちで演奏できるんです」

――― そんな川井が昨年三越劇場で行った『川井郁子の世界〜源氏物語、奏で〜』は、第一部が和楽器とのコラボレーション、第二部では『源氏物語』をモチーフに書かれた林真理子の『六条御息所 源氏がたり』を、川井が六条御息所として語りながら演奏するというユニークな試みだった。

「最初はこれまでのようにダンサーの方と一緒にやることも考えたのですが、林真理子さんの小説が六条御息所の独り語りで書かれていることもあり、だったら一人芝居にチャレンジしてみようと。それがすごく良かったですね。先ほど、言葉の表現は自分に向いていないと言いましたが、このときは言葉で自分の気持ちが高まり、その気持ちで音楽を演奏することが相乗効果になって、台詞と演奏の切り替えが全く必要なかったんです。お客様も、台詞と音楽の違和感のなさに驚いたと言ってくださって、私にとってはとても大きな発見でした。中には、泣きながら観ているお客様もいらっしゃいました」

――― 5月の公演『川井郁子の世界〜源氏物語 音がたり〜』は、演出や美術も含めてブラッシュアップしたものになるという。

「前回の舞台を踏まえて、より劇場寄りのチームにお願いして、どこまでお話を広げるか、美術をどう変えるかといった話をしているところです。三越劇場は他の劇場にはない雰囲気を持っていて、いろいろ作り込まなくても、空間が力を貸してくれます。お客様との距離感も含め、演奏者としてとても弾きやすい、表現しやすいホールです。集中させてくれる会場ですね」

――― 併せて今年は、川井にとって久しぶりのオリジナルアルバムも発売される予定。表現者としての彼女の真髄を、生の舞台とCDの両方で味わえるその日が待ち遠しい。

「半分は和の世界、もう半分はオリエンタルな熱い世界観のアルバムにしたいと思っています。和の世界というと静かな感じを思い浮かべる方が多いと思いますが、私が感じる和は逆で、すごく躍動的。表面的には静かでも、中にすごくうごめいているものがあるという世界観を、クラシックの名曲をアレンジしたものと自分のオリジナル曲の両方で作っていきたいです。5月の舞台のテーマ曲になるようなものも入れる予定なので、楽しみにしていてください」


(取材・文:西本 勲)

PROFILE

川井郁子(かわい・いくこ)のプロフィール画像

● 川井郁子(かわい・いくこ)
香川県出身。ヴァイオリニスト、作曲家。東京芸術大学卒業。同大学院修了。現在、大阪芸術大学教授。 国内外の主要オーケストラと共演するほか、ポップス系アーティストやバレエダンサー、フィギュアスケート選手とのコラボレーションも精力的に行う。2012年、映画『北のカナリアたち』の音楽を担当、第36回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。作曲家としてもジャンルを超えた音楽作りに才能を発揮し、TVやCMなど映像音楽の作曲も手がける。自身のオリジナルアルバム『レッド・ヴァイオリン』『オーロラ』『嵐が丘』『La Japonaise』といった作品はクラシック界で異例のセールスを記録。舞台芸術と一体化した演奏パフォーマンスによる新たな舞踊劇・音楽劇にも意欲を注いでいる。  さらに、社会的活動として「川井郁子 Mother Hand基金」を設立。国連UNHCR協会国連難民親善アーティスト、全日本社寺観光連盟親善大使を務める。

公演情報

「川井郁子の世界 〜源氏物語 音がたり〜」のチラシ画像

三越劇場創立90周年
川井郁子の世界 〜源氏物語 音がたり〜


2017年5月19日 (金)
三越劇場
HP:公演ホームページ

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