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チェルフィッチュ


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結成20周年を迎えたチェルフィッチュの”集大成”、ついに東京で上演

細やかな気配を感じさせる空間と音の中で、生と死、忘れることについて問いかける

言葉と身体の関係を軸に、新たな舞台表現の可能性を追求しているチェルフィッチュ。その最新作『部屋に流れる時間の旅』は、昨年3月に京都で初演された後、世界16都市を巡って完成度を高めてきた。そしていよいよ6月に待望の東京公演が実現。美術家・久門剛史による細やかな気配を感じさせる空間と音の中で、生と死について、忘れることについて問いかける本作と1年以上にわたり向き合ってきた青柳いづみ、安藤真理、吉田庸の3人に話を聞いた。


インタビュー写真

自分がいない状態、みたいなものをどう作るか

――― 作・演出の岡田利規いわく「未来への希望を抱えた状態で死を迎えた幽霊と、生者の関係を描こうと思った」という本作は、震災直後に妻を亡くした夫と、その新しい恋人になりつつある女性、そして夫だけに見える姿で語りかける妻の幽霊が登場。初演以来、世界16都市で公演を重ねてきた今、3人はどのような手応えを感じているのだろうか。

青柳「今まで岡田さんといろんな作品を作ってきて、毎回いろんな方向から創作やテーマにアプローチしていたけど、今回はそれがまとまったというか、ゼロになった感じがします。あるどこかの方向に進んでいるというよりは、留まっているというか……本当にちゃんと岡田さんの演劇だなと。他の作品でもやっているように、演技をするときに俳優自身がイメージすることとか、俳優が持つイメージをどう観客に伝えるかということを、何よりも重視するみたいなところに戻った感じです」

安藤「京都の初演からだいぶ時間が過ぎたので、しっかりしたものになったというのは思います。最近のチェルフィッチュの作品ではお客さんに向かって話しかけることが少なかったと思うんですけど、今回はそれがあって、しかも一方的に話すのではなく、本当にそう思ってもらわないといけないようなことを直接話しかける、それが今回は大きなことですね」

吉田「京都のときは本番中もまだ探りながらやっている部分がけっこう多かったですが、それから1年くらい経って、チェルフィッチュのやり方、岡田さんが求めるようなやり方がだんだんわかってきたところはあります。それで、単純に作品の強度がだいぶ違っているなというのは変化かなと思います。
 チェルフィッチュの作品は何回か観ていましたが、当たり前ですけど中に入って一緒にやる方がよっぽど難しいですね。外から観ているときはなんとなく“いいな”とか“面白いな”と感じていたのが、実は岡田さんからの細かい指示を受けて、俳優自身の中でいろいろやっていかなきゃいけないことがたくさんある。最初は特に、僕がやっぱり慣れていなかったというのもあって、圧倒的に僕に対する指示が多く大変でした」

――― 舞台上にはダイニングテーブルと椅子、そして奥にはカーテン。居間をイメージさせるシンプルな空間に、電球やターンテーブルなどのオブジェが置かれている。そこに聞こえてくる音も、生活音とノイズが混在し、空間とそこにいる3人を際立たせる。これらの舞台美術と音は、京都を拠点に活動する美術家・久門剛史との共同作業によるものだ。

吉田「そういう音とか美術とかのいろんな装置には、お客さんにとって今までの経験や思い出みたいなものを喚起させる役割があると思うんですけど、同時に自分の中でも、すごく個人的な体験がフラッシュバックしてくるというのはありますね」

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安藤「岡田さんからは、久門さんの作る音・舞台美術が4番目の出演者という位置づけで、音や物と人が同じ強さで舞台上にいられるようにという演出がありました。私が演じる役は、部屋にはなかなか入らないでずっと外にいて、その時は観ている人に音を聞いてもらえるように働きかけます。そこに自分はいない、観客に作用するためにいる、っていう役なので。
 京都公演を観に来た人が、“今聞いてる音が、本当は流れてないのに自分が超能力を得てしまって(笑)聞こえてるんじゃないかって思った”って言っていたんです。実際に劇場のスピーカーから音を流しているんですけど、それが想像で聞こえている音なのか、実際に聞こえてる音なのか、自分でもあやふやになったそうです。音・美術・演技…上演によって、そのお客さんの想像力を引き出したんだと思うので、かなり成功したんだなと思いました。」

青柳「今回の作品では、3人それぞれでやるべきことが違うというか、舞台にいるときの役割が違うと思うんです。それで真理ちゃんが言ったように、自分がいない状態みたいなものをどう作るか、久門さんが置いた美術や音との関係で、自分がどれだけ“もの”になっていけるか。言葉、台詞だけが聞こえてくるというか、私が喋ってるんじゃなくて舞台上のコップかもしれないし、揺れてる風が喋っているのかもしれないし……みたいなことになればいいなと思ってます」

それぞれの見方、聞き方で楽しめる作品

――― チェルフィッチュ作品では、俳優たちによる独特の動きも特徴の1つ。特に初参加となる吉田には新鮮な体験になったようだ。

吉田「動きというと、俳優の外側のこと……たとえばこういう振りをつけられてこの振りをする、みたいなことを考えがちと思うんですけど、チェルフィッチュの場合、特にこの作品は、そういう外側のことが実は自分の内側と繋がっていることを重視するんです。外側もそのまま内面だと言っていいくらい地続きなんだということに、やってみて気がつきました。それだけでなく、僕の中では音や美術も全部地続きというか、全部が混じり合っている不思議な感覚です」

青柳「舞台上でいくつもの音が重なって流れている中で、吉田はこの音を聴いてやってとか、私はこっちの音でやって、というようなことは言われます」

吉田「その音を聴いて、その音を体から漏らすつもりでやるというか。無意識を意識化していくみたいなことですね」

安藤「しっかりイメージするというのは、以前の作品でもずっと岡田さんに言われていたことです。そのイメージから動く、それが動きになる。動きだけが独立していてはいけないというのは、特にチェルフィッチュに参加した最初の頃はすごく言われました」

青柳「最近は、あまり動きについて考えることはないですね。ときどき岡田さんも、たとえばこういう動きって出してくることはありますが、それをただやるんじゃなくて、そういう動きもあるということをただ知るだけ。岡田さんがやった動きは、岡田さんがやるのが一番面白いんですけどね(笑)」


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――― そんな3人に、本作を通して得たものは?と尋ねてみた。

青柳「まだ得られてないと思ってます。こういうものを得てほしい、っていうのが岡田さんにあるのは知っていますが、それはまだできていないと思っています」

安藤「岡田さんの作品に出るときはいつも、舞台上でどう振る舞うかを試される……いや、考えさせられるんですけど、今回もまた、っていう感じです」

吉田「劇場でやることの面白さをすごく味わっている、っていう感じですね。登場人物同士の関係性だけじゃなく、装置とか音があって、お客さんがいてっていう、もっと広いものを強く感じながらやっている。そんなふうに自分をちょっと拡大して考えられるようになったというのもあるし、逆に言うと、自分はその中の一部でしかないから、変に頑張りすぎなくてもいいんだなっていう……矛盾するようですけど、そういうことも同時に感じれらるようになったのかなと思います」

――― チェルフィッチュは今年で設立20周年。この機会に、一人でも多くの観客にその作品に触れてみてほしい。最後に、初見の人に向けてメッセージをもらった。

吉田「普通のかっちりした物語とは違うので、価値観を1つに絞らないで観てもらいたいですね。舞台美術があって、いろんな音が流れていて、それら全てを体感してほしい。単純に、今すげえ気持ちいいなとかでも全然いいし、ゾッとするなでもいいし、ここがこうだからこうでとかじゃなくて、もっと感覚的なものを開いて観てもらった方が面白くなるかなと思います」

安藤「見るところがいっぱいある舞台だと思うんです。今はここを見る、みたいにお客さんの視点を指示するようなところがそんなにないというか……もちろん、あることはあるんですけど、そこ以外にも見て楽しめるところがあると思うし、その人の見方で楽しめるように作っています」

青柳「そこにあるものとか流れている音や時間、言葉とか、見えたり聞こえたりしてくるものをちゃんと信じてみてほしい。そもそも演劇ってそういうものだと思うんですけど、信じたら楽しいと思います、絶対に」


(取材・文&撮影:西本勲)

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PROFILE

青柳いづみ(あおやぎ・いづみ)のプロフィール画像

● 青柳いづみ(あおやぎ・いづみ)
1986年生まれ、東京都出身。マームとジプシー/チェルフィッチュの両劇団を中心にフリーで活動。主な出演作品は、マームとジプシー『あ、ストレンジャー』(10年、13年)、『cocoon』(13年、15年)、『まえのひ』(13年、14年)、『カタチノチガウ』(15年)、チェルフィッチュ『三月の5日間』(08年〜11年)、『現在地』(12年)、『地面と床』(13年)、東京芸術劇場『小指の思い出』(14年)、『書を捨てよ町へ出よう』(15年)など。

安藤真理(あんどう・まり)のプロフィール画像

● 安藤真理(あんどう・まり)
1979年生まれ、兵庫県出身。06年、岡田利規ワークショップ&パフォーマンス「奇妙さ」に参加。以降、08年『フリータイム』、09年『記憶の部屋について』(金沢21世紀美術館「愛についての100の物語」)、『ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶』、10年『わたしたちは無傷な別人である』、12年『現在地』、13年『地面と床』といった作品に出演。

吉田庸(よしだ・よう)のプロフィール画像

● 吉田庸(よしだ・よう)
1987年生まれ、大阪府出身。2011年に上京した後は、鳥公園、わっしょいハウス、やなぎみわ演劇プロジェクト、東京Electrock Stairs、ミズタニーなどの団体に出演。近年の主な出演作品は青年団・無隣館『北限の猿』(16年)『南島俘虜記』(17年)、チェルフィッチュ『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』(17年)、鈴木卓爾監督『ジョギング渡り鳥』など。チェルフィッチュは本作にて初参加。

● 特設WEBサイト
チェルフィッチュの活動20周年を記念した特設WEBサイトはこちら。 http://chelfitsch20th.net/

公演情報

「部屋に流れる時間の旅」のチラシ画像

チェルフィッチュ
部屋に流れる時間の旅


2017年6月16日 (金) 〜2017年6月25日 (日)
シアタートラム
HP:公演ホームページ

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