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中島庸介


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新垣里沙主演。“女の子青春物語”を初めてオーソドックスに描く

客席30席のアトリエから、東京芸術劇場へ――  「キ上の空論」の新たな一歩

2013年12月に「リジッター企画」の中島庸介が旗揚げした「キ上の空論」。客席30席のアトリエ公演から始まった個人ユニットが、この8月、遂に東京芸術劇場シアターウエストに進出する。主演に新垣里沙を迎え上演される、キ上の空論#7『青の凶器、青の暴力、手と手。この先、』について、さらに中島が6月に会社を設立した理由についても話を聞いた。


インタビュー写真

月に1本演劇をやりたくて、会社を立ち上げた

――― 中島さんは「株式会社オフィス上の空」をこの6月に設立されましたが、これは中島さんの個人ユニットである「キ上の空論」とは何か関わっているのですか?

「月に1本演劇を打つにはどうしたらいいかなってことをずっと考えていて。今、僕は「キ上の空論」と「リジッター企画」(2009年から所属する演劇ユニット)で作・演出をやっているのですが、さすがに僕一人で月に1本っていうのは難しい。だから今後は自分の好きな団体さんに声をかけて、自分がプロデュースして演劇が打てたらなと考えていたんです。そしたら「いっそのこと会社にしよう」ということで、いろいろご縁もあって、会社を設立することになりました。」

――― もともと中島さんが所属している「リジッター企画」と会社は関係しているのですか?

「いや、別です。「オフィス上の空」は僕が個人的にやっている会社なので、「リジッター企画」にやってもらうときは、僕から主宰にオファーする形になります。」

――― これまでもずっと演劇をやってこられた中で、「今、月1本やっていこう、そのために会社を立ち上げよう」と思って行動されたのは、どうしてなんですか?

「僕、ハマったらグッといっちゃうタイプなんですけど、演劇にハマるのに時間がかかって、それが最近だったんです。ここ3、4年位で演劇っていうものにハマり始めたというか。高校演劇もやってたんですけど、サボれそうだなって所属してたくらいで。でも、ハマるととことんな性格なので、もう「月1やろう!」って感じになって。」

――― ここ3、4年ということは、そのタイミングで「キ上の空論」を立ち上げた?

「そうです。2013年12月に旗揚げして。」

――― それはもっと演劇がやりたいということで?

「はい。どうしても「リジッター企画」だけだと年に2本、いけて3本という感じなので、じゃあちょっと他の部分でも動こうというところでしたね。」

いつか立ちたかった東京芸術劇場に初めて立つ

――― 今作は「キ上の空論」旗揚げ公演『空想、甚だ濃いめのブルー』と同じ「青」をタイトルに入れて、内容も同じ「女の子青春物語」で“新たな出発”をイメージしているそうですが、会社を立ち上げて1作目というところにも関係あるのですか?

「これは本当に自分だけの気持ちなんですけれども「3年で東京芸術劇場に立とう」というのがどこか頭にあったんですよ。それで今、3年経って、会社も立ち上がって、気合入れるぞっていう意味で、「キ上の空論」はいつも作品タイトルに色を入れるのですが、旗揚げ公演の「青」を持ってきました。物語の主軸も「女の子青春物語」で一緒なんですけど、全く違うものになります。」

――― 東京芸術劇場が目標だったのはどうしてですか?

「もともと(野田秀樹が所属していた)「劇団夢の遊眠社」が好きで「NODA・MAP」も好きで、演劇を始めたきっかけは野田さんだったので。その野田さんが芸術監督ということで、いつか立ちたいなとずっと思っていました。」

インタビュー写真

――― その記念すべき作品となる『青の凶器、青の暴力、手と手。この先、』はどんな作品になりそうですか?

「高校1年生の女の子たちが出会って、事件が起きて結局離れ離れになってしまうまでの3か月間がメインのストーリーです。「キ上の空論」で初めてオーソドックスな物語をつくった気がします。僕、どうしても変なことをやろうとしてしまうんですよ。例えば前作の『幸福の黄色い10日後』だと、最初にエンディングをやって最後にオープニングになるように10日間を遡る内容だったり。それで最近オーソドックスな物語を書いてないなと思って、ここで敢えてシンプルな「物語」をつくろうと思いました。僕の中では挑戦……っていうか初心に戻るっていう感覚かもしれないです。」

――― なぜ主演を新垣里沙さんにされたんですか?

「『殺人鬼フジコの衝動』とか『皆、シンデレラがやりたい。』とか、新垣さんの出られている舞台を観て、いい意味で狂気性がある方だなと思っていて。キャスティングのときに迷わず、という感じでした。」

――― キャスティングが面白いですよね。小劇場から2.5次元作品までいろいろなジャンルから集まっている印象があって。

「僕は演劇の大学でもなかったし、裸一貫で東京に来たので、昔は「オーディションやります」って言っても3人くらいしか来なかったんですよ。それでも演劇がやりたかったので、演劇をやったことがない声優見習いの方とかダンサーさんとかとやっていて。今もその延長線でいっているイメージです。バラバラなのが面白いし、お客さんもいろんな方が来てくれますし。」

旗揚げから3年、「キ上の空論」の第二章が始まる

――― 今、東京芸術劇場での公演を前にして「キ上の空論」はどういう地点にいると思いますか?

「ようやくエンジンかかってきたなって感じかもしれないです。もともと「キ上の空論」も客席30席くらいのところでやっていて、ようやく劇場でやれる状態になった。なので、これからどんどん上昇していけばいいなと思ってます。」

――― 上がっていく最初の瞬間って、見ていて一番面白いときだと思います。

「そうですよね。24歳くらいで東京に来て、エンジンをかけようにもかけられなかったところから、やっとかけられるようになった。ここで止まらず、ずっと上がっていきたいです。」

――― 「キ上の空論」をどうしていきたい、というイメージはあるのですか?

「「キ上の空論」も「リジッター企画」も「オフィス上の空」でプロデュースをするのも、全部“方法”でしかないので、「キ上の空論」をどうこうしたいっていうのはあまりないです。でもお客さんに「お芝居ってこんなに可能性があるのか」っていうのを感じてもらえたらとはずっと思っています。」

――― “方法”でしかないというのは、「リジッター企画」とは単純にジャンルとしてわけているんでしょうか。

「僕の中ではそうです。「リジッター企画」はメンバーにダンサーがいて、演出で群舞とかを入れたりするんですけど、それが僕、好きなんですよ。ただそれをやるためにはファンタジー要素を強めにしないといけないところがある。だから「キ上の空論」でやる会話劇とわけてつくる、という感じです。」

――― 「会話劇ができる場」とか「ファンタジーができる場」とか「プロデュースする場」とか、「場」がいっぱいありますね。

「「場」をどんどんふやしたいです。飽きないですし、何よりも自分が楽しんでないと続かない性格なので。バラバラで一個一個、精一杯やっていきたいです。」

――― では最後に読者にメッセージをお願いします。

「「キ上の空論」を旗揚げして3年経って、今までが第一部だとしたら、第二部が東京芸術劇場で始まる、というイメージで書いた作品です。ぜひ皆さんに観ていただきたいと思いますので、よろしくお願いします!」


(取材・文&撮影:中川實穗)


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PROFILE

中島庸介(なかしま・ようすけ)のプロフィール画像

● 中島庸介(なかしま・ようすけ)
岐阜県出身。作家・演出家・俳優。個人ユニット「キ上の空論」主宰。演劇ユニット「リジッター企画」の作家・演出家。18歳から独学で演劇を学び、2009年に東京進出。同時に「リジッター企画」で活動を開始する。2013年に「キ上の空論」を旗揚げ。2015年にはチャットモンチー・福岡晃子が音楽を担当した、キ上の空論#4「東京虹子、7つの後悔」でMItaka“Next”Selection16th に参加。
ほかにも、ロックバンド・東京カランコロンの「恋のマシンガン」初回限定盤ショートフィルム脚本(監督:ロロ・三浦直之)や、SCHOOLOFLOCK!(東京FM)連続ラジオドラマ「君恋物語〜届け〜」の脚本など、幅広いジャンルで活躍中。2017年6月「株式会社オフィス上の空」を設立。

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