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劇団天動虫


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『家族って何?』

冒険に憧れる少年の現実と虚構、そして大人たちの葛藤とは

2012年に旗揚げし、6年目を迎える劇団天動虫(てんとうむし)。20代の女性劇団員を中心に『おもちゃ箱をひっくり返したような元気でカラフルな世界と生命力を内包した世界の融合』をコンセプトとして数々の作品を届けている。第6回となる本公演は、ゲストに少年王者舘の井村昂らを迎え、少年犯罪と冒険活劇の相反する世界を描く。主宰・帆足知子とジョニー(劇団員)、井村昂(少年王者舘)、井上諒に話を聞いた。


インタビュー写真

何かをするのは必ず背景がある、そこを描いていきたい

帆足「本公演は、次が、まだ6回目と少ないですが、年間いくつもの企画公演をやっていて……今年にいたっては、すでに5公演、作品数にすると10作品以上作っています。井村さん井上さんが出演してくださった5回目の本公演『飛び火』が産業革命時代のイギリスを舞台に原発の話も加えた作品で、前回に引き続き少し暗めのお話に挑戦しようかと。いつも題名だけ作家に渡して書いてもらうのが天動虫のスタイルなんです。
 今回は別の作品で使った曲の題名『Salvation』からきており、この歌がとても良くて意味を調べたら“救済”で響きが良くて面白いなと。いつも直感を大事にしているのでこの響きにピンときてタイトルをつけました。根底は少年犯罪ですが、冒険に憧れる少年と周りの大人達、そして家族の物語になります。大人たちの葛藤、家族とは何か?様々なシーンを描いていく予定です」

――役どころなどは決まっていますか?

帆足「はい。ジョニーは主演の少年で、井村さんは研究者、井上さんは検討中です。大人たちが考える救済が本当に少年の為になるのか?と葛藤していきます。追及していくと本当の家族って何だろうと。食卓がキーワードとなっていきます」

井村「僕はいつも(劇団)王者舘でちゃぶ台の横に座っている人ですから違和感は無いですね(笑)。舞台は日本だよね?」

帆足「そうですね。現実世界は日本で、虚構となる海賊のところは違う世界観で描く予定です。少年犯罪はどんどん酷くなってきて性質が変わってきていますよね。でもそれを描くのではなくて、家族が上手くいかなかったのは、そこに愛憎劇があったからで。変な話ですが最近の犯罪には(それに至る背景の)ドラマが無いと思うんです。何かをするのは必ず背景がある訳で、そこを描いていきたいです」

井村「ジョニーは女の子役をやったことあるの?」

ジョニー「ありますよ!(全員爆笑) 最近少年役をたくさんやっている印象があるみたいですね」

井上「前回が生き別れた兄(井上)と弟(ジョニー)だったね」

ジョニー「少年といっても作品によっていろんな少年がいます。今まで何種類もの少年を演じてきましたが、誰一人同じ少年が居なかったんです。それをとても実感していて『毛皮のマリー』では美少年役を演じましたが、彼は引きこもりで陰鬱な性格でとても考えさせられる役でした。対して天動虫の『THE SHOW MUST GO ON!!』(2013年作品)では、京都を奔走する明るい下っぱ泥棒の少年で、物語を担う少年にはたくさんの性格がありますよね。今回の少年がどんな子なのかとても楽しみです」

インタビュー写真

劇団天動虫の魅力とは

――女性が多い天動虫には井村さんと井上さんの存在が重要になってきます。

井村「役者って誘われる事が大事で、『出てください』と言われて出演できることが一番嬉しいですよね。天動虫の作品は乙女たちが多くて、僕が入っていけるところは無いと思って観ていたら、声をかけてもらってびっくりしました。そして前回の舞台をやってみましたが、なかなか女子パワーで驚くことが多かったですね(笑)。それも男性的なパワーね。いま劇場関係の仕事に女性が進出していて、音響や照明が女性だけっていうこともあったり、最近は舞台監督や大道具にも女性が増えて。女性のパワーをとても感じるカンパニーです」

――頼もしい女性が多い現場ですね!

井村「怖いですよ(苦笑)座長より組長?」

帆足「(笑)そんなことないですよ、男っぽいところは否定しませんけど」

井上「僕は今回3作目の出演となります。最初の出演はワークショップ公演からです。裏方の音響や映像関係をやっていて、演技の道にも興味があった時にタイミングよく声をかけてもらい、それがたまたま天動虫の帆足さんでした。一番初めに思った事が“女の子ばかりなのに凄くパワフル”で、静かなお嬢様がいっぱいいるイメージだったんです(全員笑)。初めての僕に皆さんがあたたかく接してくださって、男としてではなく独りの役者、人間として接してくれたのですごく打ち解けやすくて、変な慣れあいもなく最初がここで良かったと思いました。だから演技も続けて行けていると思うくらいの印象と熱量のある劇団と思っています。
 稽古に人が集まらないと当日解散する現場もある中、スケジュールをしっかり押さえて稽古の日はガッチリと作業をするのでしっかりしていて気合いが違いますよね」

――女性だからこそ、引き締めて行こうと。

帆足「そんなに強くしているつもりは無いですが、流山児☆事務所(1984年旗揚げ。プロデュース公演の先駆、若手の人材育成に力を注いでいる)にいてそれが当たり前として育ってきています。 若い子とやって『今日バイトなので休みます』とか平気で当日休むのでびっくりして。この日は稽古と決めたらやっています。昔の劇団は当たり前の様に芝居の時間は拘束でしたよね」

井村「そうだよね、流山児☆事務所は30分前に来てみんなアップ始めるからね。すごいねって言ったら、当たり前ですって言われちゃう(苦笑)」

帆足「先輩たちの背中を見て育っているので。最近の劇団はまたちょっと違うみたいだけど」

井村「そうだね、昔の新劇みたいに全員居なくちゃいけないってシステムをとっていない所も多いね」

帆足「当時はずっと稽古場にいて、出ていなくてもいることが大事でした。先輩方の背中を見ることが稽古場ではとても勉強になるし、カンパニーが力を出すには必要で次につながります」

井村「先輩の演技を見て、これならすぐ抜けるなとかもね(笑)」

インタビュー写真

帆足「そういう事も含めて稽古場にいることは財産なんですよ。学生の趣味でやっている人とこれで食べて行こうと真剣な人のバランスが大変なので、私は厳しくやろうと思っています」

井村「僕はいまシニア劇団もやっていて、彼らの作品への向かい方がまた違って面白いよね。僕が仕事をキャンセルしてきているのに、出演者が私用でいないっていう(笑)それもいいかなって今思っていて、ギンギンになってなくて余裕があると観ている側もゆったりできるという。好きだからやるっていうスタイルね」

帆足「今回学生がいっぱい出てくれます。芝居で食べて行くぞっていう子ばかりでない所で、どうやって行くかと言ったら、この作品をお客様に見せるのに、絶対いいものにしようという気持ちは譲らないで行こうと思っています。演劇ってこういうものだと魂を伝えるという事をとても大事にしていて、集団として一つになった作品が良い作品だと思っています。人間としての力が作品に出るので、やはり井村さんみたいな方がいらっしゃるだけでありがたいですね。色々な年代の役者がそろっていると面白いものが作れます」

稽古はすごく話し合います。みんなですり合わせていく感じが強いです

――稽古場はそれぞれの劇団の色が出る所だと思います。天動虫の特徴といえば?

ジョニー「休憩時間には必ずお菓子が出てきます!お菓子好きが揃っているから皆が好きなものを買ってくるので、それが貯まって遠足のように(笑)」

井上「確かに!いつもある!」

帆足「女性が多いとそうなりますよね。誕生日にはケーキを用意してサプライズをやります。どのタイミグでするとこの人はびっくりして喜んでくれるかを演出します。そういうことは大事にしたいと思っています」

ジョニー「生半可なサプライズじゃ、帆足さん怒りますから(全員爆笑)」

井上「あと、すごく話し合いますね。みんなですり合わせていく感じが強いです」

ジョニー「上手くいかないと『話しておいで』って1〜2時間放置されます」

帆足「みんなが納得できるように突き詰めて欲しいです。自発的なのが一番だと思っていて、結果その人がその中で見出だしてくれたらいいなと。それを大事にするので、うちのワークショップに来た人は『すごく話しますね』とびっくりされます」

ジョニー「役に関して、お互い演じてみてやる度に細かくフィードバックしますね」

井上「そうですね、ディスカッションが多いです」

ジョニー「正解が解からないから力を出しあっている所はあります。演技だけで通じ合えたら素晴らしいですが、それができるほど上手ではないから。一生懸命がんばっています」

インタビュー写真

初挑戦となる音楽と映像

――お話しを戻して、本作の見どころを教えてください。

帆足「今回のポイントとして書き下ろしの歌と映像を初めて演出で使います。いまオリジナル曲を作曲してもらっていて、出演者でもあるたけヒーローが作詞・作曲で作詞は私も参加していますが、今回最後はアングラ風にしたくて…」

井村「じゃ、ジョニー脱がなきゃ」

ジョニー「それは個人的なアングラのイメージですから!(全員笑)」

帆足「そして映像にもこだわっていこうかと。今回は宣伝用にカッコいいPVを作ってもらいました。公式サイトで見ることができるので是非チェクしてください。オリジナル曲が出来上がったらその曲でまた新しい映像をお見せできると思います。歌も物語に関わってきます。新しい動画もご期待ください。」

井上「舞台と映像を合わせることはけっこう大変なんですが、そこは王者舘の知恵をお借りして…」

井村「時代がやっと追いついてきたのかな。王者舘は昔から映像を使っていたので、マッピングと言われても…20年前からやっとるわ!って(笑)。スクリーンを使わない映像にこだわってきました。今回は映像も役者も一緒に同ポジ?」 (※同ポジとは:少年王者舘オリジナル言語で、劇場で一つのシーンを撮影。上演時の同じシーンに投影。ある、違和感のある世界を出現させる手法)

帆足「同ポジもあるかもしれない!(笑)」

ジョニー「同ポジのやり方を教えてください!井村さんは劇団にとって賢者なんです」

帆足「目指すはポップなアングラ!今回は意識してアングラを創ろうと思っていますね。劇団として一つになって物づくりをすることにこだわっていきたいです」

井上「天動虫の作品ではちょうど1年ぶりの出演になります。とてもいい役者さんが揃っているので、そういう雰囲気も観にきてもらえたら嬉しいです。今回天動虫が新しい試みに挑戦するので、ファンの方も初めて触れる方も楽しめるのではないかと思います。僕も観客を『楽しませたい』と思っています、ぜひ観にきてください!」

井村「今回2回目の出演になるので前回より到達点が見えています。僕自身舞台を50年やっていても若い人とやると勉強になることがいっぱいありますよね。ポップなアングラという言い方は古いようで新しい試みがいっぱいあり、見たことが無い部分がいくつかあると思いますので、ぜひ楽しみにしていてください」

ジョニー「少年犯罪と冒険活劇という、相反するテーマが交錯する作品ですが、必ず面白くなります。それをお約束できるようカンパニーは誠意と魂を込めて挑みお届けします。楽しみにお待ちください!」

帆足「『家族って何?』を普通とは違う切り口で、全魂を込めて全役者で戦って一つの素敵な結晶という作品を創りたいと思っています。新しい試みがあるのでドキドキとワクワクがせめぎ合っていっぱいいっぱいな所もありますが、精一杯やっていきたいと思っています。多くの方に観ていただけたら嬉しいです」


(取材・文&撮影:谷中理音)


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PROFILE

帆足知子(ほあし・ともこ)のプロフィール画像

● 帆足知子(ほあし・ともこ)
10月3日生まれ、東京都出身。流山児☆事務所を経て2012年、劇団天動虫旗揚げ、主宰。すべての作品の演出・美術・音楽・衣裳などを担う。2010年より演劇ワークショップを開催し若手の育成に力を注ぎ見守っている。近年の作品は、舞台『飛び火』『僕は僕する』『岸田國士を読む。冬』『幻の女』など。

ジョニー(じょにー)のプロフィール画像

● ジョニー(じょにー)
9月8日生まれ神奈川県出身。劇団天動虫・劇団員。旗揚げから参加しているメンバーで少年役から女性役、道化役までこなす実力派。天動虫作品のほぼ全てに出演している。主な出演作品は、劇団天動虫『喧嘩仲裁屋』一人芝居『MIMIO (「夜長姫と耳男」より)』ひげ太夫『煙のミロク』椿組花園神社野外劇『ドドンコ、ドドンコ、鬼が来た!』など。

井上諒(いのうえ・まこと)のプロフィール画像

● 井上諒(いのうえ・まこと)
9月14日生まれ、佐賀県出身。脚本、音響、映像制作など手掛ける傍ら2016年より俳優活動もスタート、劇団天動虫で初舞台を踏む。近年の作品は『飛び火』『Ctr+zダイアリー』『文七元結』『シン・家族』など。

井村昂(いむら・こう)のプロフィール画像

● 井村昂(いむら・こう)
1947年2月16日生まれ、愛知県出身。劇団少年王者舘所属。王者舘初期からメンバーとして参加。現在は役者、演出家として活動中。葉衣企画代表。近年の作品は、『飛び火』『おおつごもり』『シアンガーデン』『人工恋愛双曲線』など。

公演情報