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江村 夏樹(えむら なつき、1965年8月17日 - )は、日本の作曲家、ピアニスト。
新潟県出身。東京芸術大学音楽学部作曲科中退。1985年から作曲家として、1989年からピアニストとして活動を開始する。1989年第3回日本現代音楽ピアノコンクールで本選に残り、高橋悠治『毛沢東詞三首』、イアニス・クセナキス『ヘルマ』、甲斐説宗『ピアノのための音楽 I 』、松平頼暁『アノテーション』、カールハインツ・シュトックハウゼン『第4 ピアノ曲 VII 』(課題曲)を演奏し、音楽芸術誌上で上野晃によって「悠治に似ている」と賞賛されピアニストとしてデビュー。
第二次世界大戦後のヨーロッパの音楽上の前衛運動になじめず、世界のグローバル化も疑っている。そのため、ピエール・ブーレーズなどの総音列主義の作品は演奏せず、作曲でも(初期の数曲を除いて)システムを使っていない。作曲・演奏の両方で「作曲家・演奏家と聴衆のコミュニケーション」のありようを実験・試行し、その成立の背景や結果をウェブサイトに掲載するエッセイで跡づけし、自作の楽譜を公表している。
活動当初はポスト・ミニマル風の反復フラグメンツや新古典主義のフィギュアを参照していた時期もあったが、次第にそれから離脱し、『ピアノ舞踏』、『散らかす』、『ピアノ音楽 I 』などの鍵盤音楽で独自の境地に達している。強弱記号はかなり大まかにつけられているが、音の一つ一つの粒の際立ちは大きい。「ピアノ舞踏」以降の作品も多くの人々の手からかなり複雑な和音や共鳴を要求するようになっており、即興との決別もこれらの志向が影響した可能性はある。
頻繁にではないが、ピアノ演奏以外のパフォーマンスをも行っている。『小石を移動する行動』(2010)はそのひとつである。かつてはオーディオドラマ(「どきゅめんと・ぐヴぉおろぢI」ほか)への挑戦も見られた。
2008年から、複雑なテクスチュアの室内楽曲を発表し始めるが、共演しているのは、ほとんどがアカデミックな音楽教育や現代音楽へのアプローチを受けていない即興演奏家、またはジャズ奏者である。スコアは確定的に書かれ、即興演奏の余地はない。それぞれの奏者固有の演奏マナーや創意工夫が大きな役割を担っている。『四角い4つの楽章』では、かつてのイギリス実験音楽の系譜にいたベネジクト・メイソン、コーネリアス・カーデューやジョン・ホワイトの感覚を想起させるが、意外なほど江村のレパートリーにはイギリス現代音楽は入っていない。2012年にロバート・サクストンの『左手のためのシャコニィ』を演奏したのは、例外的な選曲である。この曲に限らず、アルフレッド・カセッラ、カール・ラッグルズ、イェーネ・タカーチ等、日本国内ではほとんど演奏されない作品を弾くことがある。
2005年まではピアノを主体としたコンサートと、自作発表のコンサートを別々に企画していた。しかし2006年に13絃筝のための『銀鉄平を置く』を発表して以後は、一晩のコンサートに自作とほかの作曲家のピアノ曲を突き混ぜており、このころから共演者の数が増えている。