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睡眠相後退症候群(すいみんそうこうたいしょうこうぐん、Delayed sleep-phase syndrome; DSPS)、または睡眠相後退障害 (delayed sleep-phase disorder) は、慢性的な睡眠のタイミングに関する障害(概日リズム睡眠障害)のひとつである。DSPSの患者は、とても遅い時間に眠りにつく傾向があり、朝起きることが困難である。
治療法については、「睡眠相後退症候群#治療」を参照。
DSPS患者は、何時に床に就いても早朝まで眠ることができないが、毎日ほぼ同じ時間に眠ることができると報告されている。DSPSに加えて、睡眠時無呼吸症候群のような睡眠障害を持っていない限り、患者はよく眠ることができ、通常と同様の睡眠時間を必要とする。それゆえ、患者は数時間の睡眠しか取れないまま、学校や仕事に出かけるため起床しなければならないことに困難を感じる。しかし、彼らは自由な時間(例えば、午前4時から正午まで)に眠ることが許されるのであれば、よく眠り、自然に目覚め、再び彼らにとっての“夜”が来るまで眠りたいと感じない。
この症候群は通常、幼少期または思春期に発症し、思春期または成人期の始めになくなる場合もある。時計遺伝子に起因する先天的な場合と、夜型の生活リズムに起因する後天的な場合があり、幼少期に発症している場合は大抵が先天性、成人してから発症する場合が後天性のものといえる。なお、先天性であった場合は対症療法による治療しか行えないが、後天性であれば治療も可能となる。
DSPSはもともと、Jet Lagと同じ範疇の疾患として研究されていた。このため、「Jet Lag類縁疾患」などと呼称されていた。1981年、モンテフィオーレ医療センターのElliot D. Weitzman博士らはこのカテゴリーの疾患をDelayed sleep-phase syndrome; DSPSと呼ぶことを提唱した。慢性的な不眠症の7-10%は、DSPSが原因だと主張する論文もある。DSPSは、原発性不眠症または精神障害と誤解される。
睡眠障害国際分類 (International Classification of Sleep Disorders, ICSD)によると、DSPSの主要な特徴は、
である。DSPSには、他の睡眠障害とは異なって次のような特徴がある。
DSPSに罹患して9時5時生活を送ることは、毎日6時間の時差ぼけを体験しているようなものである。患者は平日(月曜〜金曜)には数時間しか眠ることができないので、週末には午後まで眠って睡眠時間を補うことがよくある。週末によく眠ったり、普段昼寝をしたりすることで、DSPS患者は昼間の眠気から解放されるが、遅い睡眠相はそのまま続く。
DSPS患者は、極端な夜型の傾向がある。彼らは、夜が最も頭が冴えていて、物事がうまくでき、創造力にも溢れていると感じる。彼らは単純に早く眠ることができないのである。仕事や学校に出かけるまで、彼らはベッドの中で何時間も寝返りをして、時には全く眠れずに過ごさなければならない。
DSPS患者が医療の手助けを求める頃には、患者は何度も睡眠スケジュールを変える試みを行っている。失敗した作戦の中には、リラックス方法、早くベッドに入ること、催眠術、アルコールの飲用、睡眠薬、つまらない読書、民間療法などが含まれるかもしれない。夜に鎮静剤を使ったことのあるDSPS患者は、薬によって疲労感を覚えたり、またはリラックスしたりするが、睡眠を誘うことには失敗したと報告している。彼らはよく家族に朝起こしてくれるように頼んだり、いくつもの目覚し時計を使ったりしている。この症候群は、思春期に最もよく起こるので、子供が学校に間に合うように起こすことに困難を感じた患者の両親が医療の助けを探し始めることが多い。