いっこうに彼は来なかった 彼女は怒った。 せっかく出演している友達に頼んで招待して貰ったのに。 約束したのは一週間前。 いままで遅刻なんてしたことなかったのに、、、。 彼女の脳裏に不安が走った まさか彼になにかあったんじゃ。 携帯に電話してもでない。 そうこうしているうちについに劇は始まってしまった 彼女は怒りと不安でいっぱいだった ついに彼は来なかった 関係者席が明るくなっても彼女は泣いていた 客席が彼女だけになってしまったころ フっと照明が落ちる そこで後光につつまれ スポットライトがゆっくりと 映したのは王子様姿の彼だ。 彼は言った。 「結婚してくれ」 彼女は驚きと安心に包まれた。 彼女は声にならない声で『うん』とゆっくり大きくうなずいた。 外はもう肌寒い秋模様 彼等には少し早い春がおとずれた 彼等が劇場からでてきたころには雪が降っていた 少し早い冬景色が彼等を祝っていた