――― 気鋭の落語家とゲスト、そしてまあくまさこが届ける新感覚落語『YEBISU亭』が、この秋で通算50回目を迎える。記念すべき公演の出演者には柳家喬太郎と三遊亭兼好、ゲストにみうらじゅんという、心躍る顔ぶれが揃った。
「喬太郎さんと兼好さんは、人気と実力を兼ね備えた、旬なお二方。みうらさんは、子どものころからの落語ファンと伺って、出演をお願いしました。この顔合わせでどんなことができるか、どんな話が飛び出すのか、私自身もすごく楽しみ!」
――― 『YEBISU亭』ならではのプログラムといえば、出演者とゲストによるオープニング、そしてまあくが進行役となり、皆でざっくばらんにトークを繰り広げる『今夜踊ろう』。2つのコーナーには、彼女のこだわりが詰まっている。
「オープニングは、私が基本の構成を考えます。せっかく噺家さんやゲストをお呼びするのだから、コラボ感を出したいなと思って始めたんです。皆さん、『今回、まあくはどんなことを言ってくるんだ!?』とドキドキしているみたい(笑)トークは事前にゲストの方に取材し、話す内容を決めています。骨組みを作っておけば、自由に話していただいても、自ずと中身の濃いものになりますから」
――― 近年の落語ブームより前、99年からスタートしたこのシリーズ。「“恵比寿で落語”のミスマッチがいいと直感で思った」とまあくは笑った。
「恵比寿は幅広い世代が集まるエリア。落語に詳しくない人でも、恵比寿でやる落語イベントになら、足を運びやすいんじゃないかと考えたんです。一流の落語やトークで『こんなに面白い世界があるんだ!』って興味を持ってもらえれば、すそ野が広がる。『YEBISU亭』をきっかけに落語好きになったという声も多くいただき、本当に嬉しいです」
――― 客席の熱気は、演者にも伝わるもの。YEBISU亭の為だけに新作を書き下ろしてくれた噺家さんもいたという。
「寄席とは異なる場での披露は、噺家の方々にとっても刺激的。皆さん、客席の様子を見ながらギリギリまで演目を悩んだりと、すごい気合で臨んでくださるんです。出る側も観る側もみんなが全力で楽しむ、素晴らしいシリーズになりました」
――― 2016年秋、恵比寿で落語デビューをしてみてはいかがだろう。
(取材・文:木下千寿)