お得な公演チケットサイト Confetti(カンフェティ)

facebok公式ページへ Twitter公式アカウントへ LINE公式アカウントへ
自動付帯キャンセル補償のカンフェティ安心チケット

PICKUP

元吉庸泰・秋元龍太朗


キメ画像1

さらなる飛躍を目指すエムキチビート、2年ぶりのオリジナル新作を座・高円寺で!

この空の向こうには何がある? 不死身の宇宙飛行士が向かう「赫い月」とは

昨年、紀伊國屋サザンシアターでの本公演『アイ ワズ ライト』を大盛況で終えたエムキチビートが今年一発目に挑むのは、座・高円寺で上演する新作『赫い月』。主宰の元吉庸泰が「出てほしいと直感で思った」という秋元龍太朗を主役に据えた本作は、何重もの物語構造を持つ、元吉だからこそ書ける注目の1本。大きな意気込みとともに舞台へ臨む2人は、「今から楽しみで仕方ない」と声を揃えた。


インタビュー写真

はじめに“赫い月”というタイトルありき

――― 2012年の作品をリメイクした『アイ ワズ ライト』に、「全てを賭ける」という強い覚悟で臨んだ元吉。その成果は、観客からの熱い反応として返ってきた。

元吉「千穐楽ではカーテンコールが6回。ストレートプレイなのにスタンディングオベーションが起きて、紀伊國屋さんもこんなのは初めてだとおっしゃっていましたね。『アイ ワズ ライト』は、過去の作品を1つの節目で規模を大きくして上演するという挑戦であり、戯曲に対してどれだけわがままに演出できるかというのがテーマで、それを良い形で終えられたのは、これから物語を作り演劇をやっていく上で大きな手応えになりました。
 そして次の段階として、今書くべき作品を書いて演出するという新しいベクトルにちゃんと向き合わなければいけない……それが自分の中で一番大きな動きでした。この時点で、次作の方向性などはあまり決まっていなかったのですが、逆にゼロからスタートできたというか、ポジティブな気持ちで一歩を踏み出せたことはとても大きかったし、座・高円寺さんと提携できたのもありがたかったです」

――― 新作の上演としては2014年の『音劇 朱と煤-aka to kuro-』以来、本公演では同年の『黎明浪漫譚』以来となる『赫い月』。発想のスタート地点はタイトルだったという。

元吉「1年前くらいに制作スタッフから「新作を書け」と言われて(笑)、そのときに思いついたのがこのタイトルです。エムキチビートの第三廻公演で『明時ディソナンス』(明時=あかつき)というのをやったのですが、あれはちょうど大学を卒業して、何もない無手の状態で書いた作品でした。そのイメージが強くて、今回新作をやるなら『赫い月』でいきたいと。そこからタイトルの意味や物語のモチーフ、ロジックが自分の中に芽生えてきました」

――― こうした言葉の上での連想に、実は大きな意味があると元吉は話す。

元吉「昔、野田秀樹さんがおっしゃっていたのですが、ある言葉に対して自分がそれを面白くないと思った瞬間に、その言葉に対するインスピレーションが全部消えてしまう。それは物語に対しても同様で、自分の頭の中にあるどんな言葉もロジックも、世に出そうとしたこと自体に強い意味と意志があると思うんです。その強い意志の下に出したものは、きっと物語の軸になり得ると思うし、信じられる。
 風琴工房の詩森ろばさんも、“面白い”の正体はそれをやっている自分の感情だとおっしゃっていて、今回は『赫い月』というタイトルで走り出せたことに面白さがある。そこでキャスティングを考えたとき、直感で出てきたのがアッキー(秋元龍太朗)だったんです。一緒にやりたいって」

秋元「嬉しいです!」

インタビュー写真

直感でオファーし、信頼で引き受けた

――― 秋元が黒田雪成役で出演した舞台『弱虫ペダル』に元吉は演出助手で参加しており、元吉が2015年に米原幸佑・板倉光隆と組んだユニットPUBLIC∴GARDEN!のお披露目公演『芥川龍之介 地獄変』で秋元を起用。そんな2人の出会いはさらに前に遡る。

秋元「僕がまだ高校生の頃、ある作品でご一緒したのが最初でした」

元吉「僕が演出をした作品で、奇しくも初演版『i was light』の直後でした。いろいろあって本当に大変な稽古だったんですけど、もう全員が必死で、部活みたいなノリで。みんな寝てないんだけどすごく楽しくて、ヤベえヤベえって言いながら、あんなに面白かった日々はないっていうくらい楽しかった」

秋元「そこでツネさん(元吉)のことをすごく好きになったんです。当時は芝居というものをちゃんと考えていたわけでもなかったんですけど、ツネさんのおかげで自分にとっての変化があった稽古でした。その後、久しぶりにツネさんの演出でやった舞台が『地獄変』で、こんなに胸に響く作品はそうそうないと思ったし、この人の作品にまた必ず出たいと思ったんです。そうしたら『赫い月』のお話をいただいて……」

元吉「本来だったら台本ありきでオファーしないと失礼だと思うんですけど、タイトルとプロット程度の雑なオファーで引き受けてくださって。そこで信じてもらえたことがすごく嬉しかったし、この公演は成功するなと思いました」

秋元「『アイ ワズ ライト』の評判も方々から聞いていたのでプレッシャーでもあるんですけど、お話をいただいた瞬間にどうしてもやりたいとお伝えしました。座・高円寺という場所も、高校生の頃からいろいろな舞台を見に行っていた大好きな劇場で、そこでやれるというのも僕の中ではすごく大きいです」

インタビュー写真

息苦しいほど演劇に没頭できる場所

――― そんな秋元が演じる役柄について、元吉はこう説明する。

元吉「今回は四重くらいの劇構造を持った作品で、その中で太平洋戦争がモチーフの1つになっています。秋元くんにお願いしているのは不死身の宇宙飛行士の役で、それは、太平洋戦争の中で宇宙飛行士というものをイメージできた人ということ。陸軍の兵士として大地を走っているとき、空には飛行機が飛んでいて、その向こうには何があるのか、どうやったらそこに行けるのかということを空想できた人なんです。人物像としては、ある意味どこにでもいる人であってほしいのですが、決してパブリックに埋もれるのではなく、大きな時代の流れの中で、本当にリアリティを持って存在している人を演じてもらいたい。彼ならそれをイノセントに受け入れてくれると思っています」

――― また、“残された人”というのも1つのテーマになるという。

元吉「今、実際に戦争を体験した人たちがどんどんいなくなって、バーチャルな世代に移りつつある。でもその世代は、決して戦争から隔絶されているわけではなく、必ずその系譜を継いでいる。戦争を経験した蜷川幸雄さんだから描けた『マクベス』があるように、今度は僕らがそれを受け取らなきゃいけない世代だと思うんです。
 昨年末にKOKAMI@networkの『サバイバーズ・ギルト&シェイム』を観劇したんですけど、あれも、残された人がどう生きるかということに鴻上尚史が真正面から向き合った作品で、間違いなく蜷川さんのことがなければ書けなかった作品だと思いました。自分も同じメッセージの中にいると感じたし、残されることのリアリティを描く上で、僕は戦争というものに今強く興味がある。日本人として、そこを消してはいけないと思うんです」

秋元「今の話を聞いて、自分にとっても勝負になる作品だと思いましたし、今年の一発目として、また1つ先に進まなきゃいけないと思いました。『地獄変』のときもそうでしたが、ツネさんの稽古は良い意味でずっと張りつめているし、頭で考えることと直感を融合できる、そんな場所なんです。あんなに息苦しくなるくらい演劇に没頭できる場所もなかなかないので、そこでまた揉まれるのが楽しみです」

インタビュー写真

――― こうして、お互いが強い熱量を込めて取り組む『赫い月』。エムキチビートならではの演劇空間から浮かび上がるイメージとメッセージを、しっかりと受け止めたい。

秋元「ずっとツネさんのことが頭にちらついて“出たいなあ”ってと思っていたので、今回はとても嬉しいです。座長という立場で新作をやらせてもらえて、座・高円寺に立てるということもそうですし、役柄的なことも含め、いろいろ挑戦しなきゃいけないと思っています。それを演劇としてお客さんに“喰らわせたい”と今すごく思っているし、本当に見てほしい。ツネさんのことを100%信じて、『赫い月』にすべてを詰め込みたいなと思っているので、ぜひよろしくお願いします」

元吉「座・高円寺は、まだ開館したばかりのときに、僕が鴻上尚史さんの助手について『ハッシャ・バイ』をやった劇場で、あそこに通った期間は僕の中ではかけがえのない思い出です。その場所で、一緒にやりたかった俳優と新作を上演できるのは本当に喜ばしいこと。そういう個人的な思いだけでなく、僕は今回の作品を日本の演劇界のステップにしたい。演劇界の最前線に出るような作品をお客様に渡したいと思いますので、ぜひ見に来ていただきたいです」


(取材・文&撮影:西本 勲)

キメ画像2

PROFILE

元吉庸泰(もとよし・つねやす) のプロフィール画像

● 元吉庸泰(もとよし・つねやす)
千葉県出身。明治大学卒業後、演劇ユニットとしてエムキチビートを旗揚げ。07年に劇団化し、主宰を務める。その一方で、鴻上尚史の演出助手として虚構の劇団にも所属。さらに板垣恭一、鈴木裕美、辻仁成、深作健太、西田シャトナーなどの演出作品にも、演出助手として参加している。俳優の米原幸佑、板倉光隆と結成した演劇ユニットPUBLIC∴GARDEN!でも活動中。

秋元龍太朗(あきもと・りゅうたろう)のプロフィール画像

● 秋元龍太朗(あきもと・りゅうたろう)
1995年3月13日生まれ。東京都出身。2008年、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでフォトジェニック賞を受賞。以降、ドラマ・舞台・CMなどで活躍する。近年の主な出演作は、舞台『弱虫ペダル』シリーズ、『芥川龍之介 地獄変』『黒子のバスケ THE ENCOUNTER』『曇天に笑う』『戦国無双 〜四国遠征の章〜』『ホイッスル!BREAK THROUGH-壁をつき破れ-』『金色のコルダ Blue♪Sky Second Stage』など。

公演情報