今年で結成10周年を迎えるエンターテイメント・ユニット「bpm」。その記念すべき年に上演する舞台のタイトルはずばり、セルフタイトル『beats per minute』に決定した。結成10周年のイベント『bpmFESTA 2017 10th Anniversary』中のbpmメンバーに、この10年のこと、これからのこと、そして舞台『beats per minute』について聞いた。
――― 次回の舞台のタイトルが『beats per minute』というそうですが。
浅沼「10年目にしてセルフタイトルでやってみようかなと。そして、完全新作で、5人だけの芝居を、この節目だからこそやってみようと思ったんです」
猪狩「タイトルはいろいろこねくり回したんですけど、結局、10年の節目にふさわしいものはと考えたら、自然発生的にこれに決まりました」
伊藤「シンプルなものに戻った感じですかね。タイトルを聞いて、メンバーもみんな、即『いいね』って感じでした」
――― どんな作品になりそうですか?
浅沼「僕としては、今まで応援してくれたbpmファンの方にももちろん観て頂きたいけど、これまでbpmに触れて来なかった方々にも観て頂きたいと思ってます。オリジナル作品は敷居が高いと思われがちなのもどう何だろう、と常々思っていて。だから、10年とはいえ、特にこれまでのbpmになぞらえた物語にはしないつもりです」
NAO-G「メンバーもそれぞれ色んなフィールドで活動しているので、そこから興味を持って見に来てくれた方々にも、楽しんでもらえる作品にしたいですね」
――― 今日は、『bpmFESTA 2017 10th Anniversary』というイベントの最中にお話をうかがっていますが、どんなイベントになりましたか?
猪狩「五年前の5thアニバーサリーのイベントも、ここマウントレーニアホールでやらせて頂いたんですよ。今回は、DJとVJに今までの軌跡をダイジェストで紹介してもらいました。ずっとやりたかったことなんで、もうそれだけで満足です(笑)」
菊地「この映像で、過去の公演をお客様が振り返ってくださったと思うんです。それ以外のコーナーでは、特に振り返ることってなかったんですよね。10 周年記念イベントなのに(笑)。ここでファンの皆様からパワーをいただいて、前を向いてつないでいきたいって思いました」
伊藤「僕らほんとに『にわか、新参、一見さん喜んで』というのがモットーなんですよ」
NAO-G「前から好きだよって方も、今日初めて来たって方も、劇場でファン同士お友達になって、じゃあ次の舞台も一緒にって、広がっていくのを見ると本当にうれしいですね」
――― 今日は、ファンの方との写真撮影もあったようですね。
猪狩「今回はいつも以上にお祭りだから、写真でも撮りたいねって提案して。メンバーほとんど、初めての経験でした」
伊藤「やっぱり舞台って、難しいもの、堅苦しいものなんじゃないかって思われている部分がまだまだあると思うんですよ。学生さんにしてみたら、舞台のチケットって他に比べて高いし」
浅沼「だから、いかに気軽に、お値段以上に楽しんでもらえるかを考えるのも僕らの仕事だと思っているので、お客様と一緒に楽しめるものを考えたり、普段使いが出来るようなグッズを考えたりしています」
猪狩「MA-1やレザーバッグ、ヘッドフォンとか、舞台のグッズらしからぬものではあるんですけど、私たち自身でこれ欲しいよねってものばっかり作ってるんです」
菊地「Tシャツ作っても、部屋着や寝間着にしかならなかったら悲しいですからね(笑)。力入れるところ、そこじゃねーだろって感じでこだわってます(笑)」
猪狩「もともと、遊園地や映画館がカップルのデートプランに候補で挙がるんだから、舞台もそうであってほしいと思っていたんです」
浅沼「ハイブリッド・アミューズメント・ショウってキャッチコピーも、テーマパークでありたいっていう想いからなんです。僕が初めて自分のお金でチケットを買って行った舞台が、西田シャトナーさんの『ロボ・ロボ』って作品なんですけど、今はなきシアターアプルで『ロボ・ロボ』を観終わったときに、もっと余韻を感じていたい、この空間にまだいたい、って想いから、階段上りたくなかったんです。上ったら現実に戻っちゃうって思ったんですよ。そういう感覚を僕の舞台でも感じてもらいたいと思って、キャッチコピーに込めたんです」
――― 10年やってきて、何か以前よりも可能性が広がったと思う部分はありますか?
猪狩「再演をするときなんかに、今の私たちがこの演目をやったらどうなるのかな、どうバージョンアップさせられるかなっていう楽しみはありますね」
伊藤「長く一緒に続けてきたメンバーだからできることだと思いますね」
浅沼「あとは東日本大震災の経験は大きかったと思います。当時って計画停電とかもあって、資源を使うお芝居をすることに意味があるのかとか、こういうときにエンタメは必要なのかとか、みんなが考えていたんですね。でも、バスで東北からお客さんを舞台に招待させてもらったとき、たくさん『ありがとうございます』って言って頂いて。お芝居って、誰かのお腹を膨らませることも雨風をしのいであげることもできないけど、明日も頑張ろうという気持ちのかけらを作ることぐらいはできるのかなと、お客さんに教えられたみたいな気がしました」
――― これから新たな10年の幕開けですが、どういうbpmにしていきたいですか?
猪狩「自分たちがやっていることだから基本は変わらないんですけど、今年1年はお祭りだと思っているので、ただただバカバカしいようなことなんかもやってみたいですね」
伊藤「基本的にサプライズが好きなユニットなので、お客様の前に出すものは常にサプライズでありたいなと」
NAO-G「お芝居に限らず、バスツアーとかクラブイベントとか、メンバーがひとりも出ない芝居があってもいいかもしれない」
浅沼「とにかくいろいろやりたいですね。bpmが、多くの方の遊び場になれたらうれしいです」
(取材・文:西森路代/撮影:友澤綾乃)