2016年にseason1の上演が行われた人気ノベルゲーム作品『ROSE GUNS DAYS』の第二弾が決定した。演出を担当する進戯団 夢命クラシックスの伊藤マサミ、前回に引き続きローズを演じる茜屋日海夏、今回の主人公であるオリバー・織部:西野太盛とラプンツェル:澤田真里愛、そして原作者の竜騎士07に話を伺った。
――― 今日は演出、脚色を担当された伊藤さんと、原作者の竜騎士07さんがいらっしゃいますが、お二人は舞台化にあたって、どのようなやりとりをされたんでしょうか。
伊藤「実はそんなにやりとりはないんですよね。僕が先生の作品が大好きで、こちらから読み込んでいるので、どちらかというと先生には、これを使っていいですか?とかここにこういうことを差し込んでいいですかって、ちょっとおねだりする子供じゃないですけど(笑)、そういう質問をすることはありました」
竜騎士07「僕の場合は、season1を見て、続編をやるんだったら、もう二つ返事でOKという感じで、信頼感は半端なかったですね」
――― そして、茜屋さんは前回に引き続きローズ役を演じますが。前回演じられていかがでしたか?
茜屋「まずお話をいただいて原作を読んだときには、すごくうるっときたり、自分に突き刺さるところが多くて、これはローズとしてちゃんと生きたいと思いました。ローズというのは、表向きはマダムであり、みんなをまとめる役なんですけど、本当は誰よりもどこか足りない部分があって、いろんな人に出会ううちに成長していくキャラクターなんです。実際に舞台をやっていても、まわりのみんながいるからこそ成長できたところがありました」
――― 今回、初めて出演される西野さん、澤田さんは原作を読んでみていかがでしたか?
西野「僕が演じるオリバーは一見クールで怖そうなところもあるんですけど、そうかと思ったら、妄想するシーンもあったりと、人間らしくて、素直でまっすぐな人だなと思いました。そのギャップに惹かれました」
澤田「ラプンツェルは見た目がすごくかわいらしくて、草原を走り回っていそうな女の子なんですよ。でも、実はいろんな過去があって、記憶喪失で。いろんな記憶が呼び起こされたり、また消えたりする中で変化していくので、そういう謎めいた部分を演じるために、すごく深いところまで作っていかないといけないキャラクターだと思いました」
伊藤「先生の書かれるキャラの奥行きが凄いんですよ。西野くんが言ったみたいに、ぱっと外見を見て想像できる部分もあるし、話が進むうちに、第三、第四の姿が出てきて、そういうものが計算して作られているなと思うし、稽古場でもどんどん変わっていくんですよね」
――― 竜騎士07さんは、キャラクターをどのように描かれているんでしょうか?
竜騎士07「この作品はキャラクターからきっちり作ってから物語を描いているところはあります。オリバーは、仲良し四人組の登場人物の中では、一番大人になりたいと思って頑張っているところがあって、そこがややもすると滑稽だったりするんです。ほかの子たちは、子供であることを隠さないんですけど、頑張って大人になろうとしているオリバーが逆に一番かわいく見えるということを狙っていました」
――― ラプンツェルに対してはいかがですか?
竜騎士07「season1のスーパーヒーローはレオというキャラクターだったんですけど、season2では、もしかしたらラプンツェルがスーパーヒーローなのかもしれないなと思いますね。あまりネタバレもできないので、多くは語れないけれど、八面六臂の活躍をするのではないかと」
伊藤「そこが面白いところなんですけど、season1とseason2で色がぜんぜん違うので、同じ人が書いたのかなって思うくらいなんですよ」
竜騎士07「作品が1947年からスタートして、一年ごとに進んでいくので、1では酒場と用心棒の話なんですけど、2ではマフィアの組織の話に変わっているんです。そんな中、今回は夜の女たちの代表格であるローズが組織の長となり、チャイナタウンの大ボスと丁々発止でやりあうシーンなんかも出てきます。ローズの変化を見るのも楽しいと思いますね。というのも、ローズというのは、王者の星の元に生まれた人間ではなくて、たまたま普通の少女が、みんなと調和がとれるというだけでマダムに祭り上げられた人なんです」
茜屋「先生のお話を聞いてますます緊張してきたんですけど、確かに、ほかにもリーダーになれるような登場人物がいるんだけど、人の命に係わる事件なんかもある中で、徐々にローズに覚悟ができてきて、自分がやるしかない状況になってくるんです。だから、私もseason1で積み上げたものを思い出しながら、今回のスタート地点に立ちたいなと思っています」
――― みなさん、アクションもあるんですよね。
伊藤「ここはもう西野さん演じるオリバーが頑張りどころですね。season1ではウェインというキャラクターが戦いの前線で頑張っていたんですけど、そこから一年経ってウェインは大人になって、オリバーのような後輩ができたことで、がむしゃらだったあの頃を投影して思い出すような感じになるかと思います」
竜騎士07「オリバーはアクションでの見せ場は多いんだけど、すごくかわいらしいので、season2のヒーローはラプンツェルだったけど、season2の一番のヒロインはオリバーかもしれないとも思うんですよ(笑)」
西野「かわいさは感じてます。でも武闘派なので、アクションは初めてだけどがんばりたいなと」
伊藤「男の子ってアクション嫌いな人いるのかなってくらいアクション大好きだもんね。でも、意味があって戦うという気持ちを描かないと、見てる人もドキドキしないと思うので、そういうところは大事にしたいと思います」
――― 最後に、舞台を前にしての意気込みをお聞かせください。
茜屋「season1のときも、自分の精神が削られるくらいの意気込みでローズを演じて、演じ終わったときには、心地よい疲れを感じて、達成感がすごかったんです。たくさんのスタッフのみなさんたちと、良い舞台を作ることができたので、今回も新しい人たちも含め、みんなでまた別の世界観を作っていけたらいいなと思っています」
澤田「今回、歌もあるんですが、もともと歌をやっていることもあるので、そこも頑張れたらと思っています。ほかにもアクションもあるし、いろんなことを経験しつつ、お客さんに楽しんでいただける舞台が作っていけるよう頑張りたいと思います」
西野「作品の世界観を最大限に見せられるように、とにかく力を合わせてやっていきたいです。僕も真のヒロインじゃないですけど(笑)、みなさんに助けてもらいながら、いい舞台が作れるように頑張ります」
伊藤「前作に引き続いて演出ができることが光栄です。この作品って、マフィアの世界を描いてはいるけれど、若者が夢に向かって戦っていく青春群像劇でもあると思うんで、そこもていねいに力強く描けたらいいなと。必ず楽しめる作品になると思うので、ぜひ見に来てください」
竜騎士07「これだけしっかり作品のメッセージを受け止めてもらえるのはうれしいことですので、不安はまったくなくて、純粋に一観客として、早く客席で舞台を見たいと思っています。それと、1を見ていない方にも、別の時間軸のお話として、2からでも楽しく見られると思いますので、楽しみにしてください」
(取材・文&撮影:西森路代)