声優として、数多くの作品で活躍中の浪川大輔と山口勝平。そんな人気声優二人が朗読劇『I’mふたりぼっち』で夢の競演を果たす。口下手な宇宙人・ひとりぼっち星人と、お喋り上手の地球人・ラジオDJ。一日限りのこの公演、なんと昼の部と夜の部で、役を入れ替えるという。“いたずらぼうず”の山口と、それにすかさずツッコミを入れる浪川。早くも息ピッタリの二人に、作品によせる意気込みを聞いた。
――― この『I’mふたりぼっち』という作品の魅力について教えてください。
山口「原作・脚本の二宮先生が作り出す世界というのが、いつもちょっと不思議な世界のお話が多くて、今回もそういう意味では先生のワールドというか、一味違う二人芝居になっていると思います」
浪川「いつもは、ちょっとシニカルなところもあったりするんですが、今回はコメディ色が全面に出ている感じがします。二人でその世界観をどういう風に出せるかが楽しみです。二人の掛け合いが恐らくキモになりますね」
――― 普段は声優として、数多くの人気作品に出演されていらっしゃるお二人ですが、朗読劇はまた違う難しさがおありでしょうか?
浪川「全然あります。朗読劇は、動きではなかなか見せ辛いところがあって、やっぱりお客さんに想像力を膨らませていただいて世界観を創るというのがメインだと思う。そういう意味では、アニメや舞台とは全然違う形になるんじゃないかと」
山口「普段自分たちがスタジオでやってる作業とはちがって、目の前にお客さんがいますから。そういう意味で言うと、色々生な反応とかもくるので、すごく楽しいんじゃないかなとは思ってます」
――― 今回楽しみにされていらっしゃることは何でしょうか?
山口「単純に、大ちゃんと一緒にやれるっていうことですね。そこがすごく楽しみ」
浪川「とにかくこれは出演者が二人だから、助けを求める相手が一人しかいないので」
山口「ほんとだね。怖いね。これ、助けを求めて相手が裏切ったら最悪だね(笑)」
浪川「最悪ですよ。もうそこで一旦幕閉じるしかないです(笑)なのでこれは、相手を相当信頼してやらないと。でもそれって、なかなかできることじゃないと思うので、その空気感みたいなものは、会場に足を運んでくださった方に感じていただけるんじゃないかな。その緊迫感とか」
山口「緊迫感(笑)」
浪川「一人だったら逆に踏ん切りつくと思うんですけど」
山口「怖いよね。幕開いて隣見たら、いない、みたいな。あれ、ひとりぼっち? どうしよう、みたいな」
浪川「コレは相当大変だと思います。未知の世界」
山口「朗読劇だということを胸に刻んでちゃんとやりますんで」
浪川「そうですよ。途中で飽きちゃったりしないでくださいよ」
山口「(爆笑)」
浪川「アドリブ満載とかやめてくださいよ。これアドリブやったら三時間超えますからね」
山口「分かりました」
浪川「この作品は、かなりハードルが高いですし、理想としては“流石だな”って思ってもらえるような公演になるといいなと思います。」
山口「でもすごく楽しみです。これがきっかけで、次から次に二宮先生の作品を色んな人がやるようになったらそれはそれで素敵なことだし、楽しいだろうなと思いますし」
――― お二人はお互いにどのような印象をお持ちですか?
浪川「(勝平さんは)本当にいたずらぼうず。エピソードを話せばきりがないです」
山口「時々大ちゃんから自分のやった所行を聞いてると、自分でもひどいなと思いますね。まあ、僕もそれ(かつてのいたずらの数々)は、五十手前の若気の至りというか」
浪川「だから今回も何をされるかわからない(笑)でもお芝居に関しては本当に絶対的な信頼があるので、そこは楽しみです」
山口「でも本当に面白いですよね。登場する二つのキャラクターが、静と動じゃないけど全然ちがう役なので、二人で入れ替えてやるのは楽しいなっていうのと、同時に、大ちゃんがどういう風にやるんだろうなって、ちょっと気になったりするもんね」
――― 「一人で二つの役を演じる」と同時に「一つの同じ役を演じる」ということでもありますよね。
浪川「ちょっと恐いなあ」
山口「どういう風になるんだろうっていうのがすごく楽しみですね。大ちゃんがこう来るかなっていうのが、想像できるようでできないから」
浪川「同じ役でも結構違うタイプになるんじゃないかなとは思います。台本があるのでゴールは一緒ですけど、ナビの仕方がちがうというか」
山口「ただ、そういう意味では二人でやるんで、互いに委ねてやっていくっていう感じですね」
浪川「相手の台詞を聞いて出て来るものもあるだろうし。自分だけでガチガチでやっちゃうのは一人ぼっちになっちゃうんで。せっかく二人いるなら二人ぼっちでやりたいですね」
山口「これ、一日でやるんだよね。昼の部と夜の部で、役を入れ替えるんだよ」
浪川「じゃあ、一回しかやれないってこと? もうその役をやったら、その台詞が終わったら、取り返せないってこと?」
山口「取り返せないの」
浪川「じゃあもう奇跡の一回でしょう、これ」
山口「そうなんですよ。だから一期一会の舞台です。僕にとってもこの企画が2018年の新たなスタートになると思うので、ぜひ劇場で見てほしいです」
浪川「勝平さんがおっしゃるように、いい2018年のスタートが切れるよう精一杯やらせていただきたいなあと思っています。朗読劇として、何か新しい形になりそうな気もしていますので、そのスタートも一緒に歩んで頂ければ。ぜひ遊びに来てください!」
(取材・文:前田有貴/撮影:友澤綾乃)