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クロムモリブデン


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劇団歴12年〜3年目の団員たちが、それぞれの“クロムモリブデンとは”を語る

原点に戻りつつ新たな地平を目指す、クロムモリブデンの真骨頂

作・演出家の青木秀樹率いるクロムモリブデンが、新作『たまには海が泳げ!』を上演する。この謎めいたタイトルは、青木いわく「たまには世界がひっくり返るような事が起きないかなあという希望を表しています」という。そして、旗揚げから29年を数えるクロムモリブデンが、この作品で、若手劇団を中心とする佐藤佐吉演劇祭に参加することも話題の1つ。劇団にとって大きな分岐点になりそうな本作について、今回は2006年以降に入団した比較的若いメンバー5人に集まっていただき、それぞれ異なる世代の視点から、劇団について、そして新作について話してもらった。


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視点が独特で、ワーワーしてて、アナログで……そこが面白い


――― 皆さんは全員、オーディションでクロムモリブデン(以下、クロム)に入団したそうですが、そのいきさつを、劇団歴が長い順に聞かせていただけますか? まずは渡邉さんから。

渡邉「私は入団前にクロムの舞台を観たことはなかったのですが、青木さんが演出で、デス電所の竹内佑さんが脚本を手がけた舞台を観たことがあって、それがすごく面白かったんです。竹内さんのグロテスクな部分と、青木さんのポップで観やすい部分がそれぞれ浮き彫りになっていて、今でも覚えているくらい印象が強かった。あと、学生演劇の企画でクロムの森下(亮)さんとご一緒したこともあって、オーディションの告知を見たときに、受けてみようかなと」

――― 入ってみていかがでしたか?

渡邉「青木さんは、世の中の事柄に対する視点が独特で、脚本に書かれた台詞を読むと、こういう考え方をすれば人生が楽しくなるとか、辛いことを受け流せるとか、そういう発見が多いんです。演出のスタイルも、普通の会話劇とはちょっと違うので、初めて観た方はびっくりすると思いますが、他人にはできないことをしているんだなと、いつも思います」

――― 次は小林さん。公式プロフィールによると、大学4年で劇団を旗揚げして間もなくクロムのオーディションを受けたとあります。

小林「僕はもともとクロムを観ていました。とかげさんが入られた『猿の惑星は地球』(2006年)が初めてだったんですけど、もともとデス電所が好きで、その舞台に出ていた奥田ワレタさんを観るためにクロムを観に行ったみたいな感じです。とにかく音が大きくて、ワーワーしててよくわからない世界観だけど面白い。そこがすごく記憶に残っていて、その後の作品も全部観るようになりました。それで就職活動していたとき、このまま就職するのもちょっと……と思ってクロムのオーディションを受けました」

――― 入団してからの印象は?

小林「それまで学生演劇しかやっていなかったので、入った当初は、稽古のやり方などの創作過程に驚いたり感動したりしていました。こうやって演劇を作るんだ、というのを教えてもらったというか。あと、劇団員の皆さんと10歳くらい年が離れていたので、可愛がっていただいてありがたかったです(笑)」


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――― 続いて花戸さん。大学に入ってから演劇を始めて、当時出ていた舞台を渡邉さんが観ていたのが入団のきっかけになったそうですね。

花戸「ある大学の劇団に外部出演したとき、僕が面を切ってカッコつけて言う台詞があったんですけど、それがパーーン!と飛んで、10秒くらい時間が止まってしまったんです。一緒に出ていたキャストも全然助けてくれなくて、結局、気合いだけを残して舞台からハケていった。それをたまたまとかげさんが観ていて、打ち上げの席で、もうすぐクロムのオーディションがあるから参加してみない?って誘ってくれたんです」

渡邉「本当にものすごい事故で(笑)。でもそれが面白かったんです。こんなふうにできる人ってなかなかいないなと。説明がちょっと難しいんですけど……普通、あれだけ台詞が飛んだら、何やってるんだろう?とか、心配になったりすると思うんですけど、ただただ面白かった。今思うと、あのとき花戸くんが醸し出していたものが、今の彼のお芝居の、誰も真似できない感じにつながっているのかもしれないと思います」

花戸「あの感覚は、もう二度と味わいたくないですけどね(笑)」

――― そして岡野さんは、シルク・ドゥ・ソレイユを観て舞台に興味を持ったそうですね。

渡邉「ええっ?」

小林「初めて知った(笑)」

岡野「演者もすごいし、カーテンコールでお客さんが全員スタンディングオベーションしてるのもすごい。それでシルク・ドゥ・ソレイユに入りたい!と思ったんですけど、中国雑技団のトップとか元オリンピックの金メダリストとかが在籍していると知って、僕は体を動かすのが苦手だから絶対無理だと。でもそこから舞台に興味を持ち始めました」

――― クロムを初めて観たのは、2009年の『不躾なQ友』だったとか。

岡野「まだ上京したばかりで小劇場の文化を何も知らなかった頃に、すごく特徴的で豪華なチラシを見て、舞台を観たんです。そうしたら机とか椅子が降ってくるし、音も光もすごいし、これは舞台でしかできない表現だなと、強烈な印象を受けました。でも話を聞くと裏側はすごくアナログで、人間が頑張って吊り上げたり回したりしていて、そういうところも魅力的だなと」

――― 戸村さんは岡野さんと同期入団で、高校まではずっと野球をやっていたとか。

戸村「はい。それで、高校の文化祭が夏の大会と日程が被って出られなくなったときに、自分が主役の映画を作って上映したんです。もともと目立ちたがり屋だったので(笑)、坊主頭に金髪のヅラをつけて、イケメンみたいな役で、あとは勝手に観てくれと。それがすごく大評判で、その後1週間くらいは学校のヒーローになって。自分がやったことで誰かが喜んでくれるのが嬉しくて、そこからお芝居をやってみたいと思うようになりました」

渡邉「その映像、残ってないの?」

戸村「一応ありますけど、絶対見せません(笑)」

――― クロムに入ってからの印象はどうでしたか?

戸村「青木さんって、見た目の第一印象もそうだし、ブログとかでもロックな発言があったりして、けっこう怖い人という印象があったんですけど、実は思ったより愛に溢れている人だなって。演劇に対しても、我々メンバーに対しても。でも、それを恥ずかしいと思っている、天邪鬼で照れ屋な人……こんなことを言ったら怒られそうなレベルのことを言っている気がしますけど(笑)、そういうのがすごく伝わってきましたね」


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14年ぶりの王子小劇場で、若手以上に尖ったものを作る


――― 続いて、新作『たまには海が泳げ!』について。こうしてインタビューしている今日は、台本が上がって数日後というタイミングで、森下さんがツイッターで「現実をひっくり返すような、クロムにしかできない作品の真骨頂」とコメントしていました。皆さんは台本を読んでどう感じましたか?

渡邉「私が入団してからここ最近までのクロムは、とてもお客さんに寄り添っていこうとしていたのかなっていう感想を私は持っていたんですけど、今回は青木さんが書きたいことを書くっていう、原点みたいなところに戻ったように感じました。だから、作品自体もいつもよりわかりづらいんじゃないかな。でもそれが嫌じゃなくて、何かの絵画で、どこを登っているかわからない階段みたいな……」

小林「エッシャーのだまし絵ね」

渡邉「そう、私はあれを思い出しました。そして、今回上演する王子小劇場の空間も私は大好きで。ちょっと高さがあるのに、空間としてはギュッと凝縮されている。いつもはもう少し広い空間でやっているクロムをここの客席で観たら、舞台なのか客席なのかわからないような感覚になれるんじゃないかなって、そういう願いとか思いみたいなものが、この作品だったら実現できそうだなと思います」

小林「僕は素直に、青木さんらしい、クロムらしい作品だと思いました。そして、たぶん僕はこういう作品がやりたくてクロムに入って、辞めずに続けられてるんだなって。劇団を長く続けていると、よし次で最後だって思いながらやるんですけど(笑)、新しい台本を読むたびに、もっと頑張って、もっと面白い作品を作りたくなる。それをまた感じることができて、とても幸せだなと思います。王子小劇場は、僕らがまだクロムに入っていない頃に上演して以来(2004年『ボウリング犬エクレアアイスコーヒー』)、青木さんがずっとやりたいと言っていた劇場なので、そこでやれるのも楽しみです」

花戸「箱を開けたらまた箱で、もう1つ開けたら自分が箱だった……みたいなのがクロムの楽しみ方で、今回もそういう作品かなと思いました。あと、青木さんの書くものって、尖っているようでけっこう寄り添ってくれるところがあって、一般的には悪と見なされるような、マイノリティなものも大切にしている。それを感じるとすごくやすらげるというか……ちょっとわかりづらいことを言ってしまいましたけど(笑)」

渡邉「今回の作品には、見る人が見たら怒るんじゃないかという部分もあると私は思うんですけど、それは花戸くんが言ったように、悪の考え方に寄り添っているということなのかも。悪だと思っていることが本当に悪なのか、そこを1回解体することで、考えるきっかけをもらえるというか」

花戸「そう、そこですごく安心できるんです」

小林「それだと自分が悪人みたい(笑)」


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岡野「僕はもともと、クロムってド派手な音と光とパフォーマンスの、尖った劇団というイメージがあって、正直そこに憧れていた部分もあるんですけど、僕と戸村が初めて出演した『七人のふたり』(2015年)以降は、パフォーマンス色が少なくなったと思うんです。それは別に青木さんのやりたいことが変わったわけではなく、表現の方法が変わってきたということ。でも今回は、本読みだけだとかなり短い時間で収まるものになっていました。ということは、それ以外の部分で膨らませると考えると、久しぶりにガッツリとしたパフォーマンスがあるのかもしれない。全然体が動かない僕は不安もありますけど(笑)」

戸村「台本を読んだ感想は……たぶんみんなそうだと思いますが、1回目の読み合わせではよくわからなくて、2回目でやっと全体がフワッと見えてくる。そして、これは言い方が難しいのですが、何度も読んでいるうちに気持ち悪くなってしまって。熱があるときの悪夢みたいな、自分がここにいるのか何なのか、よくわからなくなってしまうような、中毒性のある本。それが現段階での印象です。僕が参加させていただいた4作品の中で、こういうのは今回が初めてです」

――― 作品のイメージが、ぼんやり見えてきたような気がします。

渡邉「前作『空と雲とバラバラの奥さま』のインタビューでは、ストーリーの内容とかをけっこう打ち明けていましたが、今回はどこまで説明していいのかわからない。私はちょっとだけミステリーだと思っているので、解説しすぎると良くないんじゃないかな」


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戸村「さっき言った印象も、これから稽古を重ねるうちに変わっていくかもしれません」

花戸「ただ、最近の青木さんは、けっこう説明するようになった気がしますね。本読みの段階から、この映画に影響を受けたとか、ここは実はこうだった、みたいな」

岡野「稽古は、やっぱりすごくアナログなんですよ。ちょうど昨日、美術を試す稽古があったんですけど、テーブルや椅子を立てたり寝かせたり、上に誰か乗ったり、1日で何十通りも試すんです。そういう実験的なことを、ものすごくたくさんやっています」

小林「ここ最近は、舞台美術をなるべく減らして、シンプルに芝居を見せようみたいな時期があったから、最近のメンバーには新鮮なんだよね。だからすごく楽しそうで」

岡野「そうそう。これ(舞台で)観たことある!っていう(笑)。あと、ト書きがすごいんですよね」

渡邉「ト書きはいつもけっこう無茶苦茶で、これは映画とかCGじゃないと無理だろう、っていうことが書いてあったりします」

岡野「『〜バラバラの奥さま』でも、《空が割れて昨日が落ちてくる》というのがありました(笑)。これどうやって表現するんだろう?となって、またアナログな実験が始まる。そうやって生身の人間が頑張るところでは、まだまだ尖っていたいですね」

小林「旗揚げから30年近く経つ劇団ですが、円熟じゃなくて未熟な作品をやりたいと、青木さんは言っていました。今回は若手がたくさん出る演劇祭で、たぶんうちが一番年寄りだから、そこで一番しっかりして……ではなく、あそこが一番ちゃんとしてない劇団だったねと言われるようなものにしたいと。僕ら役者は、その中で良い芝居をすれば、より変な作品になるんじゃないか。観た人にもそんなふうに感じてもらえるように、挑もうと思っています」


(取材・文&撮影:西本勲)


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PROFILE

渡邉とかげ(わたなべ・とかげ)のプロフィール画像

● 渡邉とかげ(わたなべ・とかげ)
4月10日生まれ、岐阜県出身。学生時代から演劇に関わる。卒業後は一旦就職するも、演劇の道を諦めきれず上京。クロムモリブデンには『猿の惑星は地球』(2006年)から参加。外部出演作に、あひるなんちゃら『ミツバチか、ワニ』、キリンバズウカ『マッチ・アップ・ポンプ』、犬と串『ミニスカーツ』、リジッター企画『クルりクルりと、光の方へ』『そこのこと』などがある。

小林義典(こばやし・よしのり)のプロフィール画像

● 小林義典(こばやし・よしのり)
8月12日生まれ、岐阜県出身。大学時代に旗揚げしたTHE☆メンチカツ成を主宰。『血が出て幸せ』(2008年)で演出部としてクロムモリブデンに参加し、『不躾なQ友』(2009年)から役者として舞台に立つ。外部出演作に、劇団子供鉅人『真昼のジョージ』、ナカゴー特別劇場vol.8『鳥山ふさ子とベネディクトたち』、同vol.10『アーサー記念公園の一角』、同vol.11『さらに』などがある。

花戸祐介(はなと・ゆうすけ)のプロフィール画像

● 花戸祐介(はなと・ゆうすけ)
12月14日生まれ、千葉県出身。クロムモリブデンには『不躾なQ友』(2009年)から参加。外部出演作に、キリンバズウカ『スメル』『ヒトヒトヒト』、柿喰う客 『俺を縛れ!』『真説・多い日も安心』、オフィスコットーネプロデュース『ガーデン』などがある。

岡野優介(おかの・ゆうすけ)のプロフィール画像

● 岡野優介(おかの・ゆうすけ)
7月27日生まれ、岐阜県出身。クロムモリブデンには『七人のふたり』(2015年)から参加。外部出演作に、岡本貴也脚本・演出『暗転セクロス』、10・Quatre Special Live『クリスマスなんて気にしないんだからっ!!』、演劇集団ふれる〜じゅ『Latent レイテント』などがある。

戸村健太郎(とむら・けんたろう)のプロフィール画像

● 戸村健太郎(とむら・けんたろう)
4月23日生まれ、千葉県出身。クロムモリブデンには、岡野と共に『七人のふたり』から参加。外部出演作に、劇団絵生『友情〜秋桜のバラード〜』、劇団空感演人『東京zoom』、劇団平成商品『イゼン、私はアンドロイドでした。』などがある。

公演情報

「たまには海が泳げ!」のチラシ画像

クロムモリブデン
たまには海が泳げ!


2018年3月20日 (火) 〜2018年4月1日 (日)
花まる学習会王子小劇場
HP:公演ホームページ

30名限定!一般3,600円 → 3,100円 さらに1,700Pゲット!さらに購入24時間以内にREC投稿で600Pゲット!(3/27 16時40分更新)

詳細はこちら

「たまには海が泳げ!」のチラシ画像

クロムモリブデン
たまには海が泳げ!


2018年3月20日 (火) 〜2018年4月1日 (日)
花まる学習会王子小劇場
HP:公演ホームページ

全席指定(一般):3,600円
全席指定(学生):2,600円
高校生以下:1,000円(上限枚数あり・座席は選べません)
(税込)

詳細はこちら