シンガーソングライター/俳優 中川晃教。昨年、ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』で第24回読売演劇大賞最優秀男優賞、第42回菊田一夫演劇賞を受賞、その目覚ましい活躍ぶりは改めて説明するまでもない。「歌うことは生きること」そう語る中川に、この春開催されるシンフォニックコンサート『Spring has Come』へ向けての意気込みを聞いた。
初めて僕の歌を聴いて下さる方にも、歌の力をちゃんと届けたい
「昨年、クリスマスの時期に、高知・神戸・京都と三カ所でコンサートをやらせて頂きました。その流れを汲みながら、「Spring has Come」という新しいシンフォニーコンサートを作っていこうということで、昨年を振り返りながら、今回の構想を練っています。
前回はクリスマスということで、わりと管楽器を中心に編成したんですけど、今回はシンフォニックということで、管楽器というよりはストリングス、豊かな響き、春や始まり、そういうものを感じて頂けるような美しい編成を考えています。ミュージカルが好きな方も、そうでない方も、色んな方に楽しんで頂ける構成にしたセットリストを組んでいますので、期待して頂ければと思います。
初めて僕の歌を聴いて下さる方にも、歌の力をちゃんと届けたいですね。前向きな気持ちになれるとか、目の前にある日常の悩みや嫌なことを一瞬忘れることができるとか。それによって、また全然違う風穴が空いて、新しい気持ちで日常に帰って行けたり、日常の物事と向き合える。音楽ってそういうものだと思うんです。僕は歌声ひとつをもってお客様と出逢う訳だけれども、その時間の中で、“聴きに来てよかった”“楽しかった”“また聴きに行ってみよう”って思ってもらえるところがこの仕事のやりがいであり、大切にしていることですね。」
ミュージカルの経験が、確実に自分の中に生きている
「ミュージカルだと、“中川晃教として歌う歌”ではなく、ある役柄をもって歌を歌うわけですけど、その経験が、また自分の歌にもフィードバックされていくんです。表現力であったり、何かを届けるということの大胆さから繊細さまで、ミュージカルの経験っていうのは、確実に自分自身の中に生きてきている。僕の音楽ってドラマチックな部分もたくさんあると思うけど、やっぱり聴きにきて下さった方の人生にふっと寄り添ったり、何かを思い出したり、単純に何も考えずに楽しめたり、居心地よくなったり気持ちよくなったり、そういうのって、音楽の持っているすごくシンプルな力だと思うんですよ。そういうと
ころにいけたらいいなとは、いつも思いますね。曲を書いているときも、歌を歌っているときも。」
新鮮な発見のあるコンサートにしたい
「今回はやっぱりシンフォニックであること、音の響き、音の広がり、音の豊かさ、ホールの響きもそうでしょうし、そこに足を運んで下さったお客様の雰囲気も含めて、全てが音の色となるっていうのが、僕の中ですごく楽しみなところであり、楽しんで頂けるところじゃないかなと思っています。それぞれの楽器から聴こえてくる音と、その楽器がアンサンブルする時に見えて来る景色や響きを新鮮に感じて頂けるようなコンサートにしたいですね。
今まで、ピアノと歌だけであったり、弾き語りやバンド、フルオーケストラ、色んな編成でのコンサートをやらせて頂きましたが、今回は、生の楽器が持つ魅力を最大限に表現できる編成かもしれないなと思っていたりします。70人強のフルオーケストラとは違う、でもだからこそ、ポップスからミュージカルからクラシックまで、幅広い音楽性を表現できる。そのことによって、今まで聴いたことのある楽曲がこうやって聞こえるんだっていう新鮮な発見をして頂けたらと思います」
音楽の持つ可能性をギュッとつめてお届けする
「あと、今年6月、舞台「『銀河鉄道999』〜GALAXY OPERA〜」に星野鉄郎役で出演するのですが、鉄郎が旅に出る時のテーマ曲を書かせて頂くことになっているんです。その曲を、どこよりも先に今回の『Spring has Come』でお披露目しようと思っています。会場の一番後ろにいらっしゃるお客様まで、歌声をしっかりと丁寧に届ける。僕にとっての音楽の持っている可能性みたいなものがギュッとつまったコンサートにしたいと思っていますので、ぜひ、足を運んで下さい!」
(取材・文:前田有貴/撮影:平賀正明)