2012年に多くの有名アーティストの振り付けを手がける、ダンサー・振付師のJUNを中心に結成され、コメディーにクオリティーの高いダンスパフォーマンスを取り入れ、演劇、ダンスの枠に捉われない総合エンターテイメント作品を創作する精鋭集団「Blue Print」、通称:ブルプリ。これまで忍者、妖怪、死神、鬼、父親と奇想天外な題材に挑戦してきた彼らが新たに挑むのはなんと魚類! 果たしてその世界観とはいかに!? 脚本・演出を手がける劇団SETのおおたけこういちを始め、今回魚類に扮するPInO、TOMO(DA PUMP)、KTR(BlackIIImurai)ら、トップパフォーマー達に舞台への意気込みを聞いた。
お芝居の中で踊る姿が魚に見えるなと思って
――― 今回のストーリーについて教えてください。
おおたけ「ざっくり言うと魚の話です(笑)。ダンサーさんをメインにした舞台はブルプリしかできない事。お芝居の中で踊ることが自然に見えるシチュエーションがないかと探していたところ、あっ、魚は見ようによっては踊っているように見えるなと思って魚をテーマに選びました。ここでは多くは語れませんが、魚の生態系を駆使したコメディー作品になっています。前回はシリアスなテーマ(父親)に挑戦したので、今回は誰もが楽しめるエンターテイメント作品にしたかった。新しいメンバーも含め、素晴らしいダンサーの方々ばかりが揃ったので思う存分踊ってくださいという感じです」
ブルプリは自然と作品の中に入れた
――― 今回は新旧メンバーが入り混じり12人が舞台に登場します。
TOMO「毎回、僕は出演していますが、今回はゲストも増えてダンス色が強く、よりパワーアップしたパフォーマンスが見られると思います。他の舞台を観にいくと芝居とダンスが分かれているものが多い中、ブルプリでは第1回目からその場面に合ったパフォーマンスをしているので、自然と作品の中に入れました。今回はメンバーの事をよく分かっているおおたけくんが脚本を書くという事で今まで以上にブルプリらしい作品になると楽しみにしています」
KTR「僕はおおたけさんと初めてお仕事をさせて頂くのですが、どんな内容になるのか全く想像つかないですね。普段、ダンスの舞台は経験していて、体で表現するという事には慣れていますが、台詞を喋る舞台は今回が初めて。最初は不安もあったのですが、同じく出演することになった仲の良いKATSUYA(FLOORRIORZ)に誘われたのと、同じクランプダンスをやっている先輩のTOMOさんもいらっしゃるので楽しそうだなと。台詞のある舞台で自分がどこまで出来るのかを試したいのも、お受けした理由の1つです」
台詞覚えで苦戦するダンサーさんを見るのが楽しみ
――― ダンスと演技、2つの要素が必要になりますが。
PInO「自分も15年ぐらい前にJUNさんが立ち上げた舞台があって、そこで1回だけ台詞があるダンサー役を演じたことがあります。ダンスの振付と台詞を覚えるのは感じが全く違うので相当戸惑いましたね。それ以来、苦手意識があって台詞がある舞台はなるべく観る方に徹しています」
KTR「それ聞いたらなんか怖いなー」
PInO「怖いよ。フリートークと違うからね。展開止まっちゃうから」
おおたけ「ダンスの振り覚えがめちゃくちゃ良いのに、台詞覚えで苦戦しているダンサーさんを見るのが俺、メチャ楽しみです(一同爆笑)。すでにとあるダンサーさんからは『一言もしゃべりたくない』という発注も来ていて、なんで引き受けたのかなと(笑)。でもダンサーの部分しか見たことのないファンの方は、喋っているだけできっと楽しめると思うし、ブルプリの一番の軸は何事にも一生懸命やるというのがあります。その姿を見せていけば感動にもつながると思います」
役者の中にない引き出しを開けてくれる
――― ダンサーの方が演技をする事について、役者の方とは違う感覚などあるのでしょうか。
おおたけ「僕は役者ですけど、役者から見たときにダンサーの方がお芝居をしている感覚が、役者の中にはない引き出しをどんどん開けてくれるんですよ。身体能力もあると思いますが、役者じゃこう演じないよねという部分も無理せず演じてくれることが多くて。だから役者仲間がブルプリを観に来ると新鮮で感動してくれる方が多くて、それはやっていて楽しいです。それを新たなメンバーにも期待したいですね。特にベテランのPInOさんにも」
PInO「ブルプリは何回か見に行っていて、笑っちゃう部分が好きで。笑わせるパフォーマンスはダンスだけだと難しい。そういう所でJUNさんから軽く振られたときに「じゃあ是非」という感じもありました。前回、台詞がある役は最初だから少なくしてくれと言ったら、「無口な役だから大丈夫」と聞いていたけど、ふたを開けたらすげーあって、1ページ丸まる(笑)。でもその時はすごい集中してやりましたね。喋れたという自信につながりました」
異なるジャンルの化学反応を見て欲しい
――― 最後に舞台への意気込みをお願いします。
TOMO「今回はパフォーマンスの幅が今までにないことになるはず。純粋にこの人とやったら楽しいというメンバーが揃っているので、それに負けない芝居の融合もできるはず。ダンサーの方だけじゃなく、お芝居が好きな一般の方も多く観にきてくださると思うので、誰もが楽しめる舞台にしたい。純粋に楽しみに来てください」
KTR「今までやった事がないことに挑戦するので、その熱量を出したいですね。そこを通して、自分のライフワークでもあるクランプというエナジーが演技からにじみ出るように振り絞りたいです。きっとクランプを観るのも初めてのお客さん沢山いると思うので、そこで一味違ったものを見せられれば。長台詞も同じ人間なので誰かができれば出来ると思います。頑張ります」
PInO「ダンス界の人からするとメンツに変り種が多くて、ジャンルも多岐に渡っているので、それがどういう化学反応になるのかが肝かなと。ジャンルが違うとセッションをしてもテンションや温度も違うので難しい。それが芝居に入ったときにどう融合させるかが腕の見せ所かなと。そこに台詞も入ってくる。ダンサーとして出演するけど、ダンス要員に見えないように、自分が喋ったところもテンションが変わらないようにキープしたいですね」
おおたけ「『BASHAAAAAAAN!!』っていうタイトルは水の中でもがくとバシャバシャするじゃないですか。その姿をイメージしました。僕は土台ですが、パフォーマンスも全員で意見出し合いながら作っています。あとは全員で積み重ねていく。それがブルプリらしさだと思うんです。老若男女の方々が楽しめるのがブルプリの持ち味だし、そういう舞台をやりたいのが目標だし理想。出来るだけ何も考えずに笑いに来て欲しいですね。
メンバーは回を重ねるごとに芝居がうまくなってきているので、僕的に面白くないなと思っています(笑)。もう1回原点回帰というか、みんなガムシャラになれるような危機的状況を与えてやろうと思っています。でもみんなの苦しみがお客さんの楽しみにつながればいいですね」
(取材・文&撮影:小笠原大介)