歌にダンスにポップなストーリー、「ライブstyle演劇」と名付けられた唯一無二のスタイルで注目を集めている劇団・ピヨピヨレボリューション、略して「ピヨレボ」。華やかなビジュアルと、脚本から振り付け、衣装まで、自らこなす逞しさを兼ね備えた彼女たちが今回挑むテーマは“婚活”。脚本を手がける右手愛美、そしてピヨレボの看板を背負って立つ、東理紗、maco、あずさに、次回作『プロポーズ難民』について聞いた。
舞台は架空のラブレッスン。右手の実体験から紡ぐリアルと、ピヨレボ流ファンタジーの融合。
右手「わたし、去年30歳になってから婚活に力を入れてまして、恋愛のハウツー本をたくさん読んだり、もうすぐ配信になる『バチェラー・ジャパン』※っていう婚活バラエティー番組に出演したり、すごく結婚というものについて考えていていたところだったんです。
今回の『プロポーズ難民』は、婚活女子たちがラブレッスンを受けるという設定をベースにストーリーが展開するんですが、すごくファンタジーな雰囲気なのに、中身がリアルというか…… わたしが体験したような、女同士の感情のどろどろみたいなものが出せたら面白いかなと」
maco「結婚っていうリアルなものと、ピヨレボっぽい華やかなエンターテイメントをどう組み合わせていくと面白いのかなっていうのを、みんなで話しました。今回は、謎解きの要素もあるんです。そもそも、なぜそのラブレッスンが行われているのかっていうのが謎解きになっていて、そこが話の核になっていくかなと。ピヨレボの作品はエンターテイメント性が強いですけど、今の日本でちょっと問題になっていることを、エンタメの形を借りて表現しているところがあって。今回もそういう感じなのかなと思います」
※20人の女性が一人のハイスペック男性をめぐって婚活バトルを繰り広げる婚活サバイバル番組。2018年5月25日より、右手出演のシーズン2がAmazonプライム・ビデオより配信。
そもそも、どうして結婚したいの?悩める女性たちに届けたいメッセージ。
右手「わたしは結婚したいって純粋に思ってたんですけど、どうしてしたいのかっていうのは、あんまり考えたことがなかったんです。じゃあそれを、一回考えてみようと。“なんでこんなに焦ってるんだろう、なんでお母さんやおばあちゃんからこんなに言われないといけないんだ! なんであの人たちの中で、結婚ってそんなに幸せなものになってるんだろう”って(笑)。
でもやっぱりわたしはそれに洗脳されて生きてきて、だけど結婚した先の目標が、本当に見えてるかなって。わたしと同じようなプロポーズ難民時代を送っている人に捧げたいですね」
東「今まで結婚とかあんまり考えたことなかったんですけど、改めて考えたんです。結婚って何だろうって。やっぱり日本はルールが多いじゃないですか。それこそ、結婚をしなくちゃいけない、結婚することで、“わ〜幸せだね”って言われないといけない、みたいな。考えてたら、結婚の前の“付き合うってどういうことなんだろう……”みたいなところに行きついて。「付き合う=結婚」でもないのかなあとか、そこらへんの結末が、ピヨレボとしてどういう風になっていくのか、今の自分的にもめっちゃ気になるところですね」
あずさ「結婚って“任務”みたいなところが自分の中にあって。わたしも周りに結婚する人が増えて、結婚式に呼ばれることも多くなって、行くとやっぱりたくさん感じることがあるじゃないですか。親が喜んでくれるとか、親孝行したいとか、やっぱりわたしも思うんですけど、でも根本は結婚にそんなに興味がなくって。ピヨレボで結婚の話をするようになって、結婚がやっぱりゴールじゃないとか、そういう話を聞いて気が楽になりました。この作品を観て、そういう風に感じる女性って多いと思うんです」
ピヨレボ代表作誕生の予感。人生観が変わる演劇体験、自己啓発本を買うならピヨレボを観よ!?
右手「ピヨレボのお客様は男性の方が多いイメージですけど、むちゃくちゃ女性に観てほしいんですよね。かなり女の人に共感してもらいやすいテーマを扱ってますから。女の人の考え方を学べるという意味では、男性もレベルアップできるっていうのはあるけど、でも女性にぜひ観てほしいよね。ピヨレボを初めて観るなら、今回の作品だと思います」
東「普通の演劇って、お客さんとステージの境界線がはっきりあるんですけど、ピヨレボはそういうのがなくて、お客さんと一緒にペンライト振ったりするんです。何回も観に来る人も多いよね。物語の方に沿って観る人もいれば、ライブが楽しいって言う人もいるし」
maco「今回吉祥寺シアターで2週間やるんですけど、ピヨレボの舞台美術ってけっこう華やかで、ダンスや歌もあるので、今回も、目でも楽しめる舞台になるんじゃないかなと思っています」
あずさ「もしかしたら観る前はかまえちゃうかもしれないけど、一歩入って観てみたら気持ちが変わるっていうか、観てよかったって思えるのがピヨレボだなって思ってて。観た後自分の人生観が変わるんじゃないかなって思うんですよね。だから、怖がらずに観に来てください!」
(文・取材:前田有貴/撮影:友澤綾乃)