お得な公演チケットサイト Confetti(カンフェティ)

PICKUP

新里哲太郎


キメ画像1

各方面で注目を集める新里哲太郎のプロデュース公演、第5弾が早くも目の前に!

人はなぜ犯罪を起こしてしまうのか? 親子の関係性を交えて描く問題作

「自分が本当に作りたい演劇がようやく見えてきた」……そう話すのは、役者を中心にキャリアをスタートした後、その演出力が評価され、さまざまな作品に関わり注目を集めている新里哲太郎。近年は自身のプロデュース公演にも力を注ぎ、先日その第4弾『クジラの歌』を盛況のうちに終えたばかりだが、10月には早くも第5弾となる『風の音聞こえず、鈴音が落ちる』が上演される。新里自身が演出だけでなく脚本も手がける本作では、“犯罪”をテーマに人間同士の心と境遇の摩擦が描かれるという。脚本執筆期間中に行われたこの取材で新里は、プロデュース公演を始めた動機や演劇への思いをストレートに話してくれた。


インタビュー写真

自分がその身に置かれたら、という作品に

――― tetsutaro produceという形のプロデュース公演を始めたきっかけは何ですか?

「もともとプロデュースは劇団の頃からやっていたのですが、劇団が一旦活動休止することになったとき、もっと自分のためにエネルギーを向けて頑張りたいなと思ったんです。プロデュースをすることで自分のレベルを上げたり、新しい出会いもあればいいなと思っていますし、もちろん役者としてオファーをいただいたらそれにも挑戦したい。今までいろんな演劇を観てきて、40歳を目の前にした今、より自分の作りたい演劇がようやく見えてきたというのもあって、いつか大好きな先輩方を呼んで公演できたらなという夢を持ちながらやっています」

――― 最初の公演(2015年『雨ウツ音ナリツヅ9日々』)では、どんなものを作ろうとイメージしていましたか?

「ちょうど戦後70年を迎えた年で、地元の沖縄を出てから久しく戦争のことを考えていない自分がいるなと思って。沖縄にいたときはすごく考えていたし、アメリカに留学してからも向こうで戦争についてディベートしたり、ちょうど9.11があったりもしたので、改めて戦争のことをもう一度見直さなきゃと思ったんです。そして、沖縄戦を描いた作品がいろいろある中で、自分が思う届け方というのがあるなと。反戦を謳うわけでもなく、戦争でこういうことが起きたという事実を見つめたときに何を感じますか?みたいなことを投げかけたくて、だったらいっそのこと自分でプロデュースして、脚本も書いて演出して、観てもらいたいなと思ったのが最初の作品でした」

――― さまざまな作品の演出に関わりながら役者としても活動する中で、今年はtetsutaro produceとして『クジラの歌』(脚本:えのもとぐりむ)の再演があり、1ヶ月後にこの新作『風の音聞こえず、鈴音が落ちる』を上演するという、なかなかのハイペースぶりですね。

「周りで活躍されている先輩方は、月に2〜3本くらい平気で抱えているような方々ばかりなので、自分もそうでなければという強迫観念もあります。『クジラの歌』に“ゆったりゆっくり生きてみたらどうですか”っていう台詞があって、それが身に沁みていますが(笑)」

――― そんな中でも新里さんの中には作りたいものがあって、それが今回の作品ということでしょうか?

「僕はもともと役者から始めていることもあって、自分がその身に置かれたらどんなことを感じるんだろう、というものを作りたい気持ちがあります。エンターテイメントの1つとしての演劇を作りながら、自分が何かを本当に体験したときに出てくる本音を、メッセージ性のある作品にできないだろうかと。最初に沖縄戦の話を書いたときもそういう思いが基盤にありましたし、今回は、以前から興味があった裁判ものとか、連続殺人鬼、サイコパスといったものが発想の元になっています。どうしてこういう人がこんなことになるんだろうと……。あと、TVで北九州監禁殺人犯の息子さんのインタビューを見たのもきっかけの1つです。もし自分の父親が殺人犯だったらという想像から、いろんなものが繋がっていきました」

インタビュー写真

人間臭さとファンタジーを融合させたい

――― かなり重いテーマの作品ですが、タイトルは詩的ですね。

「僕、詩が好きなんですよ(笑)。大した内容じゃないですけど、中学生くらいの頃には詩を書いていたこともありました。抽象的な言葉の響きから、想像で世界を広げるのが好きなんです」

――― 実際の作品はどんな雰囲気になりそうですか?

「重たくなると思います。まだ書いている途中ですが、犯罪者を親に持つ子供の場合、負のスパイラルを受け継いで自分も犯罪を犯してしまうのか、ひどいバッシングを受けながらも強く生きていくのか。その両方の話を、父親と2人の息子を通して描きたいです。といっても、重い話だけで1本攻めようとは思っていなくて、少しは笑えるところも入れるつもりです。キャスティングに関しては、この話をやりたいと興味を持って飛びついてくれる人との良い出会いを楽しみにしながら進めています」

――― tetsutaro produceでは、なるべく新しい役者と出会っていきたいという思いがあるのでしょうか?

「新しい方と一緒にやると、ドキドキ、ワクワクするじゃないですか。その感覚で作品を作っていきたいんです。もちろん、僕が作りたいものを知っている人がいると安心できるし、tetsutaro produceでは脚本からはみ出してもOKという作り方をしているので、初めての人にとってのは、ここまでやっていいんだという指針にもなります。だから以前一緒にやった人も、この作品なら良い挑戦をしてもらえるだろうという場合はお声がけさせてもらっています。それで喜んでもらえるのも嬉しいですし」

――― ヒロインも登場するようですが、どんな役回りなのでしょうか?

「普通に考えて、エンターテイメント作品としては綺麗な女性がいるだけで目を引くじゃないですか。だから毎回ヒロインは登場させたいと思っているんですけど、今回は物語の中でどんなふうに動いてもらうのか、すごく悩んでいるところです。僕自身は男臭い話が好きなのですが、その中でも強くて不思議な魅力を感じさせる女性にできたらなと思っています。僕は女性って強いと思っているので、これまでの作品も、辛い境遇でしっかり頑張っている女性を描くことが多かったですね」

――― 結末はもう決まっていますか?

「こうなるといいな、というぼんやりしたものはあります。そこに向けて書いていって、脱線もしますけど(笑)、それによって自分の中で漠然としていたものが明確になるというか、“こういうことだったのか!”と気づくことも多いです。それにほとんどの場合、一番描きたいシチュエーションがあるところから始まるので、途中で違う方向に行っても、最初に決めたところには戻っていきます」

――― では最後に、観に来てくださる方に向けて一言お願いします。

「先ほどタイトルが詩的だとおっしゃってくださいましたが、このタイトルは自分が作品を書くときの大きなインスピレーションになっています。そこから興味を持ってくださってもいいですし……あと、僕はただただ面白いエンターテイメント作品を作るのは得意じゃなくて、人間としての機微と叙情、人間臭さとファンタジーの融合を作りたいんです。もちろんお芝居ではあるんですけど、劇場に足を踏み入れたら、そこではみんな嘘がなく生きている世界を目指して作るのが、僕の演劇スタイルでもあります。それに、僕はわがままで欲張りなので、新しい演劇のスタイルを生み出したいとどこかで思いながら作っているつもりです。今回の作品は、演劇が好きな方だったらきっと楽しめるものになると思いますし、役者さんも全員いろんな素敵な顔を見せると思いますので、ぜひ足を運んで、感じていただきたいです」

(取材・文&撮影:西本 勲)

キメ画像2

PROFILE

新里哲太郎(しんざと・てつたろう)のプロフィール画像

● 新里哲太郎(しんざと・てつたろう)
1981年5月6日生まれ、沖縄県出身。
高校卒業後に留学したアメリカで演劇と出会い、ネバダ州立大学リノ校芸術学部演劇科を卒業。帰国後は劇団居酒屋ベースボール(現在は休団中)に役者・演出として関わる一方、外部作品への出演や演出助手などの形で活動の幅を広げる。2018年は秋元康プロデュースの劇団4ドル50セント『新き国』(脚本:丸尾丸一郎)に演出補佐で参加し、演出協力と演技指導を行った。2015年からはtetsutaro produceと題したプロデュース公演を立ち上げ、『雨ウツ音ナリツヅ9日々』『狼少年タチバナ』などを上演している。

公演情報

『風の音届かず、鈴音が落ちる』

2018年10月3日(水)〜8日(月・祝)
下北沢 小劇場B1

20名限定!一般席4,700円 → 3,700円さらに200Pゲット!