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大西弘記・西山水木・斎藤洋介


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「手紙を送る」ことで人生の隙間が埋まっていく

教師と義務教育を修了できなかった生徒が紡ぐ人情夜間中学校物語

社会のひずみを若者の視点から描き、心に刺さる人間ドラマを丁寧な劇作・演出スタイルで届ける「TOKYOハンバーグ」。24回公演は代表作『へたくそな字たち』を再々演する。人生において大事なものは何かを問いかける本作。劇団主宰で作・演出の大西弘記と、畑野先生役・西山水木、吉野役・斎藤洋介に話を聞いた。


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定期的にやりたいと思っている作品

――― 本作は2013年に初演、2014年には再演され今回で3度目の再々演ですが、このタイミングの上演には理由があるのでしょうか?

大西「そうですね、まだ観ていない人が圧倒的に多いので、観てもらいたいという想いが一番です。この作品のテーマが常に観る側に問うていきたいものがたくさんあるので、定期的にやりたいと思っている作品です」

――― 物語は夜間中学校を舞台に、義務教育を修了できなかった人たちが「先生の家に手紙を送ること」という宿題を取り組むなかで人生の隙間が埋まり、“学び”と“交流”を重ねながら共に成長していく様子が描かれる。

大西「生活していくことに問題がない人は当たり前ですが、当たり前が当たり前ではなく義務教育を終えなかった人たちが読み書き計算がちょっと分かるだけで違うと思うんです、できることによってやっぱり自信が持てると。僕は演劇をやっていますが、一個勝ち取ったと言うか、学歴ではなくて何かができるだけで自信になると思うんです」

映像は何度も見返すことができますが舞台は一発勝負

――― 数々の有名ドラマや映画でインパクトを残し活躍している斎藤洋介。数少ない舞台出演に注目が集まる。

斎藤「台本を読んで中学の夜間学校があることを初めて知りました。僕が演じる吉野は無口な役で、周りの役にいっぱい喋らせて、そこにスポットが行くようになるんだろうと思っています。たわいもない会話が頻繁に流れていると大事な言葉がその中に埋もれて行ってしまうのではないかという想いが最初ありましたが、だからこそ喋れない人間の方のぽそっという言葉が大事なんだなぁと。映像は何度も見返すことができますが舞台は一発勝負です。観終わって家に帰って『あーそういうことか』と初めて気づくことがあります」

大西「洋介さんはとても難しく重要な役どころで、あまりしゃべらせていないというか、セリフがない所で芝居を成立させなければいけいない部分を洋介さんに担ってもらえたらと思っています」

斎藤「亡くなった大杉漣さんの舞台で、水道から水を飲むだけに10分かけてセリフはなく飲んだら去っていくんです。観客はなんだったんだろうと。その緊張感を与えられる俳優の力量。演劇ってそういうものなんだろうなって思うんですよね。いくらいいセリフを言っても一過性で、でも何も言わないでいると観客は何だろうと興味を持って観るじゃないですか。その双方があたえる緊張感は映像ではできないと思うんです」

大西「セリフには2の意味3の意味を持たせていることがあるので、字づらだけで読むとただの“おはよう”ですが、その“おはよう”の一言で関係性だったり場所だったり、相手に対して何を思っているか、自分は何を思っているのかとか、書いていないところがセリフにはあって。読んでいく中で読解していくことも大事ですが、立って相手とまみえて感じていくということの方が僕は多いような気がするんですね。なので、そこは稽古が始まって洋介さんがどういう風に捉え方が変わっていくのかとても楽しみですね」

顔が曲がるほど感動して泣いた

――― 2016年の作品『愛、あるいは哀、それは相。』がTOKYOハンバーグ初出演だった西山水木。出会いは2014年版の本作で、劇場で号泣したことを振り返る。

大西「水木さんとは出会う前から女優として知っていて、演劇仲間と水木さんが出る『ゴルゴン』(2013)を観に行き、終わったあと劇場近くで飲んでいたらご一行が来られて、ご挨拶をしまして僕らの席に来てくれたことがきっかけです。その後は2人とも劇作家協会に入っていたので総会の時に再会し、それから2014年の再演を観に来ていただけたんです」

西山「すごくびっくりして感動して、すぐ知り合いに観た方がいいと電話をしました。色んな劇団の知り合いに、ここにスゴイ作家がいるから早く押さえて! 今のうちだ!って(笑)。ほんとに顔が曲がるほど感動して泣いたのよ」


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大西「水木さんとのご縁で青年劇場の脚本を書き下ろすことができました。水木さんにご出演のオファーをしたら快くお返事をしていただけて『愛、あるいは哀、それは相。』に出演していただけて……」

西山「そしてこの出会いの作品に畑野先生役で出演できるとは思わなくて嬉しいです」

斎藤さんが演じたらどうなるんだろう、誰よりも僕が一番興味があった

――― 再々演からキャストは一新され、全く新しい『へたくそな字たち』が生まれようとしている。斎藤はセリフについてこだわりを語る。

大西「よく脚本を逆から読むっていいますが、それはどういうことなんですか?」

斎藤「昔『人間失格』というドラマで2話くらいにあるセリフがあったんです。当時は3話分しか台本をもらえなくて、僕は8話で死んじゃうんですが、死ぬ前に言っているセリフが2話で言ったセリフの伏線になっていたんです。でも2話で言ってしまっているから修正は効かない。ところが舞台は全部台本があるので後ろから読みもう一度頭から読むと、何気ないセリフがここでこのセリフを言うための伏線になっていることにふと気付く場合があるんです。ただそのことに早く気付いてしまうと、前半で軽く流さなければいけないはずのセリフなのに、力を入れて言っちゃうことがあったりね(笑)。

観終わった時に観客の方が『全くぶっきらぼうな俳優かと思ったけどあれも芝居だったのか』と思っていただけたら俳優としては最高の誉れかなと思うんです。『なるほど、それで感情を入れなかったんだ』と何人かが気付いてくだされば、それで俳優としての責任は果たせたのかな」

大西「吉野役を誰にやってもらおうかと考えた時に、座・高円寺という劇場でプログラムとして選出していただいて、とてもありがたい環境でできるということで、企画としても今までよりも挑戦をしたくて。そこで斎藤洋介さんのご出演をダメもとで相談しました。洋介さんは僕の世代ではドラマ『高校教師』などを見ていて、徹底的に人をいじめる役もあれば、別人のように優しい役もあってとても魅力があり、僕が描いた屈折だらけ影だらけの人物を洋介さんが演じたらどうなるんだろうと、誰よりも僕が一番興味があったんです。そして何度かお会いして出演が決まり、その時はガッツポーズしました!」

斎藤「覚えています。僕はセリフを理解することに時間がかかるんです。舞台はライブなので時間の流れの中でどう感情が変わっているのか、そのことを確認ができるまで時間がかかるタイプで。聞いていて気持ちいいセリフと胸を打つセリフかは別問題です。セリフの責任の問い方ですよね。稽古の中でどう変わっていくか楽しみだね」

大西「洋介さんと色々なお話をさせていただいていて、とても印象的だった洋介さんの言葉は『どうやってセリフをいうのか』つまりアウトプットですよね。インプットよりアウトプットが難しく、劇作家としてはスムーズにセリフを書いている訳ではなくて、これは人間の言葉かなとかいろんなことを考えながら何回もバックスペースキーを押して書き直しているんです。洋介さんがそう捉えてくださるということはすごく嬉しいですし楽しみです」

興味を持っていただけて嬉しかった>

公式サイトには数々の名作を世に送り出している映画監督・山田洋次氏からメッセージが寄せられている。山田監督は夜間中学校を舞台にした名作『学校』シリーズを手掛けていることでも知られ、本作に興味を持ったという。


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大西「僕が青年劇場で書き下ろした作品『きみはいくさに征ったけれど』を山田洋次監督が観に来てくださって、素晴らしかったと言っていただきました。山田監督の『学校』は、松崎運之助先生という実際にいらした先生の書籍をモチーフに映画を撮られているんですね。僕も夜間中学校の作品を書こうとした時その本を読んでいて、『実は僕も夜間中学校の話を書いたことがありまして、それを再々演するんです』とお伝えしたらとても興味を持ってくださって。これもダメもとでお願いしたらメッセージをいただけました」

西山「山田監督は何を気に入ってくださったの?」

大西「『きみはいくさに征ったけれど』は竹内浩三という23歳の若さで戦争で亡くなった詩人のお話なのですが、山田監督も竹内幸三を映画で撮りたいくらいとても好きだったようで興味を持ってくださって。僕が描いたのは現代の高校生が竹内幸三と出会ったらどうなるのか? 現代では自殺をする子がとても多く、その悩みを持っている子と生きたくても生きられなかった幸三の出会いを描きました。竹内幸三像を重ねて自分自身と会話する作風が面白かったみたいで。僕みたいな発想がなかったと言ってくださって興味を持っていただけて嬉しかったですね」

学校の先生ってドラマチックなんです

西山「男性の先生と女性の先生は違うと思うし、生徒との関係性も違うのでどう描いてもらえるのかとても楽しみです。実は我が家は教師の家系で両親も妹も親戚も教師だったのでリアルな生活の部分は見てきました。妹は田んぼに逃げた生徒を追いかけて泥だらけのまま現れたり、夜中に泣きながら生徒が訪ねてきたりね、実は学校の先生ってドラマチックなんです。普通の学校でそうなのでさぞかしこの夜間中学校では色々なドラマがあるのではと。そのささやかな人生に役者として役に立てたらいいなって思っています。この畑野先生は年齢的にも最後の仕事をしようと思っているのではないかな。このあとどう生きていこうかと考えていると思うので、そのあたりもリアルに出していけたら」

大西「僕が取材に行った時にお聞きしましたが、夜間中学校に赴任するのは先生方自身では決められないそうなんです。今都内に7校しかなくてほとんどの先生が未青年を教えています。でも夜間中学校に通う生徒は大人で年齢層も広くお母さんやお父さんもいます。先生との違いは義務教育を終えていないというだけで、社会の苦労はもしかしたら生徒の方が知っているかもしれない。大人は大人なりのデリケートさがあって、そういう人を相手に察しながら先生と言う立場でどう接していくのかと言う所がたぶん一番難しいところだと思います」

斎藤「そうですね。僕の役は口数が少なく、背負っているものがたくさんあるにもかかわらずそれを人に見せない。ものすごい重圧のかかる役です。その重圧をさらっとみせなければいけない、そこがものすごく難しいよね。なぜ難しいか、それは演じようと思っているから。エンターテインメント性は演出に全てお任せして、僕はまず全て放棄するところから出発し手探りで道を見つけるようと思っています」

西山「このハンバーグの描く世界はエンターテインメントです。優しさに満ちているのでそういう物に触れて、あらためて自分のいる場所を見つめていただけたらと思います。優しい時間を一緒に過ごしましょう」

(取材・文&撮影:谷中理音)

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PROFILE

大西弘記(おおにし・ひろき)のプロフィール画像

● 大西弘記(おおにし・ひろき)
6月29日生まれ、三重県出身。
TOKYOハンバーグの主宰、劇団すべての脚本・演出を担当。1999年に伊藤正次演劇研究所に入所し演劇を始め、その後活動を経て2006年に自らの作品を上演するため企画・制作の母体となるTOKYOハンバーグを設立。劇団の他、演劇ワークショップの講師としても活動中。

西山水木(にしやま・みずき)のプロフィール画像

● 西山水木(にしやま・みずき)
1957年11月1日生まれ、佐賀県出身。
1978年に劇団青年座に入団、退団後は「E. Dメタリックシアター」「あ・ち・ちパーティ」「ラ・カンパニーアン」など主宰し、作家・演出家としても活動中。読売演劇大賞 優秀女優賞ほか受賞歴がある。

斎藤洋介(さいとう・ようすけ)のプロフィール画像

● 斎藤洋介(さいとう・ようすけ)
1951年7月11日生まれ、愛知県出身。
教師役など唯一無二の存在感で数多くのドラマや映画で活躍中。近年の作品に、CXドラマ「ナニワ金融道」、映画「ベトナムの風にふかれて」などがある。

公演情報

「へたくそな字たち」のチラシ画像

TOKYOハンバーグ Produce Vol.24
へたくそな字たち


2018年12月5日 (水) 〜2018年12月12日 (水)
座・高円寺
HP:公演ホームページ

10名限定!4,500円→ 【指定席引換券】3,700円さらに200Pゲット!

詳細はこちら

「へたくそな字たち」のチラシ画像

TOKYOハンバーグ Produce Vol.24
へたくそな字たち


2018年12月5日 (水) 〜2018年12月12日 (水)
座・高円寺1
HP:公演ホームページ

前売:4,500円
ハンバーグ割引 前売:4,000円
学生割(高校生以下):2,500円※要証明書
(全指定席・税込)

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