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元吉庸泰・黒沢ともよ


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大事故から生還しPTSDのカウンセリングを受ける少女が、白昼夢の中、鏡の世界を旅する……

音楽と芝居を独自のバランスでミックスしたエムキチビート流ミュージカル=《音劇》の第2弾

演出家・元吉庸泰が主宰するエムキチビートが、『世界の終わりに君を乞う。』を上演する。約2年ぶりの公演となる本作は、2010年の作品『ワールズエンド -フライバイユー-』を、同劇団が《音劇》と呼ぶミュージカル形式にリメイク。新たなモチーフも加えて大きく姿を変える。主演は、声優として数多くの人気作品に関わる黒沢ともよ。2016年の『アイ ワズ ライト』にも出演していた彼女について「今回は黒沢さんだからこそ、この演目を選んだ」と明かす元吉に、黒沢も「この“物語”を観てほしい、と思えるのが元吉さんの作品」と応じる。公演への期待を高める2人の会話をお届けしよう。


インタビュー写真

ワークショップでの出会いと、苦しかった『アイ ワズ ライト』

――― 黒沢さんが『アイ ワズ ライト』に出演されたとき、元吉さんの作品に出るのが念願だったとブログに書いていましたね。

黒沢「そうなんです。初めて元吉さんに出会ったのが……」

元吉「まだ14歳でしたよね。師匠である鴻上尚史のワークショップに僕が手伝いを兼ねて参加したとき、そこに黒沢さんも来られていたんです。そして誰よりも上手かった」

黒沢「やったー!(笑)……いや、そんなことはなかったですけど、子供だったから組んでくれる人がいなくて」

元吉「いやいやいや、こんなに上手い人と組むって正直怖いと思う。鴻上さんに“あの若い子ヤバくないですか?”って言ったら、“あの年齢であんなに上手いやつはいない”って」

黒沢「舞台に初めて立ったのは5歳のときで、それからいろいろとやらせてもらっていたんですけど、舞台って、次の作品がどんどん決まっていくと映像の仕事ができなかったりするので、あのワークショップを受けた頃は、もっといろんな世界を見たいと悩んでいたんです。結局そのあと当時の所属事務所を離れて、そこからはあまり舞台に関わることがなく過ごしていました。でも、やっぱり私の始まりは舞台だし、いろんなことを考える上で軸になっていたのも舞台なので、いつかまた板の上で芝居をしたいなと思いながら、その心を胸に頑張って、声をあてるという形で芝居に触れ続けていたら、縁があって(『アイ ワズ ライト』に)呼んでいただけたという」

元吉「絶対一緒にやりたくて、ずっとタイミングを探していたんです」

黒沢「……嬉しい」

元吉「『アイ ワズ ライト』は自分の中でも特に大切で、何か運命的なタイミングでなければ上演したくないっていう作品だったんですけど、その中心となるティンカーベルの役がすごく難しいんです。形のないものを演じるというか、人が演じるのは不可能じゃないかっていうくらい難しい。初演のとき(2012年『I was Light』)は、もっと可能性があるのに突き詰められなかったと自分の未熟さを感じた役でもあったんです。でも2016年、本当に運命的に劇場が空いていて、いろんなことがスムーズに決まっていくという不思議な状況の中、パッとイメージがつながったのが黒沢さんで」

――― ワークショップから何年も経っていたんですよね?

黒沢「7年空いていました。だから、覚えててくれたんだ!って驚きました。忘れられないように頑張ろうとは思っていたけど、本当に嬉しかったです」

――― それで元吉さんの舞台に参加して、いかがでしたか?

黒沢「辛かったです(即答)」

元吉「あははははは!(笑)」

黒沢「それこそ舞台の仕事が7年ぶりくらいで、舞台の上で動くのが久しぶりだったというのが1つ。あと、私がマイク前の現場に慣れてしまっていて……アニメって、私たちが演じるより前に1つの方向性を監督さんが思い描いていることがよくあって。監督さんとアニメーターさんと、声を乗せる声優が同じ意見じゃないとキャラクターが1人の人間として成立しないから、ある種の正解を作らないといけない。でも舞台は稽古の期間があって、そこで正解のないところで戦うというのが久しぶりだったから、最初の頃は元吉さんにずっと正解を聞きに行ってましたね」

元吉「そうだった。懐かしい(笑)」

黒沢「それで、途中で“そういうものじゃないんだよ”とお叱りをいただいて、もうそこにいて感じることだけで頑張ろうと。でも、普通の芝居だったら正解を求めていたときより楽でいられるはずなのに、どんどん、どんどん苦しくなっていって……元吉さんに“どうしたらいいんですか?”って聞いたら、それが正解!って言われて(笑)」

元吉「演出家にもいろんなタイプがいますけど、僕はどちらかというと1つ1つの挙動を制するのではなく、俳優自身の葛藤が乗ってこそだと思ってしまうんです。形(フォーム)ではなく、実際にヒトの部分に染みていなければそこに意味は生まれないと。僕はそれを、ちょっと乱暴に俳優自身に投げてしまいがちで(笑)、彼女もすごく苦しんでいました。でもずっと諦めなかったし、根っこの部分を確実に叩き直しながら進んでいるんだろうなという感じがあった」

黒沢「それは元吉さんが諦めないから。あと、すごく素敵な役者さんたちに支えられていたから」

元吉「特別な絆があったね。そして当時のあの座組でしか出せない、不協和音の美しさがあった。その中で、黒沢さんはちゃんと孤独であることを自覚しているように見えて、なんて末恐ろしい若い子がいるんだろうって思ったんです。まだ二十歳なのに、マジで?って。そして今だから言うけど、本番初日で黒沢さんが最初に出てくるシーン、俺は立ち上がりそうになるくらい良かった」

黒沢「ええーーー!」

元吉「俺が考えていた台本と演出を超える、完全に予測と違う色が見えて、うわっ! カッケー!と思って」

黒沢「もう、今回は稽古に入るのやめようかな(笑)。このイメージのままで」

元吉「手前味噌ですけど、千穐楽ではカーテンコールが何度もあったり、スタンディングオベーションが起きたりして、自分の生涯の糧になるような手応えを感じたんです。それでまた一緒に芝居をしたいなと思って」

黒沢「終わったときには開放感というか安堵感、やっと楽になった、みたいなのがすごく強かったです。でもやっぱり舞台が好きだなって思える、不思議な作品でした」

小編成の生演奏と共に、俳優の身体に音を宿しながら

――― 黒沢さんは、元吉作品に出たことで自分にどんな影響があったと思いますか?

黒沢「大きなものとしては、7年ぶりに舞台ができたので、すごく身体が自由になりました。あと、台本を読んだときに見える選択肢の幅が広がった感じがあって、台本を読むのもすごく楽しくなりました。それから……相手役の人について考えるようになりましたね」

元吉「素晴らしい(笑)」

黒沢「何かを隠している人がわかるようになったというか、傷つかないように生きている人を見分けられるようになりました。芝居を学んだというより、人を学んだみたいな感じですけど(笑)」

――― そして今回の『世界の終わりに君を乞う。』ですが、もともと予定していたのは別の演目だったそうですね?

元吉「そうなんです。そこに黒沢さんをキャスティングさせていただいたんですけど、ある理由でその作品自体が上演できなくなってしまって。それで急遽、別の演目を決めなきゃいけなくなったときに、黒沢さんだからこの作品にしようと思ったんです」

黒沢「ひーーー(汗)」

元吉「ベースになっている『ワールズエンド -フライバイユー-』は、今まで自分が書いた作品の中で最も複雑で、最も地に足がつかない作品。そして、初演でやったときは正直、落ちきらなかった。僕自身の力が足りなかったんです。ただ、ある着地点に辿り着くことはできて、お客様にもすごく好評をいただいたんですけど、自分の中では、本当に落としたいところには落ちていなかった。そんな作品を今回、ある意味成仏させてあげたくて。黒沢さんならいけるだろうと」

黒沢「頑張ります(汗)」


インタビュー写真

――― それを《音劇》という形にリメイクすることにしたのはなぜですか?

元吉「《音劇》というのは、通常のミュージカルに対して音楽と芝居の要素をミックスし直したもので、一番長い曲でもミュージカルで歌うフル尺の半分くらいだったり、普通の芝居がものすごく長尺で入ったりと、ストレートプレイ的な要素が強いんです。2014年に上演した最初の《音劇》である『朱と煤 aka to kuro』は、スタンダールの『赤と黒』をアレンジしてとても好評で、今回はその第2弾になります。『ワールズエンド -フライバイユー-』でも音を多用しましたが、そこでストレートプレイの動きが止まるのがもったいないと思っていて。でもミュージカルなら、音が出た瞬間に役者の感情と時間を全部乗せられて、ワープできる。今回は多重的な世界を移動する表現が多いので、そこで音の力をちゃんと利用できると思ったんです」

――― しかも生演奏というのがポイントですね。

元吉「はい、贅沢にも。編成もシンプルで、ヴァイオリン、セロ(チェロ)、ピアノの3つ。前回は金管楽器やパーカッションも入っていましたが、今回はある意味、俳優の身体に音が宿らないと難しいと思います」

黒沢「すごい! でも怖い……」

――― 黒沢さんはミュージカルの経験もありますから、この形式には興味を引かれるのではないでしょうか?

黒沢「そうですね。ミュージカルはすごく久しぶりで……『グレイ・ガーデンズ』(2009年)以来かな。キャラクターソングみたいなのを歌うショー形式のライブはずっとやっていますけど、正統派な音楽劇はあれ以来。元吉さんには“久しぶり”ばかり奪われてます(笑)」

元吉「おかしいなあ(笑)。今回は物語の設定も大幅に変えますし、さっき話した多重世界についても、それぞれの境界線を曖昧にしようと考えています。師匠の鴻上がやったように、演劇の自由さを使って時間や空間を変えていくということを、改めて楽しみたいなと」

シンプルに、リアルに、そして楽しさの共有へ

――― 公演資料に書かれたあらすじには、《銀河を旅する電車》《白の女王と赤の女王》など、作品の内容を示唆するいくつかのキーワードが見られます。

元吉「それも初演から大きく変わる部分です。突然自分の世界が違うものに変わっていく中で、主人公の女の子が必死に頑張って進んでいく。たくさん失敗や試行錯誤をするんだけど、それでも物語は進んでいって……(以下、作品の核心に触れるため中略)、それを役者たちが一生懸命ワーッとなりながら頑張って、最後にシンプルなメッセージがポン、とある。そうなったら素敵だなと思っています」

――― 役者たちにとっては、とても素敵な体験とは言えなさそうな……。

元吉「大迷惑だと思います(笑)。でも、すごくシンプルに演じてくだされば多分成立すると思う。もちろん苦しむと思うけど」

黒沢「……はい(苦笑)」

元吉「でも、不思議と安心感はあります。黒沢さんだったら等身大の孤独をちゃんと身体に宿らせてくれて、それをお客様としっかり繋げることができるのかなと」

――― そう思ったからこその、この演目だと。

元吉「そうなんです。もう、僕の中ではこれしかなくて。絶対これ!と思いました」

黒沢「そうなんだ……」

元吉「そして、やっぱり僕が彼女を素晴らしいと思うのは、内に秘めている生命力の色が多いところなんです」

黒沢「???」

元吉「彼女の中で燃えている炎みたいなものに、すごく多面性があるというか」

黒沢「それってヤバいやつですか?」

元吉「ううん、美しいの。だから舞台上でリアルに“揺れる”ことができる。そこがとても美しいと僕は思うんです。たぶん、それで『アイ ワズ ライト』は苦しかったんだろうなと。だって揺れてるからね」

――― いろいろな話が出ましたが、黒沢さんにとってはまた大きな経験になりそうですね。楽しみにしているファンの方に向けて、最後に一言いただけますか。

黒沢「私の幼馴染みで、仕事をしているときの葛藤の話はまったくしないけど、仲の良い子がいるんです。その子が何度か私の舞台を観に来てくれていて、“ともよが頑張っていてすごいと思った”とか、“役者さんのお芝居ってすごいんだね”っていう以外の感想を初めて言ったのが『アイ ワズ ライト』だったんです」

元吉「ほう」

黒沢「舞台って予告編もないものだから、観に行くのに勇気が要るっていうか、普段観慣れない人にとってはすごい特別な覚悟が必要だと思うんです。そうやって観に来てくださった人に、この人が出てたとか、この子が可愛かったとかカッコよかったとか以外の、物語として何か揺さぶるものを描くのが元吉さんの戯曲なんだなと思ったので、私は今回この演目になってすごく嬉しかったです」

元吉「よかった(笑)」

黒沢「私を普段応援してくれている皆様には、私が出てるから観てほしいという以上に、この“物語”を観てほしいって思えるものを紡ぐのがエムキチビートという劇団です。そういう意味で、よかったら、ぜひ観に来ていただきたいなって本当に思います」

元吉「最高ですね」

黒沢「前回は声優の仕事から準備期間なしで舞台に入っちゃったから、自分自身のリハビリに充てる時間がすごく長かったんです。今回は吉田鋼太郎さんとのお芝居(『あかつきの湧昇流』)で素敵な経験をさせてもらったばかりで、なるべく期間を空けずに稽古に入りたくてしょうがない。いろいろなものに刺激を受けている状態でもあるので、すごく幸せなタイミングだなって思ってます。この感じで稽古に入ったら、前よりたくさん元吉さんとお喋りできる気もして……前回はあんまり話をしなかったんですよね。“さあ、勝手に苦しみたまえ”みたいな感じで(笑)」

元吉「あははは!(笑) 今回はしっかり共有していきましょう」

黒沢「ですね(笑)。新しい楽しみ方ができたらいいなと思います」

(取材・文&撮影:西本 勲)

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PROFILE

元吉庸泰(もとよし・つねやす)のプロフィール画像

● 元吉庸泰(もとよし・つねやす)
明治大学経済学部を2006年に卒業後、演劇ユニットとしてエムキチビートを旗揚げ。劇団公演から商業演劇まで幅広い作品を演出。近年の主な演出作は『終わりのセラフThe musical』、『I LOVE MUSICAL』、『ミュージカル魔界王子 devils and realist』、『錆色のアーマ』、『ぼくの友達』など。鴻上尚史の演出助手として虚構の劇団に所属するほか、河原雅彦、鈴木裕美、小川絵梨子、藤田俊太郎など第一線で活躍する演出家の演出助手も務める。2019年には7本の演出作品が控えている。

黒沢ともよ(くろさわ・ともよ)のプロフィール画像

● 黒沢ともよ(くろさわ・ともよ)
1996年4月10日生まれ、埼玉県出身。
3歳から演技を始め、NHK大河ドラマ『葵 徳川三代』、舞台『奇跡の人』、『新・美空ひばり物語』、ミュージカル『モーツァルト!』などに出演。2010年に劇場アニメ『宇宙ショーへようこそ』で声優デビューし、アニメ『響け!ユーフォニアム』、『宝石の国』でも主演を務める。第12回声優アワード主演女優賞受賞。9月には吉田鋼太郎率いる劇団AUN『あかつきの湧昇流』で弥之助役を演じた。11月は朗読劇『神楽坂怪奇譚「棲」』再々演に参加(黒沢の出演は11/20)。

公演情報

「音劇 vol.2『世界の終わりに君を乞う。』」のチラシ画像

エムキチビート produce
音劇 vol.2『世界の終わりに君を乞う。』


2018年12月1日 (土) 〜2018年12月9日 (日)
博品館劇場
HP:公演ホームページ

14名限定!7,500円(全席指定・税込) → 【指定席引換券】6,400円さらに200Pゲット!

詳細はこちら

「音劇 vol.2『世界の終わりに君を乞う。』」のチラシ画像

エムキチビート produce
音劇 vol.2『世界の終わりに君を乞う。』


2018年12月1日 (土) 〜2018年12月9日 (日)
博品館劇場
HP:公演ホームページ

全席指定:7,500円(税込)

詳細はこちら