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青蛾館


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ラストシーンの全く異なる2つの『毛皮のマリー』を同時上映!

「これは寺山修司の究極の演技論であり、劇場論である」

 寺山修司の“初期一幕物の美学”“見世物の復権”を舞台に再現すべく1984年に結成。座付き花形女形・のぐち和美を中心に、「妖」「艶」「美」の世界観を元に、寺山ファンのみならず多くの観客を魅了してきた青蛾館が創立35周年記念公演をおこなう。寺山没後35年にもあたる節目に選んだのは、代表作『毛皮のマリー』。5年ぶりの再演ではオリジナル版に加えて、エンディングの異なる「未公開版」を同時上映する。
 寺山作品の継承者であるのぐちが「次世代へ渡すバトンとしたい」と語り、中村中、砂原健佑、安川純平ら、若き才能と共に贈る渾身の8日間。是非、劇場で目撃したい。


インタビュー写真

毛皮のマリーは寺山修司と母・はつのお話

――― 35周年に『毛皮のマリー』を選んだ理由とは?

のぐち「この15年は新進気鋭の演出家さんや俳優さんをお迎えして、プロデュース公演を中心に活動を続けてきました。35年間に渡り、寺山作品を意地でも遺していきたいという思いで取り組んできましたが、継続する上で、もっと力を蓄えて、何かのコピーでない、新しい切り口で創作することは出来ないかと考えてきました。昨年は始めて、未就学児童の方を対象にして、寺山さんが子供の為に書いたミュージカル『宝島』を上演させて頂いたら、これが非常に評判が良くて楽しんで頂けたんですね。
そういったものを踏まえて、この記念すべき節目に何をすべきか?と考えたところ、やはり寺山作品の原点である『毛皮のマリー』ではないかと。この作品は寺山修司さんと実母である、はつさんのお話なんですね。マリーを演じる俳優で、実際にはつさんと面識があるのは、美輪明宏さんと私ぐらいではないでしょうか。
 これまで20代から40代にかけてマリーを4回やらせてもらいましたが、ちょうど今の私が、作品が出来た1968年当時のはつさんの実年齢ぐらいで、不思議な縁を感じます。なので、今回はマリーを演じるよりも、はつさんを演じられたらなと思っています」

「未公開版」は本邦初公開

――― 今回はオリジナル版と未発表版の2つを同時上演します。

のぐち「私、実はこの未発表版を知らなかったんです。マリーをやろうと決めたときに、前回、演出をされた寺山偏陸さんに再度お願いしたところ、2つ返事で『是非やりたい』と仰って頂けて。続けて、『マリーに未公開版があるよ』と教えられたんです。何ですか?と聞いたところ、美輪明宏さんの出演しないラ・ママ劇場での海外公演のために書き下ろされたもので、ラストシーンを変えたものだったんですね。だけどオリジナル版があまりにも文学的に美しいので、やはり海外でもオリジナル版を上映したいとなって、お蔵入りになったものだそうです。今回初めて世に出るとても貴重なものです」


インタビュー写真

プロデューサーとしての第1歩は成功

――― 中村中さんを始め、才能溢れる若手キャストを組みました。

のぐち「未発表版を渡されたときに、ラストシーンが違うがゆえに、演出の偏陸さんから『のぐち君ぐらい、存在感のある方を用意してください』というお願いがあったんですね。読ませて頂いたら、なるほど!というラストシーンでした。中村中さんの舞台は何度か拝見していて、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(17年10月・東急シアターオーブ他)を観たときに、もう素晴らしくて。アーティストなので、当然歌声は言うまでもないですが、何か人を魅惑するものが中さんにはあって、もう絶対に口説き落としたいという思いが芽生えました。
 実は最初、未来に構想している別の作品で主演にお迎えしたなと思っていましたが、その作品が今回の毛皮のマリーの未公開版のラストにつながる要素があって、だとすれば、この作品の中さんを是が非でも見てみたいと。でも3月にコンサートも控えているので、オファーした時はドキドキでした。お返事を頂いた時は『勝った!』と思いましたね(笑)。これでプロデューサーとしての第1歩は成功です。それにきっと寺山修司さんが見たいと思うものになる気がするんですよね」

中村「今、すごい先の話からされましたね(一同笑)。もう、いきなり肩の荷が重いです。今日の取材は気楽に来ていいよと言われたのに、嘘ばっかり(笑)。
 私はあまり寺山修司作品には詳しくなくて。『毛皮のマリー』は、寺山さんが美輪明宏さんを主演に作られた戯曲で、以来美輪さんによって上演され続けている事は知っています。のぐちさんが青蛾館立ち上げからの35年間でわずか4回しか上演されていないこととかを考えると、なんというか、性的少数派の人間で、尚且つ板の上に立つ仕事をする者にとってはバイブル的なというか、特別視せざるを得ない作品だと思います。のぐちさんとも多くを語らずとも分かり合えるシンパシーみたいなものがあると思っていて、それが信頼というものであったら嬉しいですし、気負わずに私にできることをしようと思います」


インタビュー写真

紋白は欣也自身でもある

――― それぞれの役どころについては。

中村「オリジナル版と未公開版両方を読んだら、一番ひっかかった部分が変わっていました。育ての親である男娼マリーと共に暮らす美少年の欣也が『現実』を見るか、『夢』に生きるかの判断をする物語だと思っていて、その選択が変わり、ラストの印象も意味もガラリと変わっていると私は読みました。
私が演じる謎の美少女、紋白はその欣也を導いているように見えるけども、紋白は欣也のもうひとつの顔なのかなとも感じています。台本を読んでいると寺山さんの幼い頃を思うというか、青森の極寒の地で田園風景に囲まれて、どこにでも行けそうなのに、果てしなすぎて閉塞感を感じていたのではないか?と思うんです。故に愉快なものや、夢の世界を愛したのかと。そう思うと、紋白は道化というかね、面白おかしく欣也を翻弄できたらと思っています」

砂原「蜷川幸雄さんが主催する若手演劇集団『さいたまネクスト・シアター』に所属していた時期があって、そこでお芝居の訓練をつけてもらっていたときから、毛皮のマリーへの憧れがありました。エチュード(即興劇)の候補にあった好きな戯曲だったので、のぐちさんから声をかけてもらったときは本当に嬉しかったですし、欣也はずっとやりたかった役です。演劇を始めたのも、井上ひさしさんの影響が大きくて、文学的な作品には目を通すようにしていました。文学史に残る作品を演じられるようになって今は楽しみでしかたがありません。
 僕の出る未公開版は今は自分のやりたいことに専念していますが、自分の思う方向にいけなかった時期もありました。親の意向もあり、中学受験で大学までの一貫校に進学したのですが、高校時代に音楽に目覚めて色んな夢が出てきました。でも先生や親からは絶対に大学は出て欲しいと言われて、自分の気持ちにふたをして進学したのですが、そういう束縛される部分が繋がっているかなと。だから欣也の抑圧された欲や本能みたいなものが現れたのが、紋白ではないかとも考えています。そういった想像も含めて稽古場ですり合わせていったら楽しいですよね」

安川「お三方が全て話して頂いたので、もう何も語る余地がないような気がしますが……(笑)。約2年前に『中国の不思議な役人』に出させて頂いたときに稽古場で、のぐちさんに会うと“欣也”って呼ばれていました。その時は全く理解しなかったんですが、よくよく聞いたら、『毛皮のマリー』の美少年という役だと伺って。それで今回オファーいただいた時に、恐縮ですが本を一切読んでいないのに『やります』と(笑)。その2〜3日後にお世話になっている女優の宮下今日子さんから連絡があって、『もうやると言ったんだからね』と意味深な言葉を投げかけられて……。そういう始まりでしたが、今日、皆さんのお話を聞いてちゃんと責任を持って頑張らないといけないなという気持ちになりました」

中村「え? 今?(笑)」

安川「もっとラフな取材だと思っていましたが、もっとギアを上げていかないとなと……」

のぐち「でも宮下さんは私が欣也と呼んでいたら、すぐ分かって『ああなるほどね。分かるわ』と言っていましたよ。安川さんに出てもらった『中国の不思議な役人』では“麦”という主人公だったのですが、私が別の寺山作品を融合して欲しいと脚本に手を加えたばかりに、麦の影が薄くなってしまったんです。そのお詫びもあり、『欣也、欣也』と呼んでいた責任もあり(笑)、もう1回安川さんの印象をきっちり舞台に残しておきたいと思ったので、今回お願いしました。もう欣也については、安川さん、砂原さんお二人しか頭になかったです」

安川「年齢的にも“欣也”という役はおそらく今しかできない役で、自分がやってきたものを全てぶつけて、周りの役者さんに食らいついていくという気持ちが強いです。前回の『中国の〜』もそうでしたが、周りの役者さんが素晴らしい方々だったので、自分が出来る事を、これからの稽古を通してやっていくのが課題であり、目標ですね。青蛾館さんは座組みが一体になるという印象が強くて、先輩の役者さんたちが小道具を一緒になって作る姿など、稽古だけじゃなく一緒に過ごした時間があるから1つになれる感覚があります」


インタビュー写真

平成という時代の終りも表現したかった

――― 同時上演ならではの見所も多くなりそうですね。

のぐち「オリジナル版の紋白はタレント・ドラァグクイーンの日出郎さんが演じます。原作にある通り、最後は欣也に殺されるわけですが、日出郎さんを抜擢したのは、平成のバブル時代に活躍したオカマさんが平成とともに終わるという意図も入れたかったんですね。年齢と重ねボロボロになりながらも笑顔で平成のバブルの事を語って活動を続ける姿を、平成の終幕という形で表したかったんです」

中村「そうなんだ! メッセージに込めた意味がすごい! まさに寺山さんが書いている“芝居と人生は表裏一体”ですね。キャスティングに込めた意味が…怖い。どんどん肩の荷が重く…」

のぐち「中さんには、マリー役の未来のバトンを渡していけるのではないかと(笑)」

中村「未公開版を観た方が、よりオリジナル版が面白く観られるというか。なぜ、寺山さんは書き変えをしたのか。なぜ、紋白は殺されたのか。未発表版には、その手がかりがたくさんあるし、より深く『毛皮のマリー』のことを愛せると思います。あとは、今、この時代の変わり目に、この作品をやることがどういう意味を持つかを考えています。『人はどういう生き方をしたっていいじゃないか』というメッセージも込められている作品だと思っていますが、自由を求め閉塞的な田舎から開放的な都会に出てきたはずが、都会は都会でまた違った閉塞感を感じる現代です。多様な生き方や価値観が認められていないのだなと思わされる出来事も、未だにありますからね。その辺も含めて、この時期に上演する意味は大きいのではないかと思いますね」

――― 最後にのぐちさんから読者の方へメッセージをお願いします。

のぐち「この35年やってきて、支えてくれた方々が沢山いるわけじゃないですか。単純にその人達の恥になりたくない一心でやってきました。今回のマリーに関しては、寺山さんに一番近いところにいると言われる偏陸さんが演出をします。ト書きも含めて美しい作品ですが、偏陸さんも私も年齢的にもご一緒できる最後のマリーになるかもしれないので、そういう意味では、一番戯曲に近いオーソドックスなマリーができる気がします。全ての役者さんたちが能力をいかんなく発揮して、毛皮のマリーという作品に出てくる全ての登場人物が生き生きと舞台の上に描かれる作品になりそうです。
 キャストの配役にも誰をどう配置するか考え抜きました。自分が信頼できる人達にどうバトンを渡すことで私の終り際を美しく飾ることができるかをそろそろ考える時期なのかと思っています。のぐち和美が美輪明宏さんのようになれなくても、いち演劇人として寺山作品をやってきた35年を無駄にしないためにもうまくバトンを渡したいですね」


(取材・文&撮影:小笠原大介)

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PROFILE

のぐち和美(のぐち/かずみ) のプロフィール画像

● のぐち和美(のぐち/かずみ)
寺山修司を敬愛し、桐朋学園短期大学部演劇科を卒業後、『青蛾館』を旗揚げ。 岸田理生との共同作品を通して、“異能の女形”野口和彦としての独自のスタイルを確立する。 また、蜷川幸雄の晩年の作品にも多数出演し存在感を発揮する。近年では、のぐち和美で女優としても活躍。近年の出演作品に、『皆既食』(2014)、『ハムレット』(2015)などの蜷川幸雄演出作品に参加。『中国の不思議な役人』(2017/演出 松村武)、『宝島』(2018/演出 スズキ拓朗)、『レディ・オルガの人生』(2018/演出 川村毅)など。

中村 中(なかむら・あたる)のプロフィール画像

● 中村 中(なかむら・あたる)
1985年6月28日生まれ東京都出身。2006年、6月28日、21歳の誕生日にavextraxからシングル「汚れた下着」でメジャー・デビュー。2006年からは、女優としてドラマや舞台でも活動。主な舞台に『ベター・ハーフ』(2015/2017)。ロック・ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(2007/2017)- イツァーク 役など。

砂原健佑(すなはら・けんすけ)のプロフィール画像

● 砂原健佑(すなはら・けんすけ)
1990年9月14日生まれ。京都府出身。蜷川幸雄主宰さいたまネクストシアターに3年半在籍後、劇団番町ボーイズ☆に加入。主な舞台出演作に『カリギュラ』『ハムレット』『露出狂』『破壊ランナー』など。映画『帝一の國』、ドラマ『東京ヴァンパイアホテル』『御茶ノ水ロック』ARASHI役など多数の作品に出演。

安川純平(やすかわ・じゅんぺい)のプロフィール画像

● 安川純平(やすかわ・じゅんぺい)
1992年11月11日生まれ。ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン(2012〜2014年)丸井ブン太役で脚光を浴び、舞台を中心に映画・テレビドラマ・モデルと幅広く活躍中。主な出演作に舞台『戦国無双』関ヶ原の章(2015)、ミュージカル『Dance with Devils〜fermata〜』(2018)棗坂シキ役など。

公演情報

「『毛皮のマリー』」のチラシ画像

寺山修司没後35年/青蛾館創立35年記念公演
『毛皮のマリー』


2019年3月14日 (木) 〜2019年3月21日 (木・祝)
東京芸術劇場 シアターウエスト
HP:公演ホームページ

一般:5,500円
シニア(65歳以上):4,500円
U22(22歳以下):3,500円
(全席指定・税込)

[平日マチネ割]※3月19日(火)、20日(水)14時の回
一般:5,000円
シニア(65歳以上):4,000円
U22(22歳以下):3,000円
(全席指定・税込)

※公演日時によって、内容が異なります。ご購入の際はご注意下さい。

詳細はこちら

「『毛皮のマリー』」のチラシ画像

寺山修司没後35年/青蛾館創立35年記念公演
『毛皮のマリー』


2019年3月14日 (木) 〜2019年3月21日 (木・祝)
東京芸術劇場 シアターウエスト
HP:公演ホームページ

20名限定!一般5,500円 → 4,750円 さらに300Pゲット!(3/7 19時05分更新)

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