80〜00年代J-POPにのせてダンスや芝居を見せるパフォーマンスグループ・おしゃれ紳士と、2700のツネほか吉本の芸人・俳優がコラボレートして作る舞台が、3月、神保町花月で幕を開ける。おしゃれ紳士から伊東祐輔、池田遼、木村和広、吉本からツネ、あしなしゅうすけ、松下シュート、遊佐亮介の計7名が集まり、今作への思いを語ってくれた。
――― まずは、現時点での意気込みなどをお聞かせ下さい。
伊東「吉本の皆さんとコラボレーションするのが初めてなので、思いっきり稽古場から遊び倒して、チーム感が出たらいいなと思います。お笑いに長け、体もキレる素敵なメンバーが揃ってくださったので、このメンバーだからこそ生まれる新しい面白さみたいなものを見せたいですね」
ツネ「しっかりダンスができる作品ということで、ダンス好きな僕としては、これ完全に出るべきだなと思ってますんで。そのダンスの中に細かく、怒られないようにこっそり肘を入れていこうと思います」
遊佐「いや、絶対ばれるでしょ!(笑) 僕は吉本側で唯一の俳優なので、芝居もちょっと頑張っていきたいですし、体重も最高だと思うので、3月の公演までに絞りつつ残しつつ。僕、100キロが一番体がよく動くんで、本番は100キロで臨めるように調整して、うまい割合で稽古に挑んでいけたらなと思っています。すごく楽しみです」
池田「おしゃれ紳士は今までも色々な方とコラボレーションさせていただきましたが、また新しい化学反応になると思いますので、おしゃれ紳士色を絞りつつ残しつつ……」
遊佐「そこは絞らなくていいです(笑)」
池田「(笑)。新しい色に発色していけたらなと思ってます」
松下「僕は、東京都リーグの現役社会人サッカー選手としても活動してて、体力には自信があるので、今までの舞台もかなり激しく動く役が多かったんです。今回起用してもらえたのもそういうことかなって。あと、あしなさんもそうなんですけど、がっつりちゃんとダンス踊っていい感じになったのに、吉本坂46最終予選で落ちたので、今回もしっかり踊りきって、偉い人たちを後悔させたいです!」
あしな「僕は大学1年からダンスやり始めて、10年間毎日踊ってる変な奴なんです。とにかくダンスが好きすぎて、ダンスの舞台には12月・1月・2月も立たせてもらってます。今、吉本に6年間いる中で、明らかに芸人の仕事よりダンスの仕事のほうが多くて、もはや吉本所属のダンサー(笑)。なので、そこをしっかり見せてお客様を楽しませたいなと思います」
木村「ただ、皆さんダンスダンスおっしゃってくださってますけど、僕らはダンスできる派の人間だけじゃないんで。動ける人はダンスを、それ以外は芝居とか小ネタとか顔で頑張れば大丈夫です」
――― おしゃれ紳士の舞台をまだ観たことがない方もいらっしゃると思うのですが、ダンスとも演劇とも決められない、とてもオリジナルなものですよね。
伊東「基本、ベースになるお芝居的なネタと、ちょっと不思議な動きが含まれたダンス、1分ぐらいで終わるような小ネタのオムニバスで構成されてます。その関係性をお客様が探ってくだされば、こことここは繋がってるのかな?とかいう楽しみ方もできますけど、もっと単純に、テレビ見るくらいの感じで気軽にだらっと観てもらって全然大丈夫。ただ、僕らは全力ですけどね。お客様にいかに汗を飛ばすかっていう」
ツネ「それ、めちゃくちゃいい!」
伊東「上半身裸にネクタイと帽子っていう衣装で、汗を吸収するものがほぼないから、激しい動きをしていると、照明の効果もあって、本当に汗が飛び散ってるのがよく見えるんですよ。だから、いかにその熱量、汗を客席の奥まで届けられるかっていうのが勝負で」
あしな「遊佐、得意だよね?」
遊佐「得意ですけど、大丈夫ですか? デブの清らかな汗(笑)」
松下「でも確かに、今まで観たことがないタイプの舞台だったんで、ただただ楽しみですね。もしかしたら自分の能力が全くマッチしないんじゃないかって心配もちょっとありつつ、楽しみの方が大きいです」
伊東「サッカーボールがあったらいいですかね」
松下「そうですね、ずっとリフティングとかならできます」
あしなし「いよいよダンスじゃない感じですよね?」
池田「だから、僕らのパフォーマンスを言葉にするなら……“運動”ですかね」
あしな「“団体行動”みたいな。確かに今までやったことないから、動いてみたら全然違うのかもしれないですね」
伊東「今までコラボしてきた中で言うと、ダンスやってる人間ほど最初に苦戦してますね。ダンスのセオリーとは違う動きが普通に入っているから、何でそこでそうやって動くの?みたいな」
あしな「なるほど。それはそれで楽しみです」
伊東「実際にお芝居とダンスと小ネタのボリューム、バランスをどうするかっていうのは、稽古をやりながら、皆さんが一番輝くように構成したいと思ってます」
――― 吉本さんとのコラボなので、笑いの要素が増えるようなこともあるのでしょうか?
伊東「元々やってる小ネタ的なものも、言ってみれば曲の歌詞を使ったコントだったり、簡単なオチネタみたいな感じなので、そこは最初から親和性がある。なので、変にそこをボリューミーにする必要はないかなと思ってます。もちろん肘とかは入れていきたいんですけど」
ツネ「ありがとうございます!」
伊東「おしゃれ紳士は自由な発想でやってますので、吉本の皆さんにも、ラフな感じで、肩肘張らずに……って、肘を張る人はいますけど(笑)、つきあっていただけたらなと思いますね。〈下は脱がない〉くらいしか縛りはないんで、飲みとか飯食いに行ったりして、そういうところもあるんだ? とりあえずやってみよう、みたいな感じで、気軽にアイデアとか出していただきたいです」
――― いい意味で「神保町花月らしくない」作品、期待してます!
遊佐「稽古に入る前に、何か準備は必要ですか?」
伊東「絶対必要なのは帽子・ネクタイ・ズボンの替え。1着だと2〜3日でダメになります。さっきも話しましたけど、上半身裸にネクタイなので、もう本当にビショビショになるんですよ。ネクタイの先から汗が滴り落ちるくらいに」
吉本4名「うわー」
ツネ「今、髪がピンクなんですけど、これ汗もピンクになるんですよ。なので、ピンクの汗を振りまきたいと思います。皆さん、浴びに来て下さい(笑)」
松下「僕、平成元年生まれで、多分これが平成最後の舞台だと思うんですけど、こういう新しくてやったことないもので平成を終われるのが楽しみ。普段、∞ホールとかルミネtheよしもとに来るようなお笑いファンの人も、ぜひ気軽に来て欲しいです」
池田「分かりやすい演劇が多い中、お客様のイメージを誘発できる、“想像力に富んだ分かりやすさ”でお迎えしたいと思ってます」
伊東「神保町花月の新しい可能性を示して、爪痕を残せたらと思います。ご来場お待ちしています」
木村「楽しい稽古してると楽しいものができて、そうするとそれがそのままお客様に楽しく伝わるんですよね。いろんな曲、小ネタがボンボン出てきて、チャンネルがガチャガチャ変わる瞬間を見ていただくと、最後、帰る瞬間に、これ楽しかったな、あの人のこれ輝いてたな、みたいなことが確実に起こるんです。それを、一緒に観に来た友達とお酒の席で喋って欲しいんですよ。そうすると、会場を出た後、帰ってる瞬間までが楽しいじゃないですか。そういう遠足のような作品、皆で作りましょう!」
木村以外「はい!」
(取材・文:土屋美緒 撮影:佐藤雄哉)