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松村雄基・原田大二郎・野伏 翔


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2つの祖国の間で揺れ動いた人間たちのドラマを豪華キャストで届ける

戦後アメリカのマフィアに日系人がいた……その半生を描くハードボイルド劇

 主宰の野伏 翔を中心に強靭な人間ドラマを描き続ける劇団夜想会が、新作『祖国への挽歌〜日系マフィア ジョーの伝説〜』を上演する。第二次大戦後のアメリカでマフィアの幹部となった日系二世、モンタナ・ジョーの半生をドラマチックに綴る本作では、夜想会初参加となる松村雄基がジョー役を、そして夜想会の諸作品で重要な役柄を務めてきた原田大二郎がNYマフィアのボスを演じる。日本とアメリカという2つの祖国の間で揺れ動いた日系移民たちと、その中でアナーキーに生きようとしたジョーの姿から見えてくるものとは……。夜想会の本拠地で稽古場でもある夜想会スタジオで話を聞いた。


インタビュー写真

誰にも束縛されない自由を求めて生きたモンタナ・ジョー

――― 野伏さんはモンタナ・ジョーのどんなところに興味を持ったのですか?


野伏「まず、マフィアに日系人がいたなんて想像もしていなかったのでびっくりしました。そして、反社会勢力ではあるんだけど、戦後のアメリカであんなふうに戦っていた人がいたんだなって。それに、ジョーと同じ日系二世としてアメリカ陸軍の442部隊で戦ったダニエル・イノウエさんという人が戦後は合衆国で3番目に高いポストまで登りつめたのに対して、ジョーはマフィアの幹部。そんな、人間の運命の分岐点みたいなものにも興味を惹かれました」

――― それでいろいろ調べていったのですね。

野伏「本やドキュメンタリー映画を観たりしましたが、描かれていることが点でしかなくて、なかなかドラマにしにくい。そこで、事実と多少の人間関係を残しながら、ジョーの行動の理由となった心情の部分を自分なりに作っていったのが今回の作品です」

――― モンタナ・ジョー役に松村雄基さんを起用した狙いは?

野伏「男の一生を描く物語なので、まず20代から70代まで全部ができる人。そして、マフィアのトップに相応しい暴力的な雰囲気と、内面的な心の傷の両方を演じられる人はなかなかいらっしゃらないなと思って。全くの初対面でしたが、松村さんにお願いしました」

松村「とても面白くてドラマチックで、ぜひやりたいと思いました。台本を読んでいくうちに、ジョーという人間がどんどん魅力的に思えてきて、今はこういう役をやれるのが幸せだなと思いながらやっています」

――― 戦中〜戦後のアメリカで、日系二世という複雑な立場で生きた人でもあります。

松村「戦時下で、人間同士が殺し合う中で生きてきた人の気持ちというのは、戦争を知らない自分にとって、どんなに頑張っても想像するのは難しいです。ただ、台本から感じるのは、彼が戦ったのは自由を得たかったからじゃないかと。誰にも束縛されない自由を求めて、いろんな悲しみや辛さを背負いながらも、それに抗って夢を追い求めたジョーがカッコ良く思えました」

――― 人間的魅力に溢れた人物なのですね。

松村「人は一人で生まれてきて一人で死ぬんだという思いがあるのと同時に、決して一人では生きていけないという、その両方の矛盾した思いを抱えて生きていくのが人生だと僕は思うんです。ジョーはまさにその矛盾と戦って生きてきた。それに加えて、自分のアイデンティティがアメリカなのか日本なのかを問われることもあり、さらに、人を殺さなきゃならない、でも殺してはいけないという……そんないろいろな葛藤の中で自分の信じたことを突き進んでいくのが人生なんだということを、僕に伝えてくれているような気がして、そこにとても惹かれました」


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自分のアイデンティティを求める姿は、今の日本にも通じるテーマ

――― 原田さんは第二幕の戦後の場面に、NYマフィアのボス、カルロス・ガンビーノ役で登場します。

原田「短いシーンの下に隠された、膨大なマフィアの歴史を背負う役回りです。実際はとても人当たりが良かったらしいですね。それで、誰かに文句を言われるとニコニコしながら聞いていて、何日かするとその人の死体が上がってくるみたいな。見えない部分をいろいろ想像して暴いていく楽しみのようなものは、僕ら芝居者に許されたわがままだと思いますね」

野伏「原田さんは、『幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門』(1989年初演)以来、いろんな作品をやってもらっていて、近年は『めぐみへの誓い―奪還―』で一緒に全国を回っています。『めぐみ』では横田滋さん役をやってもらっていて、繊細で愛情深いところを出してもらっていますが、そうではない一面も知っているつもりなので(笑)、今回はちょっと怖い面を出していただきたいと思っています」

――― 原田さんと松村さんは、これまで共演されたことは?

原田「今回が初めてです。まだ松村くんが若いときに一度お会いしているんですけど、そうとうワンパクというか、やんちゃだったよね」

松村「そうですね、役柄が(笑)。原田さんはいつもニコニコしてらっしゃって、みんなを包み込むような優しさがあると思うので、今回の役柄はより想像が膨らみますね。楽しみです」

――― 野伏さんの演出について、原田さんから見た印象は?

原田「非常に洞察力があって、決断がとても早いので、作品が深くなるんです。だから大好きだし、全幅の信頼を置いています。最近は社会や政治に対して発言することも増えていて、ちょっと心配になるくらいだけど……」

野伏「『めぐみ』のような作品をやっていると、いろんなことがじれったくなってくるんですよ」

原田「そうすると変なレッテルを貼られてしまって、何かを表現する上では邪魔になる気がするんだけど、翔ちゃんは覚悟しているから」

野伏「ジョーはアメリカという多民族国家の中で、自分のアイデンティティを探し求めながら生きていた。それは、今後ますます移民国家になっていく日本にも通底するテーマだと思っています。もちろん、作品は理屈っぽくなっちゃうとつまらないから、しっかりエンターテイメントにするつもりです」


インタビュー写真

ハードボイルドでカッコいい娯楽作品として楽しんでほしい

――― 松村さんは、夜想会の現場に参加してみていかがですか?

松村「とにかく熱いですね。翔さんは常にニコニコして、もう1回やろうか、はい違うよ、そこはこうなんだって、先ほど原田さんがおっしゃったみたいに的確でピンポイントなダメ出しをしてくださるので、みんなの心に響くんです。そうするとみんなハッとして、すごく生き生きとした顔になる。だから一緒にいて楽しい現場ですね。もちろん厳しさもあって、ダメなところは何回でもやるし、芝居なんだけど本気だっていうところを翔さんは常におっしゃっている。気持ちいいですけど、タフな稽古場です(笑)」

原田「その通りですね。今僕らがいるこのスタジオで、この5倍くらいの間口の芝居を稽古するわけですが、実際の劇場に行っても全然驚かないくらい、空間の広さに不満を感じないんです。そのあたりが野伏マジックですね(笑)。若い役者には、客席の一番後ろに声を通すつもりにならなきゃダメだよって話をよくするんですけど、それはただ声を大きくするということじゃないというのが、この空間だとよくわかる。遠くに声を届けることを鍛えやすい稽古場で、僕はほんとに好きなんです」

――― 公演を楽しみにしている方に向けて、最後に一言ずつお願いします。

野伏「理屈は後で考えてもらえばいいので(笑)、娯楽作品として楽しんでいただければと思います。新劇にも商業演劇にもない、演劇には珍しいカッコいいハードボイルドなお芝居です」

原田「自分の役に関しては、もっともっと究明していかなきゃいけないことがあって難しいですけど、とにかく頑張って面白い作品にしていきたいと思います。これから稽古を経ていろいろ変わっていくだろうし、そこがとても楽しみです。この楽しみが、お客様の楽しみになってくれたら満足ですね」

松村「先ほども言いましたけど、人は一人では生きていけないんですね。そして、自分は何のために生きてるんだと問うとき、僕が二十歳の頃に出たドラマで、それにストレートに答えている台詞があって、今でも心に残っているんです。それは、自分の大切なものを守るためなんだと。
 自分自身、家族、友達、その他何でも、愛するものを守るために生きていて、そう思えるといろんなことを頑張れる。本当にそうだなと思いながら今に至っているんですけど、この作品もまた、愛とはいったい何だろうということが問われていると思うし、ジョーは最後の最後にそれを見つけたんじゃないかと思います。台本を読んで現場でグッときたことを何倍にもしてお客さんに感じてもらえるように頑張りますので、ぜひご覧いただきたいですね」


(取材・文&撮影:西本 勲)


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PROFILE

野伏 翔(のぶし・しょう)のプロフィール画像

● 野伏 翔(のぶし・しょう)
演出家/映画監督。獨協大学外国語学部英語学科卒、文学座演劇研究所卒。1982年に夜想会を設立し、『リア王』『俺は君のためにこそ死ににいく』など、多数の公演を行う。外部作品でも、舞台『セーラームーン』『天国からきたチャンピオン』、映画『MUSASHI』『ガッツ伝説』など多数で演出/監督を手がける。2016年からは拉致問題啓発劇『めぐみへの誓い―奪還―』を全国で上演するとともに書籍化も実現。現在は映画化プロフェクトが進行中。

松村雄基(まつむら・ゆうき)のプロフィール画像

● 松村雄基(まつむら・ゆうき)
1963年生まれ。高校在学中の1980年、ドラマ『生徒諸君』主役でデビュー。『スクール☆ウォーズ〜泣き虫先生の7年戦争』(1984年)を筆頭に大映ドラマの黄金期を支え、以降も多くのドラマ/映画に出演。30代からは舞台にも出演し、『狐狸狐狸ばなし』『女たちの忠臣蔵』『華々しき一族』『大川わたり』など代表作多数。書家、剣舞家としても活躍し、第17回東京書作展では内閣総理大臣賞を受賞。

原田大二郎(はらだ・だいじろう)のプロフィール画像

● 原田大二郎(はらだ・だいじろう)
1944年生まれ。明治大学法学部卒業後、1967年に文学座に入座。1970年、映画『裸の十九歳』で主役デビュー。ドラマ『Gメン'75』、映画『蒲田行進曲』など出演作多数。夜想会公演は『幻に心もそぞろ狂おしのわれら将門』将門役、『ジュリアス・シーザー』シーザー役、『三人姉妹』ヴェルシーニン役などを務める。2014〜2019年、政府拉致対策本部主催『めぐみへの誓い―奪還―』(上演:劇団夜想会 演出:野伏 翔)では横田滋役にて、全国各地の公演に出演中。

公演情報

「祖国への挽歌 〜日系マフィア・ジョーの伝説〜」のチラシ画像

劇団夜想会 本公演
祖国への挽歌 〜日系マフィア・ジョーの伝説〜


2019年6月4日 (火) 〜2019年6月9日 (日)
俳優座劇場
HP:公演ホームページ

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