10年に渡って絶大な支持を受けてきた、ガールズ演劇界の名作『Alice in Deadly School』が、初めて男性キャストで上演されることに。突然蘇った死体によって、屋上へと追いつめられた男子高生たちは、どう恐怖を乗り越えるのか? そして無事に脱出できるのか!? メインキャラクターを演じる土井裕斗、斎藤直紀、田中彪、佐藤友咲に意気込みを聞いた。
お笑いコンビ、野球部、新聞部、様々なキャラクターが登場
――― 今回の作品はガールズ演劇で愛されてきた『Alice in deadly school』の、初の男性キャストバージョンということですが、まずはストーリーの概要を教えていただけますか?
土井「ストーリーはこれまで公演されてきたガールズバージョンと同じで、高校の夏休みのある登校日に、突如死体が蘇り、人々を襲い始めるというもの。僕は墨尾優という高校生で、斎藤君演じる百村信と、ノビューンというお笑いコンビを結成していて、屋上で練習していたところにたくさんの生徒たちが死体から逃げてきて、一緒に屋上に閉じこもることになる。そこで不安でいっぱいのみんなを、僕らは笑いで何とか和ませようとするのですが……」
斎藤「僕が演じる百村は、お笑いを愛していて、笑いをマジメに理詰めで突き詰めようとするタイプ。一方の土井君演じる墨尾優は、ちょっと抜けていて、アドリブでボケていく天才肌。コンビではあるけど、そんな優に負けたくなくて、ボケを華麗に処理していく。そこは一つの見どころかな、と思っています」
田中「僕が演じる紅島弓矢は、元野球部のエースなんだけど、諸事情で退部した、という過去のある高校3年生です。パッと見は不良っぽいんですけど、“ヤンキーあるある”で、中身は意外と優しい。仲間思いで、屋上に逃げ込んできた人たちをリーダーとしてまとめていく、という役どころです。僕自身、14年間野球をやっていて、プチ不良みたいなタイプだったので、素で演じられるかなと思っています(笑)」
佐藤「僕は堂本千十一という新聞部員役なんですが、一人だけみんなとは違う学校の生徒なんです。たまたま取材で訪れていたところ、事件に巻き込まれてしまう。堂本はマジメでアイドル好きで、パソコンを肌身離さず持っている、というキャラクターなんですけど、僕はアイドル好きでパソコンは苦手。あと、堂本は自分もアイドルになりたいんだけど内気で行動できない。でも僕は、こうやって俳優にもなっています。だから、180度じゃなくて90度違う役ですね(笑)。
その堂本は、違う学校の生徒だけあって、文化が違うので、屋上の世界に化学変化を起こしていく……そこを楽しんでいただきたいと思います!」
女性キャスト版同様、10年続く舞台にしたい
――― この作品が男性キャストで演じられるのは初ですが、プレッシャーなどはありますか?
土井「あんまり不安はなくて。それよりも、この作品の出演オファーをいただいたのが4月1日だったんですよ。だから、初の男性キャスト版とかエイプリルフールかな?と、そっちの不安のほうがありました。でもどうやら本当に上演されるらしいと分かって、安心しましたね(笑)」
田中「僕は2年前に、女性キャストの舞台を観に行ったんですよ。それがものすごく面白かったので、男性キャストバージョンができると聞いて“絶対面白いものになる!”というのが一番に思ったことでした。それで、もし自分が演じるなら紅島だな〜と思っていたら、本当にオファーをいただいて。“さすが、プロデューサーは分かってる!”と思いました!(笑)」
佐藤「女性キャスト版は、10年という長い期間、積み上げてきたものがあるので、中途半端な真似はできない、超えていかなければ!という思いはあります。ちょうど元号も令和に切り替わりますし、男性キャスト版も初。いろいろ“始まり”なので、今回の公演も伝説の始まりになる予感しかしないです」
田中「目指せ、次の10年!」
斎藤「女性キャスト版は、女子ならではの華やかさがあります。その分、男性キャスト版は演じたら、力強さとか、また全然違う魅力が出ると思うんです。今回は、女性キャスト版を観た人たちも、『どんなもんだ?』と観てくれるんじゃないかと。そこで『男性バージョン、すげーな!』と言わせたい。そして“明日も楽しく生きていこう”と思ってもらいたいです!」
土井「(斎藤)直くんも言っていたように、女子が演じるのとは違ってむさ苦しい分、熱量を上げてパワーで圧倒できたらと思います」
佐藤「でも基本的には、プレッシャーより楽しみのほうが大きいですね」
――― 共演メンバーについてはいかがですか?
田中「僕は今回のメンバーは、全員初めて。でも歳の近い男同士だし、楽しくやれるかなと思っていて、とくに不安はないですね」
斎藤「それぞれの個性が見えてきたら、アドリブも増えそう!」
土井「僕と直くんは、コンビを組むのは3回目なんです。女性キャスト版のイメージから、お笑いコンビの相手役は直くんが合いそうだなあと思っていたんです。そしたら本当に直くんでビックリしました! でも僕がイメージしていたのは、直くんがボケで僕がツッコミだったんですけど……」
斎藤「土井君は素顔はドSで、いつも僕をイジり倒してくるんですよ。だから、今回は僕がツッコミということで、舞台上で土井君をイジり倒してやろうと思っています。百村のセリフの中に『優のことをバカって言っていいのは俺だけだから!』というのもあるし、堂々とバカバカ言えますから(笑)」
死体に襲われる作品だけど死体は登場しない!?
――― ズバリ、見どころはどこになってきますか?
土井「オープニングから歌ありダンスあり、さらにコントもありという、まさにスーパーエンターテイメント作品なんです」
佐藤「なので見どころはたくさんあると思うんですけど、この舞台が特徴的なのは、一幕もののシチュエーションコメディであること。だから舞台は屋上だけなんですね。下に降りたら死体に襲われますから、みんな屋上から出られない。つまり、出演者はほぼ全員、ずーっと舞台に出続けるということでもあります。まさに『カメラを止めるな』的な感じですね。こういう一幕ものの舞台ってなかなかないと思うので、そこも見どころかなと思います」
斎藤「時間経過もほぼリアルタイムで、間にちょっと過去の幻想シーンが入ってくるだけ」
田中「どこかで隙を見つけて休まないと、大変だな〜」
――― 死体が蘇るとのことですが、ホラーではないんですよね?
斎藤「基本は青春作品なんです。大切な人との出会いと別れを描いていて、『全米が泣いた!』的な感じです(笑)」
土井「だから舞台上にも死体は出てきません。血まみれとかグロテスクな場面はないので、ご安心ください」
田中「舞台上が屋上で、客席が死体のいる地上という感じですかね。僕らはお客さんを死体と思って演じますので、是非そういう視点でも楽しんでいただけたら」
――― 最後に、読者にメッセージをいただけますか?
佐藤「男性キャストバージョンということもあって、本当に十人十色の様々なイケメンが集まった作品です。正統派から、かわいい系、不良系、笑える系……そして先ほども言ったように、全員ずーっと舞台に出続けていますので、好きなイケメンをずーっと見続けられる楽しさもあると思います!」
斎藤「理屈抜きで楽しんで観てもらえる作品です。いい意味で裏切っていこうと思っていますので、是非劇場に足を運んでください!」
田中「締まりましたね!」
(取材・文:山本奈緒子 撮影:安藤史紘)