お得な公演チケットサイト Confetti(カンフェティ)

PICKUP

堀越 涼・藤原祐規・吉田 能


キメ画像1

江戸文化が残る日本で繰り広げられる「女の戦い」と、それに翻弄される主人公

江戸時代の奇妙な風習をモチーフに作り上げる、あやめ十八番ならではのオリジナル現代古典劇

歌舞伎、能、浄瑠璃といった日本の古典芸能のエッセンスを現代劇の中に昇華しながら、現代人の感覚で古典演劇を再構築することをテーマに活動するあやめ十八番。この夏上演される新作は、夫と離縁した前妻が徒党を組んで後妻の家を襲う「嫐打ち(うわなりうち)」という江戸時代の風習をモチーフにした『しだれ咲き サマーストーム』。主演を務めるのは、主宰の堀越 涼が脚本・演出を手がけた『変わり咲きジュリアン』(砂岡事務所プロデュース/2018年)にメインキャストの一人として出演していた藤原祐規。そこで築かれた信頼関係を基にさらなる濃密な芝居作りへ挑む彼らと、音楽担当の吉田 能を加えた3名に訊いた。


インタビュー写真

大変な舞台になると思ったからこそ、主役のオファーを受けた

――― まず堀越さんに、藤原さんを主演に迎えた狙いをお尋ねします。

堀越「『変わり咲きジュリアン』ではプロデューサーの方がキャスティングをされて、精鋭メンバーが集まったんですけど、フッキーさん(=藤原)の芝居がとても僕好みで」

藤原「あのときは、終活という重いテーマを扱ったオリジナル作品で、すごく挑戦的だなと思ったんですけど、演出がほんとに細かくて……こんなに細かいことは今までになかったんじゃないかというくらい」

堀越「フッキーさんはそう感じたかもしれないけど、他の人にはそんなに言ってなかったんですよ」

藤原「そうでしたっけ?」

堀越「僕の演出に対して、あんなに細かいレスポンスを返せる人に出会ったのはフッキーさんが初めてで、ちょっと楽しくなっちゃったんです(笑)。普通はもっとざっくりしたイメージを伝えて、その人から出てきたものを整えていく形なんですけど、フッキーさんの場合は、さっきも言ったようにめっちゃ僕好みのものが出てくるので、だったらもっと好みにしちゃおうかなと(笑)」

藤原「誰もそんなこと言ってくれなかった(笑)。通し稽古の間もずっとダメ出しされていたから」

堀越「台詞の、単語ひとつの言い方だけ延々やったりね。あそこまでマニアックな注文をしたのはフッキーさんだけです。あのときは主人公をフォローして動かしていく役だったので細かいことも言ったんですけど、今回は主役なので、もう少しお任せするやり方にしようと思っています。ただ、今回は和物なので……うちが和物をやるときはかなり細かいんです。台詞も七五調だったりするんですけど、ブレス(息継ぎ)の位置まで決めて。その方がやりやすいんですよ」

藤原「へえ! 面白い」

堀越「台詞の言い方よりもブレスの位置を決めることで、古典のリズムになっていくんです。今回は人数もちょっと多くて、いつもより明るめの芝居を作ろうと思っているので、そこまで詰めるかどうかわかりませんが、同じく古典作品をオマージュしている花組芝居で教わったものを、現代劇の俳優さんにどう伝えていくかをテーマに、なるべくわかりやすく、いろんな方法でやっていけたらと思いながら普段から取り組んでいます」

――― 今回の『しだれ咲き サマーストーム』でモチーフになっている「嫐打ち(うわなりうち)」とは?

堀越「中世から江戸時代にかけて行われていた風習で、妻と離縁した男性が1ヶ月以内に別の女性と結婚しちゃったときに、予告の上で前妻が後妻の家を襲撃することが認められていたんです。それをあやめ十八番流に改変しながら、時代設定を現代にしてやってみたら面白いんじゃないかなと。しかも開国が100年以上遅れた日本という設定で、着物とか江戸の文化は残っているけどスマホはある、みたいな(笑)。ある意味パラレルワールドの話ですけど、開国が遅れたらこうなりましたっていうもう1つの世界が、これもまた悪くないっていうふうに見えたらいいなと思っています」

――― その中心にいるのが、藤原さんが演じる主人公なんですね。

堀越「江戸時代のことも改めて勉強しているところですけど、当時は圧倒的に男性の立場が上だった一方で、実際にエネルギッシュで強かったのはむしろ女性の方だったりして。そういう時代の空気も取り入れながら、そこで翻弄される男性のストーリーを描きたいなと思ったときに、フッキーさんが適任だと思ったんです。オラオラな人じゃないところがすごくいいなと。なんとなく線が細くて、お芝居もスマートで」


インタビュー写真

藤原「僕はとにかく『ジュリアン』のときにけっこう苦労した思いがあったので、オファーをいただいたときは正直、これは大変になるだろうなと思って……それで受けました。というのも、最近、俺、楽なところを選んでねえかと思っていて」

堀越「おお!」

藤原「それって何にもならないなと思っていたところにオファーをいただいたんです。堀越君の作演出で、主演で、どういう話になるかわからないけどきっと大変な舞台になるだろうと思って。『ジュリアン』のときもとても大変な役でしたけど、周りの役者もすごく頑張っているのを見て、ちょっと羨ましい気持ちがあったんです。それで、またああいうことができるなら、きっと糧になるだろうなと。もっと堀越君と真っ向からやりたいという思いもあって、今回は飛び込んだ感じです。だから、よく受けていただきましたなんて言ってもらえるんですけど、僕からすると逆で、よく声をかけてくれましたという」

堀越「ありがたいです。うちは看板女優はいるけど看板俳優がいないので、どうしても外からお呼びすることになるんですけど、そうすると本当に信頼できる人間じゃないと難しい。特に主役となると、団体としては一緒に沈んでも構わないというくらいの覚悟がないとお呼びできないんです。そういう意味で、過去に僕の演出を受けていて、しっかり苦労してくださって(笑)、素晴らしいお芝居を見せてくれたフッキーさんがいいなと」

抽象的なやり取りから、クオリティの高いものが生まれる

――― あやめ十八番は劇中音楽がすべて生演奏というのも特徴の1つですが、音楽はどのようにして作っていくのですか?

吉田「僕が参加した頃は既成の曲をアレンジしていたのですが、堀越君が脚本を書く時点で音楽もしっかりイメージされていて、使う曲の歌詞まで台本に書いてあることも多かったんです。そこから少しずつ僕のオリジナル曲が増えてきて、今は明確なイメージを聞いた上で僕が使いたい楽器とか、こんなメロディどう?っていうのを提示していく感じですね。それで堀越君は、良いと思ったらだいたい返事が早い(笑)」

堀越「バレてる!(笑)」

吉田「何これ天才なんだけど、みたいな返事がすぐに来るんです。でも5分以上空くと、ああ違うんだなって(笑)。だから方向性はすごく見えやすいですね」

堀越「僕が知っている中で一番身近な天才は吉田ですよ。同じ芝居の人間を褒めるのは抵抗がありますけど、吉田は音楽の人間なのでさんざん褒めちゃいます(笑)。こいつ半端じゃねえなってよく思うし、吉田が劇団員になってくれてほんとにありがたいです。彼のオリジナル楽曲を使うようになってきてからは、あまり僕から指示しなくなりましたし」

藤原「『ジュリアン』の音楽も吉田君だったんですけど、通し稽古で堀越君と吉田君のやり取りを聞いていると、考えられないくらい阿吽なんですよ。あそこもっと柔らかく、みたいなすごく抽象的なことを言うと、すごく自信ありげにOKと答えて、次には絶対納得するものが出てくるのを何度も見ました。とにかく、やり取りの速さとクオリティがすごいんです」

吉田「もっと何々風にしてとか、音を増やしてとか減らしてとか具体的なことを言われるより、抽象的なことを言ってもらった方がいいですね。そこに至るルートを僕から提案できるので。あと、音源だとある程度のところで形にしていかないといけないけど、生演奏なのでお芝居の稽古と合わせながらいろいろ変えたりできるので、あやめ十八番ではこのやり方がいいなと思っています」

堀越「稽古中に、僕の許可なくこっそり変えるときもあるんですよ。お前気づくのかよ?くらいの感じで(笑)。そういうのは絶対聴き逃さないようにして、“今ちょっと変えた?”、“うん”、“こっちの方がいいね”ってなるとホッとする(笑)」


インタビュー写真

吉田「音楽とか台詞の高低とかに関して、堀越はすごく耳がいいんです。僕は、良い演出家は耳がいい演出家だと思っていて、その点で堀越はピカイチですね」

堀越「たぶん、それがフッキーさんを苦しめたんです(笑)」

藤原「(笑)」

初めての殺陣にも挑戦し、あやめ十八番の集大成的な作品に

――― 今回は吉祥寺シアターでの上演ということで、あやめ十八番としては初めての場所ですね。

堀越「吉祥寺シアターさんが毎年夏に行っている吉祥寺シアター演劇部というワークショップに呼んでいただいて、高校生を集めたお芝居を2017年に作ったんです。そのときも吉田が音楽をやったんですけど、今度はこちらからご一緒したいとお願いして、劇場をお借りすることになりました」

吉田「音の面でも、吉祥寺シアターという大きな空間でやるのは楽しみですね。以前のあやめ十八番の公演で、実際に竹刀を使った剣道をやったことがあったんですけど、いわゆる殺陣で“ジャキン!”みたいな音が鳴るのではなく、竹刀同士のぶつかる音がすごくカッコ良かったんです。今回は殺陣のシーンもあるので、そこは音でも面白くできたらなと思っています」

堀越「あやめ十八番では、歌やダンスはありますが、殺陣は今まで一度もやってこなかったんです。今回は、花組芝居の先輩で殺陣師でもある山下禎啓さんをお呼びして、女性同士の殺陣にチャレンジします。山下さんの殺陣は歌舞伎的で、めちゃくちゃカッコいいんです。音楽の部分を吉田に任せるのと同じで、殺陣は山下さんにと、作品を成立させる上で絶対失敗できない部分をようやく他人に任せられるようになってきました」

――― 最後に、公演を楽しみにしている人に向けて一言ずつお願いします。

吉田「あやめ十八番が今までやってきたいろんなものの集大成という言い方もできそうな、すごく見ごたえがあって、かつエネルギッシュで、楽しい公演になると思います。ぜひ皆さん観に来てください」

藤原「先ほど挑戦という言葉も出ましたが、僕としても挑戦だなと思っています。まだ『ジュリアン』しかご一緒してないんですけど、あれは演者にもすごく残ってるし、たぶんお客さんにも残ってる作品なんじゃないかなと思ってて、それを書いて演出した人とまたガッツリ作品を作れるのはとても幸せなです。すごく大変なんでしょうけど、一生懸命頑張ります。きっと楽しいものになると思います」

堀越「僕もそう思ってます(笑)。でも、たぶんリスキーな舞台になると思います。毎回同じことをやりたくないっていう僕の想いもあって、どうなるかわからない状況でスタートして、みんなも僕自身も現状は不安なんですけど、そのリスクの先にめちゃくちゃ面白い芝居があると信じて、ダメだったときはみんなで心中しようって言いながら頑張っています(笑)。皆さんには、その結果がどうなるかというのを見に来ていただきたいですね……こういうとき、僕、“面白い作品です”って宣伝できないんですよ。頑張って面白いものにしますけど、安心しないでねって言いたいです」

(取材・文&撮影:西本 勲)


キメ画像2

PROFILE

堀越 涼(ほりこし・りょう) のプロフィール画像

● 堀越 涼(ほりこし・りょう)
1984年7月1日生まれ、千葉県出身。
花組芝居所属。あやめ十八番主宰。2006年よりネオかぶき集団・花組芝居に入座し、以降、俳優・女形として出演する。2012年にあやめ十八番を旗揚げし、作・演出を務める。そのほか、木ノ下歌舞伎『三人吉三』、浪漫活劇譚『艶漢』、舞台『嫌われ松子の一生』など幅広く客演すると共に、砂岡事務所『変わり咲きジュリアン』など外部でも作・演出を務める。

藤原祐規(ふじわら・ゆうき)のプロフィール画像

● 藤原祐規(ふじわら・ゆうき)
1981年4月24日生まれ、三重県出身。
声優・俳優として活動。声優として『家庭教師ヒットマンREBORN!』シリーズ、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』などに出演。俳優としては、ミュージカル『最遊記歌劇伝』シリーズや『しゃばけ』シリーズ、舞台『真夜中の弥次さん喜多さん』シリーズなどに出演。今年は『銀河英雄伝説 Die Neue These〜第二章 それぞれの星〜』に続いての舞台出演となる。

吉田 能(よしだ・たかし)のプロフィール画像

● 吉田 能(よしだ・たかし)
1985年8月20日生まれ、東京都出身。
洗足学園音楽大学ピアノコース卒業。ピアニスト・作曲家として活動する傍ら、俳優として舞台出演、また映像制作なども行う。2014年、あやめ十八番『江戸系 諏訪御寮』に楽隊として参加して以来、ほぼすべての公演で音楽とフライヤーデザインを手がけ、2018年に構成員となる。8月23日(金)〜9月1日(日)、第27班『潜狂』に出演。

公演情報

「しだれ咲き サマーストーム」のチラシ画像

あやめ十八番
しだれ咲き サマーストーム


2019年7月19日 (金) 〜2019年7月24日 (水)
武蔵野市立吉祥寺シアター
HP:公演ホームページ

28名限定!一般4,000円(全席指定・税込)→ 【指定席引換券】3,400円さらに2,000Pゲット!(7/19 17時35分更新)

詳細はこちら

「しだれ咲き サマーストーム」のチラシ画像

あやめ十八番
しだれ咲き サマーストーム


2019年7月19日 (金) 〜2019年7月24日 (水)
武蔵野市立吉祥寺シアター
HP:公演ホームページ

一般(指定席)4,000円(税込)

詳細はこちら