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PICKUP

宇梶剛士


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亡父が導いた己の存在を問う旅路。

古のアイヌモシリの空に放たれた矢が語るものトワ?

宇梶剛士が全作品の作を担い、年齢・キャリアにとらわれない様々な色合いと匂いを持つ俳優陣が集う劇団PATHOS PACK(パトス・パック)の第21作目。とある事から3歳下の妹と血が繋がっていない事を知った主人公の海(カイ)は、亡き父の故郷である北海道へ疎遠の兄を訪ねる。旅路で出会う人々との交流の中で、自分という存在の不確かさにもがきながらも輪郭を見つけようとするカイ。一方で、古のアイヌモシリ(北海道)では、勇者によって空に放たれた一本の矢の行方を追い続ける男がいた……。2つの時間が交錯する時、あぶりだされる時代、国、世界の姿とは!? 自らもアイヌの血を引く宇梶剛士が初めて己のルーツと向き合い、渾身の力で描く意欲作だ。


インタビュー写真

“〜とは?”という事象を問う姿勢を表現したい

――― アイヌの血を引きながらも、東京で生まれ育った主人公が、妹との血縁がない事をきっかけに、幼い頃に亡くした父の故郷、北海道を訪れることから物語は始まります。

「東京で生まれ育った主人公のカイは、アイヌであるという事を意識する事無く生きてきました。数年前、目的も告げず北海道に行ったまま疎遠となっていた兄は、父親に可愛がられたこともあって父との思い出があるのですが、幼かったカイはおぼろげしか覚えていない。訪れた父の生地で様々な人達との交流を通して自らの存在について考えていくという現代の話と、かつてアイヌがアイヌらしく暮らしていた時代から苦難に落とされていった時代をクロスオーバーさせて物語を紡いでいます。

ひとつには、1669年に起きたアイヌ民族による蜂起『シャクシャインの戦い』にインスピレーションを得ています。当時は幕府の力を背景にした松前藩による収奪や交易権の独占が推し進められる時代。生き残ったアイヌ達は搾取や暴力の圧政にあえぐ中、1人の弓の名手が松前藩側主力の倒そうと大木の上で待ち伏せて、弓を引き絞るのですが、いざ敵を目前にして、なぜか矢は敵ではなく空に向かって放たれるのです。結果、アイヌたちは戦いに敗れ奴隷化されていくのですが、勇者はなぜ敵に矢を射ずに、空に矢を放ったのか?という問いが後の時代に引き継がれていきます。当然、敵将を討つ事ができれば戦いは有利に進んだかもしれません。けれども勇者はその先にある何に向けて矢を放ったのか……

物語の2つの時代の底流に共通してあるのは、『〜とは?』という事象を問うものです。これは僕自身が人生観として常に抱いている事で、すべての出来事の内外表裏を問うものです。オートメーション化や過多な情報の中にフェイクが跋扈する現代において、「今」だけの優位性ばかりを追う者の思惑や手段によって決められ既成事実化されていく事象について、立ち止まり心静めて考える機会が減っていると思いますが、それはとても残念なことです。この舞台では、観た人皆に問題の解決を提示できるとは考えていませんが、物語の中で起こる一つ一つの事象を『そんなものだろう』ではなく『そんなものとは?』というように共に考え思いを巡らせてもらえれば嬉しいです」

インタビュー写真

触れにくいテーマでも真正面から踏み込めるのが舞台

――― なぜアイヌというテーマを選んだのでしょうか?

「きっかけは昨年3月末の舞台『木漏れ日、わらとーんどぅ』でした。太平洋戦争末期、沖縄・渡嘉敷島での集団自決を下敷きに描いた作品ですが、振り返れば9年もの間、書き始める事ができなかったんですね。それほど沖縄の問題を扱う勇気がなかった。でもここで沖縄の話を書けなかったら、もうこの先には絶対に書けないぞという自分の内なる声に後押しを受けたことがとても大きかったです。

アイヌの事も沖縄と同じく、どこかアンタッチャブルでした。けれど昨年の『木漏れ日、わらとーんどぅ』の稽古が佳境に入った時に、次回公演の為の劇場予約の企画書の仮申請が必要だと連絡があったんですね。ちょうどその時に、アイヌ文化の継承活動をおこなう母親とトークショーに出演することになり、アイヌとして生きてきた母と久しぶりに向き合ったことも影響したのかもしれません。「アイヌの物語を書くよ」と。

50歳を過ぎて気がつけば、自分の中にいたアイヌが自然と出てきていたのかもしれませんね。そしてそれから日を置かず、幕末の蝦夷地を調査し、北海道の命名者となった松浦武四郎を描くNHKの北海道150年記念ドラマ『永遠のニシパ』(主演:松本潤、7月15日全国放送)へのアイヌ役での出演が決まったり、来年、北海道白老町にオープンする国立アイヌ民族博物館のアンバサダーに任命されたりと、アイヌにまつわる事が自分を包み込んでいて、何かが背中を押してくれたのだと思います。

僕はこの仕事を選んだ時から、政治・宗教・血の問題には踏み込まないと決めていました。それでも知っておく必要はあると思っていました。触れにくいテーマでも学び見つめ踏み込み、心を込めて渡すことが出来るのが舞台をはじめとする芸術表現であり、その役目だと思っています」

――― テレビ、CMなどで人気を集めていますが、宇梶さんにとって舞台とはどの様な場所でしょうか?

「今は仕事に恵まれていますが、30歳過ぎまでは工事現場で働いていました。表現する事に飢えていましたが、その場がなかった。そんな時に渡辺えりさんの舞台に立たせてもらったことで、ものを作るとはどういうことかを学ばせてもらい、チャンスを広げることができました。与えられた場だけでなく、自分で伝えたい表現したい事を失敗を重ねながらも、続けてきた場であるし、好奇心や知識を深める場でもありました。ですので、舞台は僕にとっては出発点であり、現在地もその延長線とも言えます。あとは仲間がいるからでしょうか」

(取材・文&撮影:小笠原大介)

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PROFILE

宇梶剛士(うかじ・たかし)のプロフィール画像

● 宇梶剛士(うかじ・たかし)
1962年8月15日生まれ、東京都出身。
錦野旦、菅原文太の付き人を経て、美輪明宏による舞台『青森県のせむし男』(寺山修司作)で初舞台。無名での下積み時代を経て、1980年代からトレンディドラマを中心に脇役で知名度を得て以降、数々のドラマや映画で好演。「打打芝居」「damim」など演劇ユニットで製作・作・演出・出演を重ねた後、“劇団”という共同体でしかでき得ない舞台作りをしたいと、2007年に金井良信、平野貴大と共に、劇団PATHOS PACKを結成。“夢”や“願い”“未来”や“思い出”“喜び”や“悲しみ”など、目には見えない、その手で触れることのできないものを、俳優たちが心と身体を使いきり、舞台に浮かび上がらせようと挑み続ける。

公演情報

「永遠ノ矢=トワノアイ」のチラシ画像

劇団PATHOS PACK Vol.21
永遠ノ矢=トワノアイ


2019年8月8日 (木) 〜2019年8月12日 (月・祝)
座・高円寺1
HP:公演ホームページ

20名限定!一般4,500円 (全席指定・税込)→ 3,700円 さらに200Pゲット!

詳細はこちら

「永遠ノ矢=トワノアイ【静岡公演】」のチラシ画像

劇団PATHOS PACK Vol.21
永遠ノ矢=トワノアイ【静岡公演】


2019年8月21日 (水) 〜2019年8月22日 (木)
静岡市清水文化会館マリナート 小ホール
HP:公演ホームページ

前売一般:4,000円
学生(前売):2,500円 ※要学生証
(全席自由・税込)

詳細はこちら

「永遠ノ矢=トワノアイ【東京公演】」のチラシ画像

劇団PATHOS PACK Vol.21
永遠ノ矢=トワノアイ【東京公演】


2019年8月8日 (木) 〜2019年8月12日 (月・祝)
座・高円寺1
HP:公演ホームページ

一般(前売): 4,500円
学生(前売) :2,500円 ※要学生証
(全席指定・税込)

詳細はこちら