2015年に美女men♂Zとのコラボで大好評を博したロックミュージカル『マジカル・リバース・ワールド』を、松多壱岱が新たにリライトし『マジカル・リバース・ワールド2019』として上演する。全ての男女が逆転してしまった世界を、歌・ダンス・アクションを織り交ぜて描く物語とは。作品を代表して、脚本・演出の松多壱岱、出演者から舞川みやこ、雛形羽衣、服部武雄に話を聞いた。
セリフの途中で突然スタンドマイクを持ってレビューが始まるスタイルが受け入れられた
働きながら女性として生きることに生きづらさを感じていた主人公、小泉晴子。恋人の不動未来は晴子に何度となく結婚を申し込むが、晴子はどうしても結婚に踏み切れない。
そんな時に現れた謎の人物、ヤマダ。ヤマダの言葉に心動かされ、晴子は男女が逆転された世界「リバースワールド」へ旅立っていく。リバースワールドでの晴子は「コルハ」という横暴で凶悪な騎士団長。それこそが晴子が男になった時の姿なのだ。「コルハ」は一人の姫を塔に閉じ込めていた。それは……「イラミー」未来が女になった姿だった。「晴子」は「コルハ」の体に魂を宿し、閉じ込められていた「イラミー」を救い出し、この世界から脱出を試みる。男女逆転した二人の恋人の逃避行が始まった……!
その頃、悪魔がヴァンパイア、ミゾノをリバースワールドに蘇らせていた。ミゾノはコルハを倒し、リバースワールドを手中におさめようとする! 二人にヴァンパイアの魔の手が襲いかかる。晴子をリバースワールドに連れてきたヤマダの真の目的は? 果たして、晴子は現実の世界に戻れるのだろうか?
――― 2015年作品のリメイク版ということですが、初演を作ったきっかけはどのようなものだったのでしょうか?
松多「初演は美女men♂Zさんのメンバーだった桜塚やっくんがお亡くなりになった後に、このメンバーで追悼も込めて舞台をやりたいというところから始まりました。話していくうちに男女逆転していくお話がいいのではないかと発想を得てプロットを作りました。それに合わせて美女men♂Zが曲を書き上げてくれたのがタイトルと同じ『マジカル・リバース・ワールド』。そして僕は和物の作品を結構やっているので、この作品では中世っぽい雰囲気のキャラクター設定になっていきました」
――― 4年ぶりの再演、なぜこのタイミングになったのでしょうか?
松多「突然歌い出したりするお祭りが似合う劇団☆ディアステージを立ち上げて、セリフの途中で突然マイクを持ってレビューが始まるそのスタイルが受け入れられたんです。それはディアステージというバックボーンがあるからだと思いました。そんな時にあるプロデューサーから『何か企画をやってみませんか』と提案があり、ハッと思い出したのが本作の再演。とても合うんじゃないかなと思って」
よりミュージカルっぽくしたい
――― 脚本の印象はいかがでしたか?
松多「あれ、読んだ?」
舞川「あれ?(笑)」
服部「どこかにありましたっけ?」
雛形「YouTubeで初演のオープニング動画は見ました」(全員爆笑)
松多「実はまだここ(頭)から出てない状態です(笑)。働きながら女性として生きることに生きづらさを感じていた主人公小泉晴子(舞川)が、男女逆転した世界に行くという物語です。主演の晴子役は舞川が演じます。男女逆転なので男装の麗人、軍服を着て鞭を持つドSなキャラクターになりそうです」
舞川「おおお。以前の舞台『音楽劇ヨルハ ver.1.2』の司令官役でも鞭を持っていましたね。見かけが強そうとか皆さんが私の第一印象でイメージされる役かもしれません。頑張ります」
松多「殺陣もあり、華やかな雰囲気になると思います。雛形さんは男の悪魔にしようかと」
雛形「男の悪魔! コメディ的なポジションの悪魔ですか? ディアステージの公演でいつも悪魔役をやらせていただいていますが、男装の悪魔とは衝撃ですね」
松多「もちろんアクションもありますので楽しみにしていてください。そして武雄くんは主水さんの後を引き継いでもらうオリーノ役、ヴァンパイアの姫です」
服部「ヴァンパイアチームだそうです(笑)初演から全然変わるようなのでどうなるのか僕も楽しみですね」
――― ちなみに、初演の美女men♂Zの楽曲は聴けるのですか?
松多「はい聴けます。そして今回のこの2人(舞川さん雛形さん)のユニットに合わせた新曲を利根川貴之さんに依頼しております」
雛形「いつの間に!」
舞川「え! 本当ですか? 利根川さんは、妄想キャリブレーションさんや、でんぱ組.incさん、ゲーム『A3!』などメジャーな方の楽曲を書いている方で嬉しいです!」
雛形「では今回は歌が多いんですね」
松多「8曲くらいはやろうかな、よりミュージカルっぽくしたくて、生演奏を入れようかとか色々考えている所です」
舞川・雛形・服部「おおおお!」
大きく飛躍する作品になると思います
――― 初演のPVを拝見しますとヴィジュアル系バンドの様な雰囲気でしたが、初演からはさらにレベルアップされそうですね。パフォーマンスなどもすべて新しくなるのですか?
松多「そうですね、振付はゼロから新しくなります。そして服部くんも踊るしアクションもありますよ。メイドの衣裳で刀を持っています。女装はやったことあるよね?」
服部「(笑)。ちょいちょいあります。この作品は初演で拝見していまして、けっこう衝撃ですごく面白かったんです。いつかこの作品がやりたくて、『何かやるならこれをやりましょう』とずっと壱岱さんに言っていて、それが今回現実になりとても嬉しいです」
松多「そうなんです。武雄くんがずっと言っててくれて、どのタイミングで再演できるかと思っていた時に『ここだ!』と、決まったらすぐ声をかけました」
――― では演じたい役などもあったのですか?
服部「どの役を演じたいというよりはこの作品をやりたいという想いでした。この作品はダンスがとても多くて、華やかさや男女入れ替わりの面白さ、ギターがはいって生演奏もありましたよね。すごく良かったんです」
松多「毎年続けられるような楽しいミュージカルを1つ作りたくて、この作品がそうなれば嬉しいですね。そしてどんどん育って大きくなっていったらいいなぁ。今回はラゾーナ川崎に劇場が移り公演数も増えました」
――― 松多さんと言えば和物というイメージが強かったので、この世界観がどうなるか楽しみです。
松多「そうですね、小道具が刀からマイクへ進化します。実は劇団☆ディアステージ公演ではちゃんとセットを組み、衣裳もガッツリ作るのは初めてなんです」
舞川「今までの劇団の規模から考えると大きく飛躍する作品になると思います。団員が私と雛形の2人、そこに脚本・演出、客演の方が加わった少人数のところからスタートして1年ちょっと経ちます。ですが、公演を重ねるうちに外部の出演者が増え、今年の頭からはコラボ企画をやらせていただいたりと、交流をメインとしたショーのようなスタイルから、より演劇に近づいているのが今の劇団☆ディアステージです。」
雛形「出演者も今までで一番人数が多くて、さらに一番長い公演になるのでたくさんの挑戦ができそうです」
松多「今年のコラボ公演からほぼ完売なんです。歌って踊ってストーリー性がある公演はみんなに受け入れられているので、もっとこれを伸ばしていこうと」
――― 皆さんをお迎えした座長公演になりますね。
舞川「劇団☆ディアステージの公演は、いつも主演のポジションに男性を招いてやっていましたが、初めて劇団員である私が主演を務めさせて頂く作品となります。この劇団では毎回アットホームな雰囲気で作品を作ってきましたが、今作では引き締めるところは引き締めて、楽しむところは思い切り楽しむような、そんなカンパニーにできたらいいなと思っています」
雛形「今回は女子が多くて、今まで出演したことがなかった事務所の子で都筑あやめちゃん、三浜ありさちゃんなどディアステージから7人が出演なので嬉しいです」
今まで見た事がないキャストの一面を見ることができると思います
――― 新キャストでその世界観をより華やかに描くとなると衣裳も楽しみです。
松多「華やかになるので期待していてください。衣裳はASSHの衣裳をやってくれている壺阪英理佳が担当します。新解釈で全く違うものになりそうです」
雛形「絶対かわいくなる! 女性は男装の麗人とか好きですし、男性の綺麗な女装もきっと興味があると思うんです。そこにエンターテインメントが盛られて、私たちも観客のみなさんのお楽しみが詰まった作品になりそう」
松多「ハロウィンも近いから何かイベントも入れていけたらいいね」
雛形「お客様にドレスコードを提案する企画とかも楽しそう」
松多「いいね、やろう! やろう!」
――― では最後にメッセージをお願いします。
松多「間違いなく楽しい舞台になると思いますので是非いらしてください」
服部「この作品に参加できて光栄です。みんなで盛り上げてこの作品を成功させたいですね。自分の好きがいっぱい詰まっていて僕が初めて観た時の衝撃を伝えたいです。お客様を魅了できるような作品にできたら!!」
雛形「男女逆転の世界観を大きな見どころに、劇団でいつもやっている生歌やアクションがあるということで今回はエクストラバージョンです。番外編らしく今まで以上に盛り上がった舞台にしていけたら。頑張ります」
舞川「劇団☆ディアステージの4月公演『四月の霊』の本番中に壱岱さんから『マジリバやるぞ!』と言われて、最初は何のことか全くわかりませんでしたが、その一言から次の日にはヘアメイクさんと話をしている壱岱さんがいて、今日取材を受け、あれよあれよと言う間にいよいよ始まっていくんだと実感しています。今まで見た事がないキャストの一面をきっと見ることができると思いますし、個性的なメンバーが揃ったのでおもちゃ箱のような、そしてまた観たくなるような中毒性のある衝撃的な作品を作れたらと思っています。劇場でお会いしましょう」
(取材・文&撮影:谷中理音)