演出家の笠原哲平(TEAM-ODAC/Soymilk Co.)と、脚本家のゆうき(Soymilk Co.)が、日常にある些細な出来事を、より誇張した笑いからどこまでも広がる妄想の世界と、ちょっぴり泣ける作品作りを信条として立ち上げたクリエイティブチーム『Monkey Works』。2019年2月に旗揚げ公演となった高校の将棋部を舞台にした学園ラブコメの本作は、大喝采の内に幕を閉じた。あれから8ヶ月。熱いラブコールに応えて再演が決定!新キャストに村田寛奈(9nine)と林勇輝、演出には新たに高品雄基(TEAM-ODAC)を迎え、よりパワーアップして戻ってくる。
将棋を知っていても知らなくても楽しめます!
――― 再演が決定して率直な気持ちを聞かせてください。
高品「2月の初演では観に来てくれた役者の友人が口を揃えて自分も出たいと言ってくれたことは嬉しかったですね。高校の将棋部が廃部の危機に面して、皆で力を合わせて乗り切るのかなと思いきや、意外とそうでもないとか、終始笑いに包まれる老若男女に楽しんでもらえる舞台です。将棋を体得するシーンもありますが、ルールを知らなくても楽しめますし、役者の皆さんには将棋を打つ姿さえ様になってくれたら(笑)。でも将棋用語もコミカルに使わせてもらっているので、将棋を知っている方にも楽しんでもらえるようになっています。また今回は再演ですので、キャスト体制を含めて新しい要素を入れるつもりです」
村田「今回は初の主演を頂いて嬉しさと驚きと同時に、緊張や不安などで色んな感情で一杯です(笑)。『Monkey Works』さんに出させてもらうのは初めてですが、前から面白そうなことをやっているなというイメージがありました。台本を読んで感じたことは一言でコメディだなと。読み進めていると、自分が演じる転校生の神楽駒音は、突っ込みどころが満載のキャラクターですね。主人公の好青年、仁志敏久とのロマンスも用意されているようですが、まずは舞台上でちゃんとお客さんに突っ込んでもらえるように演じられたらなと。また将棋に関しては全くの無知なので、まずは打ち方から様になるように将棋講座を見てしっかり研究していきたいと思います」
林「ずっとコメディに挑戦したいと思っていました。高校の文化祭でも自作のコントを披露したりして、それが人前に立つきっかけにもなりました。最近も周囲にずっとコメディをやりたいと言い続けていたので、このお話を頂いた時には、驚きと同時に言霊って存在するんだなと思いました。僕も主演は初めてですが、再演ということでもあるので、初演の世界観を壊さないように、責任を持って取り組めたらなと思っています。僕の演じる仁志は将棋部の所属で、廃部を回避するために、色々と策を巡らせるのですがそれがまた面白い。台本を電車で見ていても声を出して笑ってしまうぐらいやばいです(笑)」
――― お互いの印象について教えて下さい。
林「村田さんはザ・ヒロインだなというのが第一印象ですね」
村田「林さんが部屋に入った瞬間からもうキラキラしていました」
高品「もう二人の役作りは完璧ですね。つかみはOKです」(一同笑)
――― 高品さんは役者としても活動しながらも、演出を手がけるのが「Monkey works」というレーベルですね。
高品「本作品の監修である笠原哲平(TEAM-ODAC/Soymilk Co.)が、以前から一緒にお仕事をさせて貰っていた、元芸人のゆうきさんとタッグを組んだのが始まりです。よりコメディというかエンターテインメントに振った作品を企画しています。僕自身も役者なので、役者目線を心がけていますね。同世代のキャストが揃っているので、皆さんからも色んな意見をもらいながら、魅力的な座組を作っていけたらと思います」
将棋を通して生まれる恋や成長
――― 再演にあたり注目して欲しいところはありますか?
高品「将棋部の行く末と、2人の恋の行方を注目して欲しいですね。そこに色んな壁が現れたときに、どんな展開を迎えるのかは必見です。将棋という部活動を通して、恋が生まれたりして、また人間として成長していく姿を舞台で表現できたらと思っています」
村田「ヒロインの神楽も仁志に恋をしたのはいいですが、予期せぬ形で将棋部に入部することになったので、最初は色々と混乱することもありますが、物語が進むにつれて将棋というものにきちんと向き合うまでの成長過程を見て欲しいです。また神楽は何か大きな秘密を抱えているというので、一体どんな秘密なのかは、是非劇場で見届けて欲しいですね。」
林「僕も彼女を将棋部に誘う側なので、きちんと打てるようになるのは勿論、将棋の魅力を伝えられるようになりたいです。最近は文科系の部活動が熱いですから、これをきっかけに将棋ブームを巻き起こしたいですね」
もう一度あの時代に戻れたらなと思ってくれたら
――― 最後に読者の方にメッセージをお願いします。
林「自分が役者を志した理由でもあるのですが、色んな役の人生を生きられるのがこの仕事の魅力だと思っています。今回、初めて将棋と向き合うことによって、より役の幅を広げていければと思っています。気楽に観て頂けて楽しんでもらえる舞台ですので、台本の魅力を皆さんに伝えられるように頑張ります。是非ご期待ください」
村田「今回、取材をして頂いて、また別のアングルで台本と向き合うきっかけとなりました。高校時代は帰宅部だったので、本を読みながら改めて何かに一生懸命になる青春はいいなと思いました。今回はお客さんと一緒にもう一度あの時代を追体験できるような舞台にしたいと思っていますので、是非遊びに来てください」
高品「キャスト皆さんの力を借りて、初演をあまり意識することなく新しいものを発信したいと思います。決してプロ棋士の話ではないので、技術ではなく将棋に対する熱い思いを表現することが大切だと思っています。高校将棋部ならではのストーリーを観てもらって、もう一度あの時代に戻りたいなと思ってもらえたら嬉しいです」
(取材・文&撮影:小笠原大介)