今年2月に上演されたBSP(ブルーシャトルプロデュース)「『新選組』完結編」の番外公演『新選組リメンバー』の上演が早くも決定した。完結編では描かれなかったアナザーストーリーを一挙に上映する。沖田総司役の鐘ヶ江洸、芹沢鴨役の田渕法明、山南敬助役の石田直也、土方歳三役の田中尚輝(大阪公演のみ)に話を聞いた。
今回の新選組は明るいコンセプトで
――― 今回は2017年の『新選組』、そして2018年の『新選組-完結編-』に続いての公演ですね。
田中「完結したやん!って、みんな思っているかもしれないですけど(笑)」
鐘ヶ江「アナザーストーリーってことでね」
田渕「今回のコンセプトとして、『明るい話をしよう』というのがあります。今までは新選組の散り際を表現してきたので、そういうものとはまた違った、楽しい話にしようということになっているんです」
鐘ヶ江「メインビジュアルも、いつものような戦っているイメージとは違って、“あけましておめでとうございます”っていう、おめでたい感じもあるしね」
田中「おだやかな感じがするよね」
石田「いつもは主に、“熱い”とか、“悲しい”という感じがあったんだけど、今回は今まで描かれてたエピソードの中ではスポットが当たらなかった部分なんかが描かれたりしています」
田渕「今回は、ショートストーリーで進んでいくんです。今までは、近藤・芹沢・土方・沖田の目線でストーリーが進んでいたんですけど、今回は別キャラクターからの目線になるので、今までとはまた違った視点で観られるでしょうね」
石田「『リメンバー』と言っても、過去をなぞる感じでもないしね」
田渕「完結編や初演を観てない人にも、楽しめる作品になっていると思います」
――― これまで歴史上の人物を演じられてきて、やっぱり史実の本人に対する見方も変わるものですか?
鐘ヶ江「すごく変わりましたね。いろんな作品で描かれる新選組のストーリーって、2時間くらいで終わってしまうものが多いと思うんですけど、僕らの場合、沖田総司の少年時代から、土方歳三が五稜郭に行くまでやらせてもらったので、確実に役者として知識が増えていっていますね」
田渕「僕の場合はちょっと特殊かな。芹沢鴨ってガタイがよくて横暴で酒飲みっていうキャラクターとして知られているけど、僕の中にはそういう部分が一切ないので(笑)。初演から今までやってきたも芹沢鴨も、そういう一般的なイメージとは少し違うかもしれないけど、『こういう一面もあったのかも?』っていう説得力につながるんですよね」
石田「僕も全然見方は違いますね。大河ドラマとか、いろんな映像作品で紡がれている山南敬助に近づけたいという思いもあるし、その上で、史実で抱いたイメージと僕とは違う部分もあるなあと思います」
田中「僕自身も土方歳三の鬼の部分がまったくないので……」
鐘ヶ江「(笑)って書いておいてください!」
田中「まあそんなに共通点はないほうなので(笑)、初回からすごく足掻きながらお芝居をしてきたんですけど、『リメンバー』では大阪公演のみの出演で見せないといけないので、さらにまた一個超えるべきハードルがあるなと思いました」
新しい「新選組」を見せたい
――― では、最後に作品に懸ける意気込みをお願いします!
石田「『リメンバー』というタイトルではありますが、新しいものを見せたいし、新作を作るつもりで、役作りも一からやってみたいなって思っています。かけあいをする相手も前回とは違ったりしますし、一から積み重ねていきたいと思います」
田渕「今回は楽しくやれたらなっていうのが第一にあります。もちろん楽しいだけじゃない部分もありますけど、新選組のアツかった時代を表現できたらなと。芹沢鴨にもこんな一面があったんだよってことを見てもらえたらと思います」
田中「僕は大阪公演のみの出演になりますが、BSPがまた新選組をやるんだったら、間違いなく面白い作品になると思いますから、まずは東京公演を見ていただいて、そして大阪公演でまたパワーアップしたものを見てもらえたらと思います」
鐘ヶ江「プロローグからしてまったく違うものになると思うんです。明るいところから始まって、僕らのわいわいした感じもあって。その中で、感動があって、人と人とのつながりが見える部分もあって……。完結編のあとに、またしっかり終わらせるのって至難の業だと思いますけど、今回もしっかり完成させたいです!」
(取材・文&西森路代)