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大鳥れい・岡田達也


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村松みさきの書き下ろし作品が、新たな風を受けて待望の再演

蘇える過去の中で彼女は誰と対話し、何を思い出すのか

 どこにでもありそうな、それでいてどこでもないような片田舎。まるで忘れ去られたようなロケバスがうち捨てられている。ここは20年前にとある映画の撮影が行われていた場所。沢山のスタッフがせわしく動き、それぞれが掲げた理想に向かって汗を流していた場所。しかし今は記憶の残骸でしかない場所。
 そこに当時助手として関わった女性が帰ってくる。今は女優として成功を収めた彼女がこの地に足を踏み入れた瞬間、過去が蘇り彼女の意識は現在とあの頃を往来する。
 新進気鋭の作家として大きな注目を集めている脚本・演出家の村松みさきによる「花火の陰」は、2017年に書き下ろし新作として客席数100少しの劇場で上演された。その時の好演が評判となり、この2月に再演されることとなった。しかも劇場は500席を越える三越劇場が選ばれた。作品としては理想の成長ぶりだといえるだろう。
 主要なキャストはそのままにしつつ、新たなキャストも加えた今回は、演出もおぼんろでかつやくするわかばやしめぐみを迎え装い新たに上演されるという。まさに“待望”というべき再演を前に主役の大鳥れいと岡田達也が語ってくれた。


インタビュー写真

――― まず初演から2年での再演。それも自主的にではなく、一回り大きな企画に成長しての再演です。率直な感想を聞かせてください。

岡田「嬉しいですし、もう一度僕に声をかけてもらえたのはなおさらです。自分自身で本当に驚きましたから」

――― 劇場も大きくなりますね。

岡田「それよりもまず確認したのは大鳥さんが再登板かどうかでした。彼女となら是非やりたいという気持ちがあったんです。変わらないと聞いて安心しました。初演を踏まえてより大人の世界観に入りたいですね」

大鳥「今回は三越劇場という雰囲気も高級感もある独特な空間ですが、この作品にあるノスタルジックな部分には合っていると思います。前回は凄く岡田さんにお世話になりました。もう出演者全員が岡田さんを大好きで。岡田さんがいなかったら成立しなかっただろうというところがありました。お芝居を本気でしていたかはわからないのですが……」

岡田「待て待て、なんやそれ(笑)」

大鳥「(笑)。お世話にもなり、凄い達成感もあったので。あの体験がまたできるかと思うとさらに力を入れて取りかからないと、と思います」

――― キャストも主要キャスト以外は大胆に交代されています。再演といっても新しい風がだいぶ入ってくるように思いますが。

岡田「まず演出家が変わることが凄く大きいかなと思います。わかばやしさんは『おぼんろ』という団体に所属されている方ですが、そこのメンバーである末原君とは共演したことがあるんです。彼から話は聞いていて、ファンタジーな世界観を上手に作り上げるという印象があったので、作品の世界には合うんじゃないかと期待しています。前回は作・演出共に村松さんでした。この2つを分けることで、演出家が客観的に脚本をどう砕いてどうみせるかという別の視点が生まれる。そこにも期待ができますね」

大鳥「そうですね。何にしても、沢山の演出家の方と関われるのが嬉しいですね。前回とはだいぶ変わるでしょうね」

――― その村松さんは初演時のとあるインタビューで、「表現をする人たちが抱える寂しさを描きたかった」と語っています。表現される側のお二人はそんな想いに対してどう思われますか。

大鳥「私はあまり寂しくないし、そういった部分よりもっと沢山のテーマが含まれていると思うんです。役者に限らずだれにでも色々な浮き沈みがあるんですが、ある一定の期間『燃え尽きた』という経験がある人間は、辛いことに直面してもその時を思い出して乗り越えることができるんですね。その時一緒だった仲間とのこととか。私も辛かった時に一緒に頑張った仲間。つまり宝塚の人たち、に会うと元気になります。この物語では亡くなった人々と接していく中で、取り戻すというか、皆で培ったものは絶対だとして乗り越えていくんです。だから負の要素は感じていません」

岡田「僕も同じですね。演者としては絶対的にエンタテイナーでありたいと思っているので、自分が孤独とかその辛さを抱えていたら、エンタテインメントなんてやれません。僕のタイプは自分自身が元気であるとか楽しい気持ちを持っていないといけないし、孤独や寂しさに引きずられないようにしてますね」

大鳥「私の中には客観的に大鳥れいをプロデュースするもう一人の自分がいて、その彼女が持つ理想が役者としての自分に乗り移る。なんだか凄く暗い作業に感じられるけれど、辛さというより私にはそれが楽しいんです」

岡田「逆にお客さんが寂しさを持っていたり、元気がないなという時に我々が芝居で救いたい。それができるといいですね」

インタビュー写真

――― それでは再演を前に、演技や解釈の面で初演とは違うプランがありますか。

岡田「まだ具体的なプランはないですね」

大鳥「私は20年前に新人として現場にやってくる春子という役で、監督に憧れている世間知らずな女の子です。夢を叶えることを信じて疑わない。そのあたりをもっとリアルにやりたいですね。でも再演は初演を超えるのが難しいですからね」

――― ところでタイトルの『花火の陰』ですが、これは大きく花開いた花火に照らされた部分と、そのせいでより濃くなる陰とも花火全体の華やかさと、それに相対する陰の部分とも色々な捉え方ができますが、お二人なりの“花火の陰”のイメージを訊かせてください。

岡田「以前、知り合いに誘われてアルバイトで花火の打ち上げ作業をしたことがあるんです。セッティングから打ち上げまでですが、その場所に居ると花火が開いた後の黒焦げのダンボールが次々落ちてきて、もう凄く暑いんですよ。向こうで見ている人には綺麗に映るんだけど、打ち上げの現場は暑いんだな、って。それが“花火の陰”のイメージですね(笑)」

大鳥「それは面白い(笑)。私は花火が終わった後に感じる寂しさ、切なさのイメージですね」

――― 大鳥さんの在籍されていた宝塚も、まさに「花火の陰」がくっきり出ている場所だと思いますが。

大鳥「たしかにあそこには競争もあるし、それぞれの努力もあります。でもそこも光の部分だと私は思っているんです」

――― なるほど。では最後になりますが、今回は再演とはいえ劇場も大きくなりますし、多くの皆さんが初めてご覧に成るのでは無いかと思います。ですから、そういった皆さんに向けてのメッセージをお願いします。

岡田「人は“たられば”を絶対思うし人生はその連続です。でも現実に時間を遡ることはできません。だから演劇にはそういった部分が沢山出てきます。それって人の渇望なんですね。そして日常では不可能なことを役者は全身全霊で成り代わって届けるのが仕事です。この作品はそんな“たられば”を優しい形で表現した作品ですから、辛さを感じている人には是非観て癒やされて欲しいと思います」

大鳥「物語もそうですが、登場人物も含めてほんとうにみんな優しいんです。運命に流されたとしてもそれぞれの優しさが補っていく。そんな作品です。初演に好評をいただいて再演となった訳ですが、初演をご覧になったお客さんが時間が経った後でもしばしば話題にしてくれる、そんな作品ですから期待してもらって良いと思います」

岡田「記憶に残る作品にしたいですね」

大鳥「そうですね」

――― ありがとうございました。


(取材・文&撮影:渡部晋也)


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PROFILE

大鳥れい(おおとり・れい)のプロフィール画像

● 大鳥れい(おおとり・れい)
大阪府池田市生まれ。1993年に宝塚歌劇団に入団し、月組の『グランドホテル』、『BROADWAY BOYS』で初舞台。その後花組に配属。1999年『夜明けの序曲』で、愛華みれの相手役として娘役トップとなる。その後、匠ひびき、春野寿美礼の相手役を務め、2003年『エリザベート』を最後に退団。退団後も女優として活躍。その後は舞台、コンサート、ライブ活動を中心に活躍。

岡田達也(おかだ・たつや)のプロフィール画像

● 岡田達也(おかだ・たつや)
鳥取県生まれ。大阪芸術大学芸術学部を卒業した後、様々な職業を経て演劇集団キャラメルボックスに制作スタッフとして参加。その後、役者としても舞台に立つようになる。劇団の作品で主役を務める傍ら、外部の舞台にも多数出演。近年では『刀剣乱舞』などへの出演でも知られている

公演情報

「舞台『花火の陰』」のチラシ画像

舞台『花火の陰』

2020年2月5日 (水) 〜2020年2月10日 (月)
三越劇場
HP:公演ホームページ

一般席:6,800円
(全席指定・税込)

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