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てがみ座


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てがみ座、江戸の天才絵師父娘の物語を3年ぶりに改訂再演!

葛飾北斎とその娘……そして絵筆を手にもがく絵師らの青春群像劇

 世界的な天才絵師・葛飾北斎の娘として小さな頃から絵筆を握ったお栄(おえい)。「本物の絵師になりたい」と肝を据えたとき、向き合わなければならないたくさんのことがあった……。2016年に初演した舞台『燦々』から、改訂再演したてがみ座の次回作では、希有な親子関係、苦悩する北斎、絵筆を握り闘う絵師らが描かれる。3年ぶりの本作にあたり、脚本家の長田育恵、お栄役の前田亜季、北斎役の酒向芳に話を聞いた。


インタビュー写真

再演は、登場人物全員が「チャレンジャー」になる

――― 葛飾北斎の娘・お栄を中心にした物語ですが、『燦々』というタイトルにはどういう意味があるんですか?

長田「この作品にはいろんなテーマが内包されていて、北斎の娘・お栄が主人公ではあるんですけれど、江戸の絵師達の群像劇でもあるんです。また、女性が生きづらい時代に自分で「こうなりたい」と決めて道を開拓していくフロンティアスピリットの話でもあるし、男性達も芸術に魂をかけてのたうちまわっている作品なんですよ。そうやって人間が生きてく様をひとつずつ並べることで、生命力の輝きが連なっていく。それで『燦々』というタイトルにしたんです」

――― 出演のおふたりは、初演時の脚本を先に読まれたんですね。いかがでしたか?

前田「最初に読み終わった時の興奮は、今もすごく残っています。登場人物それぞれがちゃんと描かれていて、想像がいっぱい膨らんで、物語を自分の目で見てきたようなとても楽しい感覚になったんです。これを実際どんなふうにみんなで立体的な舞台にしていくんだろう……! お栄はものすごく才能がある父親のもとに産まれるけれど、「絵を描きたい」という自分がやりたいことに出会える人生ってとても素敵です」

酒向「僕はあえて葛飾北斎の人物や歴史背景は調べてないんです。歴史上の人物を再現するというよりも、俳優はキャスティングされた時点で台本の中の人物と自分自身を照らし合わせていくので……。再演にあたって台本でどんな父娘が描かれているのか待ち遠しいですね。どうやって親子の関係をより鮮明に描いていくのか」

長田「実は、どんなに資料を探しても、北斎がお栄をどう思っていたかが詳しくは出てこないんですよ。北斎には息子もいたのにお栄だけに絵を描かせ続けているので、きっと認めているし、繋がりは深かったと思うんです。けれど純粋に父親としては娘にどういう思いを抱いているかがわからない」

酒向「お栄は、産まれてすぐに絵を描いて、絵筆を離さなかったわけでしょう? それは親としては嬉しいだろうな。将来のライバルになるかどうかは別として」

長田「しかも、お栄は北斎の代筆もしていますし、“色”も作っていたそうなんです」

酒向「色?」

長田「北斎の使う色をお栄が配合して。お栄にしたら「北斎の欲しい色は私が知っている」という思いがあったんじゃないでしょうか。現代の感覚で考えると、お栄は絵師として父親から抜け出すのは大変でしょうし、北斎としても「娘を縛り付けておいていいのか」とちょっとくらいは悩んだこともあるかもしれない。でも、この父娘はそういう感情は超越してたんだろうと思います」

――― 演じる俳優も変わりますし、今回「改訂再演」と銘打っています。初演からどんな変化がありそうですか?

長田「初演の時は、私の作劇上の興味が物語性にあったんです。たとえば「舞台上に本物の絵が出てこなくても想像を駆使して絵や芸術の力を表現できるか」というような、視覚性も含めた鮮やかな物語性。今はその時より、「登場人物同士の関係性の変化」に興味が移っている。なので、同じ作品だけどもうちょっと人間関係や人物の内面に踏み込むつもりです。前作から一番大きく変わるのは、北斎かな」

酒向「どう変わるの?でも、台詞はあまり変えないでね(笑)」

長田「(笑)。初演は、お栄役の女優さんが初舞台だったんですよ。だから、完成された父親に向かっていくお栄の姿が、初舞台で頑張る体当たりの姿と重なったんです。でも、実際の北斎は当時60歳を越えたくらい。90年の人生の途上で、まだ富岳三十六景も描いてないし、これからまだまだ変化していく未完成の人間。だから今回は北斎にも挫折を体験させたい。北斎が苦悩することで、お栄も周りの絵師たちも「あの境地に行ってもダメなんだ」と思うし、だから「もっと頑張ろう」ともがく。そうやって、全員チャレンジャーにしたいです」


インタビュー写真

稽古でできあがる作品は、演出家と俳優のもの

――― 稽古でどんなふうに立ち上がっていくのか期待が募ります!てがみ座初出演のおふたりは、どんなことが楽しみですか?

前田「初めましての役者さんばかりで、一緒にやったらどんな色になるのかものすごく楽しみです。それぞれの役を生きた時に関係性や繋がりが見えて、人間が立ち上がる時が待ち遠しいですね。その時間が好きだから、舞台の稽古が大好きなんです」

酒向「そうだね。前に、外国の演出家さんに「お客はあなたを観に来るわけじゃない。あなたと相手の関係を観に来るんだ」と言われたんですよ。わかってはいるけれど、目から鱗が落ちました。やっぱり芝居は関係を作るのが大切なので、初めての人が多い楽しみもあるし、もしかしたら合わない人もいるだろうし、稽古でどう関係を築いていけるかが気になります」

――― 初演も演出されている扇田拓也さんはどんな感じなんでしょう?

前田「どんな稽古なんだろう?」

長田「扇田さんは俳優からスタートしている方なので、俳優の生理をすごく大事にされます。私が関係性の変化などを駆使して、その人の本質的な部分を描きたいとしたら、扇田さんは、一見寄り道や回り道をしているようでも、結果、まっすぐそこに行く道を探し当ててる。地図上の道じゃなくて獣道かもしれなくても。どうやって舞台の正解を作るかは演出家と俳優のものなので、私も楽しみです」


「父」と「娘」だけでない、希有な親子関係

――― お話を聞いていると、北斎とお栄がどんな父娘関係を稽古でつくっていくかが作品の印象に大きく影響しそうですね。

長田「いやぁ、本当に楽しみですね。お栄には「北斎を超えよう」という発想より、「じぶんはどうなのか」と考えているから、北斎の弱さを垣間見て、自分なりに本当の絵師として生きる決意を固めてくプロセスが見えてくると嬉しいです。父と息子ではそうはならないんじゃないかな」

酒向「息子だと「父親を超えていかなきゃ」となりそうだけど、娘はまた違う方向で超えていける感じがするね。息子よりも娘の方が父親への理解が深いというのは、なんとなくわかる気はしますよ。もちろん人にもよるだろうけど、なぜか女の子の方が父親の面影に肯定的かもしれない」

前田「私はそうですね。やっぱり娘と息子だと父親への感情が違いそうですね」

長田「ふたりの特性も違っていると思うんですよ。北斎はコンパスと定規で描けるような絵の構造がすごく好きで、きっと世界がシンプルに見えていたんだろうなと感じます。一方、お栄は色や光や影に特化していて、ウジャウジャ悩んじゃっていたのかな。お互いにない部分を持っているけれど、北斎にとっては人生の旅のお供になれる相手がお栄だったのかと思います」

前田「北斎がどう進むのか一緒について行って見てみたい……とまでの思いを父親に持つのは、なんだか切ないです。父と娘というだけでなく、魅せられて、才能に惚れて、生きる道しるべみたいな感じに思っているのかな。お栄はそこまで父親に捧げて一緒に生きたいんだなと思うと、切なくて」

長田「希有な親子ですよ。北斎は『笑い絵』……今でいう『春画』も子どものお栄に描かせていたそうです。そういう教育を受けていると、お栄は初夜だって何をするかはとっくに知っていたはず。大人の世界を小さな頃から知識で知っていたから、“体で理解する”ことがすべて後からやってくる。それはお栄の特殊なところでしょうね」


インタビュー写真

北斎は、神であり、芸術である?

酒向「台本を読みながらちょっと思ったんだけど、長田さんにとってのお父さんは、お栄にとっての北斎みたいな存在だった部分もある?」

長田「父のことはやっぱり好きですね。私とはまったく違う普通の会社員だったんですけれど、どこに行っても慕われていて、屈託無くて、その“偉大なる庶民”という感じがとても好きです」

酒向「“偉大なる庶民”って、息子からすると面白くないかもしれないな」

長田「そうだと思います(笑)自分と違うから、珍しいものとして見ているのかなぁ。でも自分はそうはなれないのでとても尊敬しているんです」

酒向「じゃあ父親への思いを台本に反映しているわけではないんですね」

長田「そうですね。というのも、北斎ってただの父親じゃなくて、この世界における絶対越えられない壁の体現者なんです。そんな強い壁って、今も昔もあまりないです。日本人で一番有名な画家として世界中で知られていて、ゴッホにも影響を与えている。ゲームに例えると、絶対に倒せないラスボス。主人公は敵を倒すことで試練をのりこえて成長するけれど、葛飾北斎は絶対倒せないんですよ。それって、芸術にも置き換えられるかなと」

前田「芸術?」

長田「芸術への戦いって、絶対に終わりがない。表現者たちが芸術に挑みつづけるように、北斎に挑戦しつづけるというのは生身の人間同士の戦いを超えたものです。しかも北斎は、90歳まで一度も衰退せずに進化し続けて、最後の最後に傑作を残してこの世を去るんです」

前田「すごい人生ですね!」

長田「そうなんです。写楽(江戸時代中期の浮世絵師)とかは、謎の絵師として1年間だけ華々しく登場してわずかな活動期間で消えた人だけれど、下り坂がない北斎はすごいですよ」

酒向「それは絵師を志す娘としては尊敬するだろうね」

長田「だから『燦々』は葛飾北斎という生身の人間に挑む話でもあるけれど、芸術や……もしくは神に挑む人間の話、というふうにも見える。あまりに偉大すぎて、葛飾北斎でいてくれることがお栄にとっての一番の望みであったりもするんですよね」

酒向「すごい関係だなぁ……。お栄はいくつまで生きたの?」

長田「北斎が90歳で亡くなったのを看取ったあとに旅を続けて、その後いくつで亡くなったのかは伝わってないんですよ」

酒向「なんだか、まだ生きてる気がするなぁ(笑)」


(取材・文&撮影:河野桃子)

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PROFILE

前田亜季(まえだ・あき)のプロフィール画像

● 前田亜季(まえだ・あき)
東京都出身。1993年デビュー、2000年、映画「バトル・ロワイアル」で第24回日本アカデミー新人俳優賞受賞。近年の主な出演作に【舞台】『ブラッケン・ムーア』(上村聡史演出)、『プラトーノフ』『TERROR-テロ-』(森新太郎演出)、『円生と志ん生』(鵜山仁演出) 【テレビ】『浮世の画家』(NHK)、『癒し屋キリコの約束』(CX)、『深夜食堂 -Tokyo Stories Season2』(Netflix) 【映画】「帰郷」(1月17日公開)等がある。

酒向 芳(さこう・よし)のプロフィール画像

● 酒向 芳(さこう・よし)
岐阜県出身。オンシアター自由劇場を経て、舞台俳優としてキャリアを積む。以降多数の舞台に出演。『検察側の罪人』(18)では、物語のキーパーソンとなる被疑者を“獣演”し、話題を呼ぶ。主な出演作【映画】『見えない目撃者』(19)、『カイジ3』(20)、『Red』(20)、『唐人街探案3』(20) 【TV】『集団左遷』(19)、『美味しい給食』(19)、『さんま御殿』(19)、『頭取.野崎修平』(20)、Paravi- 『sick,s』(19)、Netflix『全裸監督』(19)、『GIRI/HAJI.義理/恥』(20)など。

長田育恵(おさだ・いくえ)のプロフィール画像

● 長田育恵(おさだ・いくえ)
東京都出身。劇作家。てがみ座主宰。日本劇作家協会戯曲セミナー研修課にて井上ひさし氏に師事。2009年に「てがみ座」を旗揚げ、全公演の脚本を手掛ける。近年は外部公演脚本、映画・ドラマ等のシナリオも数多く手掛ける。2015年『地を渡る舟』にて文化庁芸術祭演劇部門新人賞。2016年『蜜柑とユウウツ』にて第19回鶴屋南北戯曲賞。2018年『海越えの花たち』・『砂塵のニケ』・『豊饒の海』にて第53回紀伊國屋演劇賞個人賞。

公演情報

「燦々」のチラシ画像

てがみ座 第16回公演
燦々


2020年2月7日 (金) 〜2020年2月16日 (日)
東京芸術劇場 シアターウエスト
HP:公演ホームページ

40名限定!一般4,700円 → 【指定席引換券】3,900円さらに1400Pゲット!(2/6 19時15分更新)

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