「人を元気にする」というシンプルながら大切な理念の下、日本のみならずアジアにも活躍の場を広げている男装アイドル、風男塾。ステージでのライブパフォーマンスに定評がある彼らが、初のミュージカル作品に挑むこととなった。
『Believe〜遙かなるプロキオン〜』と題されたこの作品は、人類を救うために旅立つ宇宙飛行士を目指す5人の候補生達が織りなす物語。リアルなキャラクターを芝居に反映させて書かれたオリジナル脚本だ。さらにゲストとして元宝塚歌劇団の彩輝なおが参加。物語の幅と美しさをさらに増幅させた作品になりそうだ。
――― 初めて挑むプロジェクトを前に、普段以上に活き活きしているように見える風男塾の5人。まずはそれぞれが秘めた意気込みから聞いてみた。
桜司「初挑戦となるミュージカルにはまだ芝居と歌とダンスの融合というイメージしかないです。初めてだからこそ歌もダンスもしっかり準備して、この公演を通して成長したいですね」
草歌部「歌やダンス。演技と色々な要素が詰まっていますから、僕達の多才で新しい魅力を発揮できると思います。何よりこのメンバーで出来る事が嬉しいです」
愛刃「個人的にミュージカルの舞台に出させてもらったことはありますが、風男塾としてははじめてです。今までライブの中でコントやバラエティー的な芝居はありましたけど、ちゃんとした舞台は初めてです。だからこそメンバーの新たな一面を知ってもらい、さらに風男塾自体を知ってもらうきっかけになるので頑張りたいです」
紅竜「俺たちの普段ライブで観ている姿とは違う部分を観ることができるから、ファンの皆さんにとっての楽しみは増えるでしょう。そしてこの作品を終えることで俺たちもワンランク上のグループになりたいと思います。今後も期待してください(笑)」
香月「もともと宝塚とかを観ることは好きなのですが、そこで自分が感じた心の揺さぶりを今度は僕達が表現して与える側になる。それが楽しみです」
――― さて、この作品には彼らをまとめる教官役として、宝塚歌劇団出身の彩輝なおが出演する。男装の麗人として大先輩に当たる彩輝を前にした心境はどうだろう。
愛刃「すごく緊張しました。もう全員(笑)。彩輝さんを前にするとメンバーが立っている感じとか、いつもと雰囲気が違うんです。本読みだけで凄く勉強になりますし、沢山吸収したいので、早く稽古に入りたいですね」
――― インタビューをしたのはまだ稽古に入る前、本読みが終わったところだった。タイミングとして各自ストーリーは把握しているところ。そして物語に出てくる登場人物はリアルな彼らそれぞれに合わせて書かれているという。リアルな彼らと物語の彼らが二重像になるのも面白い。
愛刃「本読みを終えて何となく雰囲気が見えてきた感じで、楽しみが膨らんでいます。またそれぞれの役柄の組み合わせで、色々な表現ができると思うのでそれもまた楽しみになるでしょうね」
――― 物語は宇宙飛行士としてライバル達としのぎを削るストーリー。彼らが実際のメンバーの中で自分のライバルだと思えるのは誰だろう。
香月「ライバルというか……真咲クンは誰よりも生命力が強そうですね。道に落ちているモノでも食べちゃいそうだし(笑)」
紅竜「確かに、食べるかも(笑)。俺のライバルは……昨日の俺ですかね。今日の俺が一番ということで」
愛刃「でもストーリーみたいに誰か一人選ばれるならそんな真咲を推します。でもすぐ戻ってきたりしてね(笑)」
草歌部「僕は競い合うより周りを見て行動するタイプなので、サポート役に回りたいな」
桜司「健水クンは歌でも踊りでも凄いので、その背中を追いかけて行きたいと思ってます」
――― これから稽古、そしてまあまあ長い公演を控える5人。初めてのプロジェクトに向けて気を遣っている部分を聞いてみた。
桜司「体調第一ですね。風邪とかをひかないように。そしてモチベーションを下げないようにしたいです」
草歌部「僕は普段からはしゃぎ過ぎて失敗することがあるので(笑)、テンションを上げすぎないように気をつけたいです」
愛刃「あったねー、そんなこと(笑)。僕はダンスパートが多いという話を最近聞きました(笑)。だから体力が心配で、筋トレや走り込みが必要かなと思いました。何しろ一番年長者なんで、はしゃぎすぎる時期は越えましたけど(笑)」
紅竜「花粉症があるので、鼻うがいを習慣づけていこうと思ってます。メンバーにも勧めようかな(笑)」
香月「最後になるとみんな言われちゃうんですよね(笑)。衣装が白っぽいので、最後まで汚さないように気をつけたいですね」
愛刃「そこかい(笑)」
――― ミュージカルという新たな表現の場で、きっと風男塾の5人はその輝きを増すことだろう。さらなる活躍を、大いに期待したい。
(取材・文&撮影:渡部晋也)