福岡を中心に活動するガールズエンターテイメントユニット「トキヲイキル」。2017年から演劇やライブを中心にジャンルを問わずパワフルに活動してきた。この度のコロナウイルス感染拡大の自粛期間を経てついに再始動! 作・脚本にお笑いコンビ・チュートリアルの徳井義実、演出・音楽には俳優の柏原収史を迎え、歌あり芝居ありのナースコメディをお届けする。 先に行われた10月の福岡公演は全公演完売となり大成功! その本作に一部新キャストを迎え東京公演を実施する。メンバーを代表して、岸田麻佑、桃咲まゆ、藤松宙愛に話を聞いた。
台本を読んで爆笑したのはこの作品が初めて
―――10月の福岡公演は久しぶりのステージで、色々な想いや手応えがあったと思います。
岸田「2020年初のトキヲイキル本公演でした。舞台が2本延期になったのでステージに立てることが本当に嬉しかったです。今回の作品は笑っていただけるシーンがたくさんあるのでお客様の笑い声を生で体感できたのでホッとしました」
藤松「私も嬉しい気持ちでいっぱいです。自粛期間中は配信でお届けする機会はたくさんありましたが、やはり直接お客様の声を聞いて雰囲気を味わったりできるのは全然違うなと、舞台に立って思いました。久しぶりの舞台だったので感覚を取り戻すのに時間がかかった印象もありましたが、終わってホッとしています」
桃咲「この状況だったのでお客様は半分しか入れないかもしれないと不安もありましたが、本番ギリギリに100%入れることが可能になり嬉しかったです。実際に幕が開いて会場いっぱいのお客様を見たら感動しちゃって。お客様の前で今年中にできたことが本当に嬉しかったです」
本作はお笑い芸人チュートリアル徳井義実さんによる初脚本作品で、ナースステーションを舞台にした本格的コメディ。ナースと患者たちによるナースあるあるが笑いとともに描かれる。
―――ちょっと振り返って、台本を手にした時の印象などを教えてください。
桃咲「私は台本を読み実際にみんなで演じてはじめてストーリーがしみてくるタイプなのですが、この作品は本を読んだだけですっと入ってきて、台本を読んで爆笑したのはこの作品が初めて。最初から最後までずっと笑いがあって面白かったです。それと同時に間とか雰囲気とか、お笑い芸人さんの笑いをどう表現するのか、実際にこれを自分で演じることができるのか不安も大きかったですね」
―――特に力を入れたところは?
桃咲「チュートリアルファンの方も喜んでもらえる笑いの場所があって、そこは特に力を入れたところです。毎晩徳井さん関係のお笑い作品を観て勉強しました」
藤松「私はまず徳井さんに書いていただいた本の作品に出演するということがすごく嬉しくて、まさか関わることができるとは思っていなかったので決まった時はびっくりしました。更に自分が今まで演じた事がないような役を頂いて、最初台本を読んだ時に感じた印象から本番を迎える頃には全然変わっていて、これまで一番変化があった役だと個人的に思っています。1月の東京公演ではもっと自然にできるように、こういう子いるよねと思ってもらえるように仕上げていきたいですね」
岸田「台本をいただいて、これで終わり?と思ったぐらい面白くて早く読めてしまって。でもその面白さを伝えなければいけないのは私たちで、そのプレッシャーも同時にやって来て、初日を迎えるまではプレッシャーの方が強くて不安もありました。でも実際に幕が開いたら福岡のお客様には大好評をいただいたので、東京公演でもしっかりと伝えていきたいなと思っています」
東京公演の皆さんとどのような化学反応が起きるのか
―――トキヲイキル公演は芝居に加え歌も見どころです。それぞれの役どころや見どころを教えてください。
岸田「今回全てがネタバレになるのであまり詳しく話ができないのですが、私は主任ナース役を演じます。女性のお客様からは嫌われるような役で、表情ひとつひとつの変化とかも見ていただけたらと思います。経験したことがないようなことが起きるので、それをどう伝えるか苦労しました。実際の私からはかけ離れた役どころでしたが、似合うとかピッタリという意見もあり(笑)。これから観る方はお楽しみにしていてください」
藤松「私は看護学生の役で、基本的にずっと舞台上にいます。演じる上で戸惑いがあるほどキャラクターがぶっ飛んだ役なので、他の人とのテンションの差を見てもらえたら嬉しいです」
―――普段の藤松さんと共通するところは?
藤松「この役ほどではないと思っていましたが、こんなイメージもあるよね、とかファンの方からは一番ハマり役だったのでは?と言われて、自分の中では複雑な気持ちもあります(笑)」
桃咲「私は外科のナースを演じます。見どころを言いたいのですが全てネタバレになってしまうほどオチの部分です(笑)。一つだけ言えるのは肉食系女子で女の子に嫌われるような役ですが、確かにこんな子いるなって。福岡公演の感想を聞くと好評で特に女子人気が高くて驚いております」
―――福岡公演から東京公演まで少し間が空きます、東京版はブラッシュアップや違いはあるのでしょうか?
岸田「徳井さんは少し変化をさせたいとおっしゃっていましたが、東京公演では東京だけのキャストが新たに加わるので、それだけでも雰囲気は変わってくると思います。トキヲイキルではしばらく東京に行けていないのでワクワクしています」
―――ちなみに福岡でのセリフは博多弁なのですか?
岸田「舞台は標準語でやっているので方言は入りません。稽古期間中にイントネーションが違ったりすると標準語に直してやっているので苦労する部分もあります。普通の会話はみんな博多弁なので東京に行くと他の役者さんから『わ!博多弁だ!』と驚かれます(笑)」
―――久しぶりの東京公演で楽しみにしていることは?
岸田「今回トキヲイキル作品に初めて関わるキャストさんがたくさんいらっしゃいます。その皆さんとどのような化学反応が起きるのか楽しみですね」
桃咲「東京ではこっちがうけるんだとか、お客様の反応や変化が楽しみです」
藤松「舞台になると長期間東京に滞在するので、久しぶりの東京公演は素直に楽しみです。実は前回の東京公演の時にホームシックになり本番2日前くらいに泣いてしまったんです。今回はだいぶ年齢も重ねていますのでホームシックは克服して東京生活を満喫したいと思っています」
笑うことは一番の特効薬
トキヲイキル作品では本作を含め俳優の柏原収史が演出・音楽を多数担っている。脚本の徳井とはバンド「鶯谷フィルハーモニー」を結成し音楽活動を続けている間柄。その2人が初タッグを組むことでも注目だ。
―――柏原さんとの稽古はいかがですか?
岸田「すごく優しくて、実際に俳優をされているからこその指導でとてもわかりやすくて毎回勉強になります。演じる上での基礎をしっかり教えていただいています」
桃咲「脚本家の徳井さんととても長いお付き合いをしているので、やりたいことが手に取るように分かるとおっしゃっていました。この笑いはこういうニュアンスで伝えたいんだなぁ〜と実際に演じて見せてくださってそれがすごく分かりやすいんです。でも見て分かっても実際にそれをやるのはとても難しくて(苦笑)。頭でわかっていてもなかなか。そうそう、先生って言うと怒られます(笑)」
―――時には厳しいことも?
桃咲「そんなことはなくて、でもオンとオフはしっかりしているなって思います」
岸田「ガミガミ怒られたりはないですね、たぶん女性には優しいと思います!」
藤松「本当に優しい方です。今までここはどうしたらいいですか?という聞き方でしたが、稽古が始まってすぐくらいに演技のことでじっくり詳しく相談させていただきました。そんなことは初めてで一つ一つ丁寧に答えてくださったので、そこからは迷わず自分でも考えながら試行錯誤できました。そのアドバイスがなかったら福岡公演の成功は無かったなって思います」
―――では最後にメッセージをお願いします。
桃咲「約2年半ぶりの東京公演でとても楽しみにしています。福岡公演は大成功でお終わったので東京公演も成功させたいです。今回の舞台はコメディですが、まさか感動するシーンがあるとは私たちも思っていなくて、幕が上がったら感動して泣いてくださっているお客さもいらして、受け取り方は人それぞれであることをあらためて感じました。笑いあり、涙ありの楽しい舞台になっていますので、是非いらしていただけたら嬉しいです」
藤松「久しぶりの東京公演で今からドキドキしていますが楽しみです。まだまだ自分を守る大切な時期なので、私たちの舞台に時間を割いて来てくれることを選んで下さった皆さんに感謝の気持ちを伝えたいと思っています。この舞台を楽しんでもらって少しでも恩返しができたら。
そして東京公演では初めてトキヲイキル公演に出てくださる方が多いので、そのファンの方とも初めましてになります。たくさんの方と出逢い、私たちの事を知ってもらってこれからも繋がっていけたら嬉しいです」
岸田「福岡公演では大好評だったこの『検温しましょ』、東京公演を是非観に来て欲しいです。
笑うことは一番の特効薬だと思っています。こんな時期ですが何も考えず劇場へ足を運んでいただいて、笑って一緒に楽しい時間を過ごしていただけたらと思います。お待ちしております!」
(取材・文:谷中理音)