女優として舞台やVシネマなどで活躍の後に、女子プロレスラーとしてリングの上で活躍したという異色の経歴を持つMARUが、2011年に旗揚げした劇団水色革命。22作目となる本公演『兄さん、死んでくれぇ!』はさまざまな“愛”をテーマにした物語になるという。今作で初めて単独主演を務める松井珠紗、シンガーとしても活躍するマツダヒロエ、現役高校生俳優の西内琢馬という3人の個性溢れる劇団員に、前作に続き客演するアクション俳優やスタントマンとして活躍してきたベテラン、卯木浩二の4人に話を聞いた。
―――劇団水色革命のウェブサイトを拝見していると、色々なキャリアを持った役者さんが参加しています。一体どんな劇団か教えてもらえますか。
松井「私は女優だけでなく現役の女子プロレスラーなんです。もちろんレスラーの片手間ではなく、全力でお芝居にも取り組んでいますが、他にも色々なジャンルの人が集まっている集団ですね」
マツダ「私は役者のほかにシンガーとして歌もやっています。水色革命の公演では毎回歌っていますし今回も歌う予定です」
―――レスラーとシンガーと来て……西内さんは若さ担当?(笑)
西内「確かに(笑)。今、高校3年生ですからね。小学校4年生の頃から舞台に出演しています。もともと母がオーディション雑誌で見つけてきて応募したのがきっかけですが、それが楽しかったので自主的に参加するようになりました。今は小劇場を中心に色々な劇団にも客演させてもらっているんです」
マツダ「若いけど結構キャリアは長いんですよ」
西内「水色革命の劇団員は、男性が僕ともう一人だけですが、まるで家族のような温かさを持っていますね」
マツダ「私が入団した当時は年上ばかりだったのが、気がついたら年下ばかりになりました。そのせいか最近は可能性を凄く感じる劇団になっています。もっと彼らの長所を活かして、盛り上げたいと思ってます」
―――卯木さんは往年のスーパー戦隊シリーズでも活躍されて、劇団員の皆さんから見れば大ベテランですね。そんな卯木さんの見る水色革命はどんな劇団でしょう。
卯木「僕はしばらく俳優業を休んでいたんです。戻るつもりもなかったのですが、とあるところで主宰であり脚本・演出のMARUと知り合って、改めて朗読劇から始めました。やってみるとやっぱり好きなものだから血が騒いでね(笑)。前作の『リング・リング・リング』にも参加したのですが、つかこうへいさんが書いたこの作品の初演の時には、僕の友人もたくさん出ていた、そんなご縁もあってね。ともかくMARUをはじめ、劇団員からは凄く刺激をもらいました。それに若い子達の努力の度合いがもの凄いんです。アクションや立ち回りも、最初はどこまでか疑ってたんですが、上手になるのが凄く早い。僕なんか昔はともかく、今は体が動かないからね」
松井「いやいや、卯木さんが一番キレキレですよ(笑)」
―――さて今回の作品ですが、どんな物語になりそうですか。
松井「タイトルが凄いインパクトですけど(笑)。まあ恋人に対してのものだけでなく、家族愛や兄弟愛など、いろいろな形の“愛”がテーマになっているんです」
マツダ「私は卯木さんの娘役なんですが、家族を大切にする、まさに家族愛にあふれた存在です。さらに現代の色々な問題も取り込んで、リアリティのある物語になると思います」
―――“愛”がテーマとのことですが、ここで皆さんがお持ちの“愛”についてのイメージを伺いたいですね。
松井「自分は縛られるのが嫌いですし、”愛”の先には幸せがないといけないと思います。人間同士が“幸せ”を目標にする方法論が“愛”じゃないですか」
マツダ「想いの共有、ですかね。それは恋人でも家族でも同じだと思います」
卯木「なんだか遙か昔の話のような(笑)。まあ無償で捧げるものではないですか?」
西内「僕にとっては“楽しさ”のイメージでしょうか。一緒にいて楽しいことが大事だと思います」
―――それでは皆さんから客席に向けて、“愛”が溢れるメッセージをお願いします。
松井「これまでW主演の経験はありますが、今回は初めての単独主演ということで凄く緊張しています。でも大きく成長できるチャンスでもあるのでぜひ観に来てください」
マツダ「公演が打てること自体がありがたいことと感謝しつつ稽古をしています。それだけに皆さんには絶対に良い舞台をご覧いただくことになります。必ず良い舞台になります」
西内「どうも僕の役は裏主演にあたるそうです。そしてちょっとブラックな部分もあるそうなので、そんなキャラクターで物語を引っかき回したいですね」
卯木「前作で水色革命の舞台に参加して、MARUの舞台にかける執念を感じました。今回も引き続き参加しますが、男の色気を感じていただけるといいなあと思ってます。」
―――ありがとうございました。
(取材・文&撮影:渡部晋也)