宇田川美樹が主宰する演劇ユニット「UDA☆MAP」の旗揚げ公演(2010年)として初演され、2015年に旧作・新作と同時上演をした舞台『ガールズトークアパートメント』。今回、2020年ver.と称して、シリーズ3作目が上演される。女性だけのシェアハウスの1年間を「春」「夏」「秋」「冬」とオムニバス形式で紡いでいく。主宰の宇田川と、脚本・演出を担当する松本陽一、出演する持田千妃来、稲葉麻由子に話を聞いた。
―――『ガールズトークアパートメント』はどんなお話なのでしょうか?
松本「祖師谷大蔵あたりにあるシェアハウス“やえがしの家”が舞台です。6〜7人の女の子たちがルームシェアをしていて、ガールズトークの面白さといいますか、ぐずぐずしたり、本音で語り合ったり。女性たちの悲喜こもごもを描いています。春夏秋冬、4つのオムニバスストーリーで、ハートフルなコメディです。」
―――2010年、2015年、そして2020年。住人も入れ替わり、変化もありそうですね。
宇田川「旗揚げした時は、この子にこういう役をやらせたら面白いんじゃないかなという女優さんを9人集めて、芝居をしたんです。にわかに“ガールズトーク”という言葉自体が流行り出していた頃。みんなが集うシェアハウスを舞台に、自然で他愛もないトークを芝居にしたくて。」
松本「2020年はコロナなしでは語れないですよね。まさに緊急事態宣言が出た春から話が始まるので、今回、そこが面白くもあり、ちょっと怖くもあり。ややもすると、重たく暗い物語になってしまうんですけど、でも多分、シェアハウスでステイホームしたら、相当ぐだぐだになるかななんて思いながら(笑)。お客様も含めて、みんなが体験した2020年の物語をどう切り取って、ほっこり面白くするか、考えているところです。」
―――持田さんと稲葉さんの役どころを教えていただけますか?
松本「稲葉さんは『夏』の主人公で、いわゆる干物系女子。普段はちゃんと仕事しているのに、家ではだらだら。コロナ禍で大変な思いをされている医療従事者の役にしようと思っています。外で頑張って働いて、家に帰ってきたら、酒を飲んで、共有のリビングで寝ているみたいな女性です。」
稲葉「実は昔、少しだけ医療系の仕事をしていたことがあって。干物とまではいかないけれど、遠くはない役なのかなと思っています。最初にお話を聞いたときは、嬉しくて、家の中をぐるぐる歩き回っていました(笑)。頑張ります!」
松本「持田さんは『冬』の主人公で、バリバリ働いている女性になりたかったけど、挫折してしまった女性を演じます。周りからは気が強いと言われているけれど、実は繊細でか弱いところがある女性です。」
持田「お話を聞いて、自分と重なるところがたくさんあると思いました。2020年3月に立教大学を卒業して、ようやくお仕事に本腰が入れられると思ったら、コロナ禍で。役と同じように、仕事をバリバリやりたいのに、できない。去年の私の状況とぴったり重なっていると思いました。」
―――最後に意気込みをお願いします!
持田「私は初めてUDA☆MAPさんに出させていただきます。私を応援してくださっているお客様の中には、まだUDA☆MAPさんを観たことないという方もいらっしゃると思うし、私自身、会話劇の経験があまりないので、また新しい私を楽しんでいただけたらいいなと思います。
稲葉「私は何度かUDA☆MAPさんに出させていただいていますが、こういった重要な役どころをやらせていただくのは初めて。シリーズ3作目、新しい風を吹かせるように頑張ります。よろしくお願いします!」
松本「この演目は、書くのも演出するのも楽しいんです。コロナの時代を描きますけど、お客様が観て、ふっと肩の力を抜けるような、温かい物語になればいいなと思います。」
宇田川「女の子が集って、普通外からは見えないような、覗き見しているような楽しさがある作品です。学生から社会人まで、普段は集まらないような人たちがシェアハウスに集って、1年なり数ヶ月なりを共にする面白さがあります。また、男性の脚本・演出家が作っている面白さもあると思うんですよね。心が安らいで、いつでもそこに戻りたくなる空間がつくれたらいいなと思います。」
(取材・文&撮影:五月女菜穂)