餅月望・原作の小説『ティアムーン帝国物語〜断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー〜』(TOブックス刊)が2020年9月に初めて舞台化され好評を博したが、早くもその第2弾が上演される。本作は投稿サイト「小説家になろう」で連載、書籍化、コミック化され、現在シリーズ累計45万部(紙+電子)を超える人気作。20歳で処刑されたはずのわがまままな姫・ミーアが、なぜか12歳に逆戻りして始まる、処刑を回避するための歴史改変ファンタジー作品だ。
―――STAGE2に出演するにあたって、今の率直なお気持ちは?
「ちょうど1年前の夏に『ティアムーン帝国物語』の初演があって。去年の夏の一番の思い出がミーア姫(を演じたこと)だったので、今年もミーア姫を演じることが出来るのは、凄く嬉しいですね。熱い夏になりそうです。」
―――今回は原作をベースに舞台版のオリジナルストーリーだそうですね。
「そうですね。初演では出てこなかった新キャラクターが登場します。また、それから私がずっとやりたかった、あるシーンが今回実現するんです。劇中で衣装替えもあって、ミーア姫のドレスが2パターン見られると思います。
初演の時は、オープニングダンスはあったんですけど、今回は結構歌ったり、踊ったりするので、色々なことがパワーアップしています。女性キャラクターが多いので、より一層華やかな舞台になりそうです。」
―――改めて原作の印象や魅力を教えてください。
「お姫様やヒロインは、凄く良い子で、真っ直ぐで、理想の女の子というイメージが強いと思うんですけど、ミーア姫はどちらかというと、ブラックな一面も持ち合わせている子なんです。そんなミーア姫が人の優しさに触れて、少しずつ良い子に変わっていく姿が生々しくて良いなと思っています。
誰しも綺麗な部分だけを持ち合わせているわけではないと思うので、ミーア姫のブラックな一面が凄く私は好き。初演では顔芸を披露するなどして、コメディ要素を強めに演じさせていただいたんですけど、観客の皆さんに『もっとミーア姫を好きになった』と言ってもらえました。今回もそういうイタズラっぽいところやブラックな一面を忘れずに、より一層磨きをかけつつ成長した姿も見せたいなと思います。」
―――初演はかなり反響があったのでは?(笑)
「そうですね、かなり反響がありました(笑)。もともとアニメがなかったので、どういう声で演じようか迷ったんですが、可愛過ぎずに、ちょっと憎たらしい感じの声でも表現したいなと思って役作りをしたんですが、原作者さんに『思い描いていたミーア姫だった』という風に言っていただけて。
『こんなに振り切って大丈夫かな?』と不安なこともあったんですが、皆さん褒めてくださったので、安心しました(笑)」
―――初演のカンパニーも温かく、仲睦まじい印象です。
「はい! とっても! 座組みの人数が多く、初めての座長でまとめきれるか心配していたんですが、結果皆さんにサポートしていただいて、ひとつのチームが出来たなと思います。
私に出来ることはなんだろうと考えて、そのキャラクターの魅力や良さを引き出すことかなと思って。本番期間中に“ミーア姫の日常”として、ツイッター上で4コマ物語をやったんです。毎回、ストーリーを考えて、その日に必要なキャストさんに声をかけて。
結構大変だったんですけど(笑)、観にきてくださったお客様やSNS上でも好評だったので、今回も頑張りたいです。」
―――今回はメンバーも入れ替わりますが、どんなカンパニーにしたいですか?
「こういうコロナ禍ということもあって、緊張感を持って稽古をするのはもちろんなんですけど、やっぱり『ティアムーン帝国物語』の良いところは、皆ちょっと抜けている部分があって、良い意味で勘違いをして、それが良い方向に向かっていくという謎のポジティブ要素がある作品だと思っていて。
だから稽古場では、緊張感を持ちつつも、ポジティブな感情を共有したいです。オンとオフを切り替えてやっていきたいなと思います。」
―――ミーア姫は20歳で処刑されたはずが、12歳に逆戻りするという設定です。平松さんは12歳の時はどんな子どもでしたか? また、戻れるなら何をしたいですか?
「当時からアイドルを目指していて、男の子と写真を撮らないとか、なってもないのに、凄く徹底していました(笑)。戻れるなら、習い事を何かひとつ極めておきたかったなと思います。」
―――習い事ですか。
「はい。公文式、スイミング、英会話、書道、ピアノ、テニス、空手をやっていたんですけど、芸能界に入ってからダンスの基礎をしっかりやっておけばよかったなと後悔して。バレエを習っておきたかったです。」
―――最後に観客やファンの皆様に意気込みとコメントをお願いします!
「皆さんが『ティアムーン帝国物語 THE STAGE』を応援してくださったおかげで続編が決まって、さらにパワーアップして、ミーア姫とその仲間たちが帰ってくることが出来るので、まずは皆さんに感謝の気持ちを伝えたいです。今、色々大変な世の中なんですけど、『ティアムーン帝国物語』を観ていただけたら、たくさん心に花が咲くような、温かい作品になっていると思いますし、意外と“人生とは”だったり、“どうありたいか”みたいな、考えさせられる内容が含まれると思っていて。一緒に色んなことを考え直すきっかけにもなったら良いなと思います。一生懸命頑張りますので、ぜひ観にきてくれたら嬉しいです。よろしくお願いします。」
(取材・文&撮影:五月女菜穂)