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上野なつひ・粟島瑞丸


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10年来の友人同士による“いつか一緒に”の思いがようやく実現

現実には絶対ないけれど、あってもおかしくない……そんなリアリティで描かれる人間ドラマ

俳優・粟島瑞丸がプロデュースから脚本、演出を手がける演劇集団Z-Lionの今年2本目となる舞台『あっ地球 to こっ地球』が11月に上演される。ファンタジー要素のあるハートフルな作風を特徴とするZ-Lionは、公演ごとに動員を伸ばし、旗揚げ4年目にして確かな存在感を築きつつある。主演の上野なつひと粟島は知り合ってから10年以上になるそうだが、作品を共にするのは今回が初めて。「このタイミングで一緒に仕事できてよかった」と口を揃える2人の、期待にあふれるインタビューをお届けしよう。


インタビュー写真

書いているうちにこうなった、という感覚

――― 子役を主演に据えて話題となった前作『まっ透明なAsoべんきょ〜』から半年足らずの短いインターバルで上演される『あっ地球 to こっ地球』。その発想の元を粟島に尋ねると、「いつも、基本ノープランなんです」という答えが返ってきた。

粟島「こんなことをやりたいとか描きたいというのが全然なくて、後付けと言われれば後付けに近い。書いてるうちにこうなってああなって、今回はこんなものが生まれました、みたいな感覚です。ではどこから始めるかというと、僕の場合はまずセットを決めてしまいます。前作は喫茶店でしたが、実際の劇場でどこまでできるかをイメージして、そこから書き始める感じです。今回はそれが展望台で、今までの作品が全部室内の1シチュエーションだったから、建物があって外があるという形にしたかった。じゃあどこにするかなというところで、山小屋にしようとか、そこで星を見ている話にしよう、というふうに考えていきました」

上野「いつも作品を観てるけど、すごくロマンチストだよね。本人はファンタジーとか書くイメージはないのに(笑)」

粟島「それよく言われるんだけど、めっちゃ恥ずかしい(笑)」

上野「最初に知り合ったときは、役者同士やアーティストとかで集まってるメンバーの1人だったので、舞台の脚本も書く人だと知ったときはびっくりしました。こんな能力があったんだな、しかもすごく面白いって」

粟島「いやいや、そう言っていただけると……(照)」

――― 上野は映像作品に軸足を置きつつ、近年は舞台にもほぼ年1本のペースで出演。8月には東京ミーコの『ゴースト・レストラン』で舞台初主演を果たし、『あっ地球 to こっ地球』は今年2本目、しかも連続主演ということになる。

上野「映像作品と舞台では全然感覚が違っていて、初舞台のときから毎回たくさんのものを得てきました。粟島さんの舞台もずっと観に行ってて、いつかやりたいなってずっと言ってたんです。それまでお互い頑張ろうって。だから今回、やっとここまでできたというのがすごく嬉しくて。私も今年ようやく初主演を踏めて、1つやり遂げた感というか、新しい階段を上った経験になったので、すごく良い感じでお互いのタイミングが合ったのかなという気がしています」

粟島「その主役の舞台を観させてもらったのが、ちょうど脚本を書いている途中だったんですけど、自分だったらこうするっていう、いい意味での対抗心が生まれて、そこからさらにイメージが湧いてきたんです。それで観終わってすぐ、次はお願いしたいっていう話をしました。そこからはもう当て書きというか、ある程度なつひちゃんをイメージして書き進めていきましたね」

上野「そう言ってもらえているからこそ、ヤバいなって思ってます。舞台の経験もそこまで多いわけじゃないから、頑張らなきゃなって」

粟島「Z-Lionを立ち上げてからは、出てほしい人に出てもらえる環境を作ることがまず第一だったし、出たいと思わせなければいけない。今まで出会った人たちはみんなそうでした。なつひちゃんにも6回目の公演でようやく出ていただけるのはほんとに嬉しいです。でも今度は、その“ようやく”の意味がお客さんに伝わるものを作らなきゃいけないので、安心感なんて1つもないですね」

インタビュー写真

全員で作ったと思える舞台にしたい

――― 物語の舞台となるのは、携帯電話もパソコンもない頃の、山奥の展望台。そこに空から人間が降って来る。未来からやって来たという彼らが持参した未来のアイテムは、どれも驚くべきものだった……まさに冒頭で述べたようなファンタジー要素たっぷりのストーリーである。

粟島「こういう空想物語というか、現実には絶対ない話だけど、あってもおかしくないと思えるような話が好きなんですよ。そこで同時に人間ドラマがあって、人間の葛藤とかがちゃんとしっかり描かれていれば、よりリアルに見えるんじゃないかと。タイムスリップものというのもよくある話ですけど、そこにちゃんと理由や説得力があって、ちゃんとした人間関係があれば、観る人は絶対納得するし、こんなの嘘だよってならないと思うんです」

上野「脚本を読んで“こんな発想があるんだな”って思いましたし、実際の舞台では、読んでる言葉以上のものが見えてくるんだろうなというのは感じました。あと、私をイメージして書いてくれたって言ってましたけど、私も今年で30歳になって、そういう三十女に対してのストーリーみたいなものが、けっこう私の中ではグッと来て。“なるほど、この台詞言いたくなる気持ちわかる”って、すごく共感できるものがあるので、特に三十代女子にはぜひ観てもらいたいです。もちろんそれ以外の方にも、今のこの時代に問いかける言葉がたくさん出てくるので、きっと面白いと感じてもらえると思います」

――― Z-Lionは“演劇集団”と言ってもメンバーは粟島1人。毎公演ほぼ固定されたスタッフも含めて1つのチームだと彼は言う。キャストも「一度でも公演に出てくれたら、もうメンバーの一員みたいな感覚」。ワンマンな作り方とは対極にある。

粟島「僕自身、脚本家/演出家としてのプライドは全くないから(笑)、台詞はお好きにどうぞだし、言い回しも変えてもらってかまわない。むしろ台本の言葉通りに言うことに疑問を持って、提案してもらってナンボだと思ってます」 上野「それって、ある意味恐いですよね」 粟島「終わったときに、キャスト/スタッフみんなが“全員で作ったな”と思える舞台作りをしたいといつも思っているんです。だからスタッフさんも良い意味で口を出しますし、それは僕が求めていること。100個の意見のうち1個でもいいものがあって、それで作品が少しでも良くなるんだったら、僕はそっちを取りたいです」

上野「今聞いていて、『ゴースト・レストラン』もちょっと似てたかもって少し思いました。作・演出の大野泰広さんに“これ、こう思うんですけど”って言ったら、本番10日前なのにガラッと変わったりして(笑)。でも、それでより良くなったし、本番中でもどんどん変わっていった。そのときの経験を活かして、柔軟に対応していきたいと思います」

粟島「とにかく作品が一番でありたいなと思っていて。誰々の芝居が良かったっていうんじゃなく、全員が良かったって思ってもらえるのがたぶん一番いい作品。そもそも、そういう作品じゃないと評価されないですからね。今回も飛び抜けた設定の、変なストーリーですが、ぜひそこを楽しんでもらえたらなと思います」


(取材・文&撮影:西本 勲)

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PROFILE

上野なつひ(うえの・なつひ)のプロフィール画像

● 上野なつひ(うえの・なつひ)
1985年7月13日生まれ、東京都出身。01年にドラマ『R-17』でデビューし、『STAND UP』『僕の生きる道』など多数のドラマや映画に出演。並行して舞台の経験も重ね、劇団たいしゅう小説家『泥棒役者』(06年)、『赤と黒』(09年)、SPECIAL BOX Vol.1『ゴジラ』(11年)、同Vol.2『悲しき天使』(12年)、TAKUMA FESTIVAL JAPAN『晩餐』(13年)に出演。東京ミーコ『ゴースト・レストラン』(15年)で初主演を飾った。

粟島瑞丸(あわしま・ずいまろ)のプロフィール画像

● 粟島瑞丸(あわしま・ずいまろ)
1981年9月2日生まれ。大阪府出身。2001年映画『湘南爆走族』でデビュー後、テレビドラマ『天使と悪魔-未解決事件匿名交渉課-』『東京スカーレット〜警視庁NS係』や、映画『絶狼-ZERO-BLACK BLOOD-』『猫侍』、舞台『鉄道員 ぽっぽや』セレソンDX『ピリオド』など、幅広く多数に出演。 2012年にZ-Lion(ジーライオン)を旗揚げし、出演しながらプロデュース、脚本、演出すべてを手がけ一貫したトーンの作品作りでファンを増やしている。

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