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更新日:2017年11月6日(月)
『美しく青きドナウ』を耳にすると、どうしてもウィーン・フィルの『ニューイヤーコンサート』を思い出します。と言ってもテレビの中継しか観たことはありませんが。それでも舞台も客席も華やいだ“世界一有名な音楽会〞の雰囲気をお裾分けしてもらい、特別な日なんだろうなと思いを馳せることができます。
さて、私たち落語家の世界もお正月の寄席を一番大事にしています。東京の毎日興行している“定席”と呼ばれる小屋は、ふだん一ヶ月を三つに区切り「上席」(一日〜十日)、「中席」(十一日〜二十日)、「下席」(二十一日〜三十日)と称して出演者の顔ぶれが変わります。それが一月だけは上席、中席をそれぞれ「初席」、「二之席」と呼び(下旬は下席で変わりません)、新春の特別興行となっています。高座(舞台)上には鏡餅が飾られ、出演者も豪華に勢揃い。お客様もとくに三ヶ日などは溢れんばかりの超満員、その客席のあちこちに晴れ着の御婦人がいらして一層華やかに……。一席やってお客様の笑顔を見ると、「あぁ、お正月だな」と実感します。
それでは最後に、なぞかけで締めましょう。ウィンナー・ワルツの代表曲である『美しく青きドナウ』とかけまして、「伝統」と「華やかさ」と「面白さ」が揃ったお正月の寄席と解く。その心は―― どちらも見事な三拍子でしょう。……締まったのかなぁ?
―ニューイヤーでは必須と言える選曲ですよね。寄席ではこの師匠が高座へ上がるとお客席から「野ざらし!」とネタの注文が絶えなかったそうで。軽快で華のあるこの一席はまさにそんな雰囲気と重なりますよ。